【感想・ネタバレ】名探偵の証明のレビュー

あらすじ

そのめざましい活躍から、1980年代には推理小説界に「新本格ブーム」までを招来した名探偵・屋敷啓次郎。行く先々で事件に遭遇するものの、ほぼ十割の解決率を誇っていた――。しかし時は無情にもすぎて現代、60代となったかつてのヒーローはある事件で傷を負い、ひっそりと暮らしている。そんな屋敷のもとを、元相棒が訪ねてきた。資産家一家に届いた脅迫状の謎をめぐり、探偵業の傍らタレントとしても活躍している蜜柑花子と対決しようとの誘いだった。人里離れた別荘で巻き起こる密室殺人、さらにその後の屋敷の姿を迫真の筆致で描いた長編ミステリ。第23回鮎川哲也賞受賞作。/解説=村上貴史

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

2人の名探偵が登場する物語。
名探偵も年を取り、能力の衰えを感じ葛藤する姿はこれまでの名探偵は万能だというイメージとは異なる物で楽しむことができた。
事件のトリックよりも内面に重きを置いている小説。

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2024年08月21日

Posted by ブクログ

一世を風靡した名探偵の挫折から再生、そして名探偵とは何かを鮮烈に描いた本格推理。
名探偵の存在意義や後期クイーン問題。答えは出ていない。名探偵が愛おしくてたまらなくなった。
ハウダニットフーダニット、全く魅力がない。本作の評価はそこではない。彼ら彼女らの証明。名探偵の生き様に焦点をあて、フューチャーされない、されるべきではない物語となっている。
ミステリの魅力に改めて気付かされる。ゴリゴリのトリックを求めている方は、一度本作で頭をリセットしてから、カーでも読み漁ろうか。

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2018年01月18日

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新旧の名探偵が合わさり事件を解く中で、「探偵」について考えさせられる小説でした。
名探偵の存在に警鐘を鳴らしているというか。
主人公はキザなハードボイルド風な旧名探偵(キャラが合わない人多いかも、、笑)
新の方は旧に憧れたz世代女の子って感じでこちらは他で短編も出てるかな。

「答えを聞いてなるほどと思えた問題は自分でも解けていた証拠」
「探偵に必要なものは勘と運と想像力」
名フェーズでした。





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2025年06月08日

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 過去に大活躍した名探偵・屋敷啓次郎が衰え燻っている時に現役で大活躍している探偵・蜜柑花子と推理対決をすることになっていくが…というトリックやフーダニット以上に『名探偵の生き様』を鮮烈に描いたミステリーで、名探偵の存在意義を提示した異色作で面白かった。

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2024年11月10日

Posted by ブクログ

なんと2014年に一度読んでいて、すっかり忘れていて、再読。
さらに笑えるのが、2014年当時の評価は☆2 w

そうか、若かったときは、このくたびれたおっさん探偵と、態度悪(く見える)ジョシコーセー探偵の組み合わせが耐えられなかったんだな……。うん、少しくどいもんね。
と、他人事のように10年前の自分も理解できたw

が、今回おもしろかったのは、まさにそのくたびれたおっさん探偵のボヤキと後悔、次世代に繋ごうとする意志だった。
ひたすらミステリを読んで、スレたぶん、「名探偵」という存在のアインビバレントも重々承知で、こういう物語も「アリ」だな、と思う。
探偵が「推理する」ことの是非に真正面から取り組んだ作品。
「探偵の矛盾」みたいなものをテーマにするミステリが増えたことも、受け入れやすさの一因と思う。そういう点でも、先見の明の一冊!
今後の蜜柑ちゃんの活躍も込みで、ゆっくり読み進めたい。

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2024年08月28日

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ネタバレ

新しい、本格ミステリー。探偵を俯瞰的に見ると、行く先々で起こる事件に突っ込み入れたくなるけど、その背景や家庭事情や悩み含めて人間らしい懊悩がいい。新旧探偵の共演も面白い。
ロジック立てる段では、なるほど納得そうなのか!という美しい論展開ではない。話の魅力をキャラクターに振った結果か?
余談だが、p240ページからポケモンユナイトのBGMとともに読んだが、神がかり的なコラボに視覚と聴覚と思考力の臨場感高い。

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2021年10月31日

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年老いたかつてのヒーロがー、それでも自分であり続けようともがくさまを描く、一人称の語り口からもハードボイルドなお話。さらに言うなら、主人公の屋敷には、解説にも言及がある冒険小説のヒーローの面影が濃い。その分、トリックも小粒で純ミステリとしては軽め。もちろん名探偵という理不尽で不条理な装置について考えること以上のミステリなんてない、と主張されたらそれは同意するしかないが。

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2021年06月17日

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ネタバレ

ミステリを読んで、名探偵の孤独というようなものを感じることはあまりない。何故ならば、大体において、名探偵という人種は、一般人に比し突き抜けた思考回路を持っており、そんなことは意に介さないように振る舞うから。

