あらすじ
古代から現代にいたるまで、
人は「因果関係」をどう考えてきたのか?
ますます複雑化する問題にどう向き合うべきか。
古代哲学から物理科学、カオス理論まで、
先人の軌跡をたどりながら、私たちの思考の可能性と限界を問いかける。
◆ものごとの原因を考える際に「多面的な分析が必要」とはよく言われるが、
私たちは本当に「多面的に分析」ができているのでしょうか?
また、どのような手法があり、それぞれどのような長所・短所があるのでしょうか?
◆本書は、精神医学の権威が哲学や科学の歴史を踏まえたうえで、
分析と語り方のモデルを体系的に整理して、
独自のフレームワーク「三面モデル」を提唱するものです。
◆「三面モデル」は、複雑な問題について
自分の分析の観点をチェックするときに役立つでしょう。
あるいは、誰かと議論していて理解できないと感じて
自分とその人の因果性の「前提」を考える軸にもなるでしょう。
先人の思考の軌跡をたどりながら、
「思考」に対する思考を深めたい方におすすめです。
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Posted by ブクログ
なぜなぜ分析という手法はかなり一般的ですが、物事の本質に迫る「なぜ」を考えることは難しいものです。
物事の因果関係の読み違いやデータ解釈のミスなど、失敗例について整理してくれている本はありますが、「なぜなぜ分析」という手法自体を体系的に整理し、具体的な手法まで落とし込んでくれる本はあまり無かったと思う。
何か起きた際に、それは「なぜなのか?」
最初に思いついた「なぜ?」が当てずっぽうでやっていては精度が低い。その精度いかにあげていのか?
さらに、複数考えられる原因をどのように整理して、いかに真因に迫っていくのか?考えるられる「なぜ」の種類の分類はとても参考になる。
難しくて理解するのが大変ですが、大変勉強になります汗。!
Posted by ブクログ
歴史を通じた学者の思考の変遷。
哲学や物理、科学など横断的に、
何をどう考え、発見してきたかをまとめた本。
ある程度幅広い分野の基礎的教養がないと
読みづらいでしょう。
でも逆に基礎知識がある人にとっては
横断的にものの考え方の変遷が捉えられて
面白いと思います。
Posted by ブクログ
二読、三読の価値がある本ではないだろうか。
因果関係をどう解明し、説明するか。
現在ではそれぞれの学問の流儀により、違うアプローチを取っている、のだろう。
因果性には複数の意味があり、状況や文化によりその意味も変わってしまう。
因果関係がそのようなものであるということを踏まえ、本書はいくつかある方法論を精査し、「三面モデル」という多元モデルにまとめ上げた。
その三面とは、概念モデル、分析レベル、論法モデルだ。
その問いに応じどのモデル、どの手法を使うか、判断していくというのだ。
現在は実証科学でないのに仮説検証型モデルで語ることを求められがちだ。
政治やビジネスで「エビデンスに基づいた議論」が称揚されるのも、そう。
本書を読んでいくと、問題の性質を問わず検証型を採るナンセンスさに思い至る。