【感想・ネタバレ】センチメントの行方 (3) 【電子限定おまけ付き】のレビュー

榎本ナリコ

チャット・レディ――PCで自分の映像を配信するオンライン上の女の子「にち」に心酔する高校生の吉原は、ある日の配信をきっかけに、それが同級生の芥谷だと気づいてしまう。そこから二人の奇妙な関係が始まり――?「センチメントの季節」から20年――榎本ナリコが描くココロと性の世界。電子限定おまけ付き!!

[ブクログ · ★★★☆☆]

ネット上でエロ動画チャットに見入るのに、
その女性に感情移入すると「救おう」とする。
性交渉の機会には不自由していないのに、
友人の「恋心」に憧れ失ってほしくないと願う…。
身体が求める「性」と、理性や心が求める「情」。
大人でもなく子供でもない「制服」の時代。
二つの間で、割り切れず揺れ動く人々の姿が、
静かに熱く、悩ましく、切なく描き出されていきます。
第11話のタイトル「二律背反」は、作者さんご自身が
あとがきで書かれているように「正確ではない」にせよ、
この作品の主題を端的に言い表していると感じました。