でも、一人苦悩する探偵が少なからずいるのも確かだが、それが自分に課せられた役割と割り切り、前へと進む。

しかし、その存在そのものが犯罪を誘発しているなどという誹謗中傷を名探偵が受ける作品は目にしたことがない。それはあまりにもひどい妄言であるが、それは名探偵に対する痛烈なアンチテーゼでもある。

往年の名探偵・屋敷啓次郎はそのような誹謗中傷を受けてきた。そして、次世代の名探偵・蜜柑花子は、啓次郎を敬愛し、彼に私淑する。この対照的な二人の探偵が事件解決を競い合うのかと思いきや、然にあらず。

名探偵が直面する栄光と挫折、そしてリスク。その厳しいまでの現実と、その壮絶な生き様がかつてない探偵像を示す作品。

これまでミステリを読んで感じたことのない感情を覚える。そういう意味では私にとっての新たな地平線が開けたような気がする。

探偵の安息の地はどこにあるのだろうか?事件が解決しても心休まらない悲しい存在のように思えてきた。

いずれにしても、啓次郎から花子へと、確かにバトンが手渡された。名探偵の矜持とともに。

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2019年06月30日

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名探偵の老いと最期ということではポアロの「カーテン」がありますが、名探偵自身の語りで老いに伴う葛藤を語られるというのは新鮮でした。お話も多層的になっていて最期まで読ませるし、ラストも何とも言えない味わいでした。

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2018年02月18日

Posted by ブクログ

市川哲也の長篇ミステリ作品『名探偵の証明』を読みました。
市川哲也の作品を読むのは初めてですね。

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そのめざましい活躍から、1980年代には推理小説界に「新本格ブーム」までを招来した名探偵・屋敷啓次郎。
行く先々で事件に遭遇するものの、驚異的な解決率を誇っていた――。
しかし時は過ぎて現代、ヒーローは過去の事件で傷を負い、ひっそりと暮らしていた。
そんな彼を、元相棒が訪ねてくる。
資産家一家に届いた脅迫状をめぐって若き名探偵・蜜柑花子と対決から、屋敷を現役復帰させようとの目論見だった。
人里離れた別荘で巻き起こる密室殺人、さらにその後の名探偵たちの姿を描いた長編ミステリ。
第23回鮎川哲也賞受賞作、待望の文庫化。
解説=村上貴史
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2013年(平成25年)に『名探偵-The Detective-』というタイトルで第23回鮎川哲也賞(選考委員:芦辺拓、北村薫、辻真先)を受賞した市川哲也のデビュー作……名探偵の証明シリーズの第1作です。

かつて一世を風靡した名探偵・屋敷啓次郎が、現代のアイドル探偵・蜜柑花子とともに再起をかける……“老い"という人間の宿命を、2人の名探偵を通じて活写する、第23回鮎川哲也賞受賞作。

主人公・屋敷啓次郎は、一世を風靡する活躍から推理小説界に新本格ブームまでを巻き起こした時代のスター……ところが時代は移り、かつての名探偵も還暦を過ぎて輝きを失っている という設定、、、

しかも、既に新しい名探偵で美少女の蜜柑花子が席巻し、世の中の人々は、かつての名探偵・屋敷のことを忘れてしまっている……名探偵の老いや宿命、そして再生をテーマに描いた独特の作品でしたね。

単なる事件の謎解きに留まらず、名探偵という存在そのものの本質に迫った意欲作だと感じました……世代が近いので共感できる部分が多かったです、機会があれば、名探偵の証明シリーズの続篇を読んでみたいですね。

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2025年10月09日

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鮎川哲也賞受賞作との事でしたが、普通の探偵小説でした。
ちょっと期待が大きすぎたかも。
表紙のイラストからしてもう少し若い探偵かと思いましたが、想像とは違っていました。
大どんでん返しというほどではないですが、最後になるほど。という結末がありましたので、途中で挫折しかけましたが最後まで読んでみて良かったです。

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2025年02月15日

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ネタバレ

過去の名探偵とその相棒並びに現代の名探偵がそれぞれの思惑の中で挑む事件。その真相が最後に明かされた時には驚かされました。
最後に七瀬が父親に伝えたかったことは何だったんでしょうね。

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2022年10月29日

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着眼点は今まで読んだミステリの中でも異質で面白かったが、話の内容自体は可もなく不可もなくという感じでした。シリーズ一通り読むと印象変わるのかな。

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2022年08月12日

Posted by ブクログ

鮎川哲也賞受賞作。過去の名探偵と、現在の名探偵を共演させることで、名探偵の終わりゆく姿をまざまざと見せつける。テーマも構成も面白いのだが、いかんせん事件の謎の質が低く、彼・彼女らが名探偵であることの証明が出来ていない。

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2020年04月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルに惹かれて購入。文章も読みやすく、謎解きも丁寧だったのですが、読み終わった後は、おもしろかったという気持ちよりも後味の悪さが残ったような気がします。

物語のラストもそうなのですが、小説の中での名探偵という存在に対する世間の考え方が、非常にシビア。

探偵が主人公の世界(小説)であっても、全員が探偵に肯定的でないのが、ある意味、現実に近いのかもしれないですが。

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2019年11月01日

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