あらすじ
唯一の目的は「生存」、最強の武器は「頭脳」
軍事が生み出す驚異の最先端テクノロジー、超エリート選抜教育、「知」の最強国家イスラエルの真実に迫る!
イスラエルと聞くと、一般的な日本人は「パレスチナ問題」「紛争」などを想起し、明るいイメージを持っていないかもしれない。
だが、じつは私たちの周囲には「イスラエル」が溢れている。あなたが使用しているパソコンのCPUがインテル製であれば、その8割以上はイスラエルで開発されたものである。スマホでグーグル検索をすると、文字をいくつか入力しただけで、候補がプルダウンのように表示される。これはイスラエルにあるグーグルの研究所で開発された「グーグル・サジェスト」という機能である。同じくグーグルの「ページ分析」、ユーチューブの「ライブリザルツ」なども、イスラエルで開発されたものである。そのパソコンを外部侵入者から守ってくれる「ファイアーウォール」を開発したのもイスラエルのハイテクベンチャーである。
このほかにも、ドローン、監視カメラが不審人物を自動的に検出する人工知能フィルター、小型胃カメラ、チョコレートの「マックスブレナー」、死海のミネラルを使用した化粧品やアンチエイジング技術、ダイヤモンドの研磨技術、砂漠の灌漑技術など、イスラエルから生まれたものは非常に多い。
イスラエルは国民1人あたりでみると、ノーベル賞受賞者数、博士号保有者数、教育費、特許数、ベンチャー起業数、研究開発費(対GDP比)などで、世界トップクラスである。
冷戦後の経済成長率(1991年~2015年までの実質成長率)では、イスラエル(174%)は日本(20・5%)を大きく凌駕している。しかも、イスラエルは第2次産業のGDP比が日本よりも高い。イスラエルは「ものつくり」を含めた実体経済で急成長を遂げているのだ。
なぜイスラエルはこれほどの急成長を遂げたのか? その背景には、ロシアや東欧から高学歴移民を受け入れたことや、イスラエル軍が数理系の才能をもつ若者を選抜する超エリートプログラム「タルピオット」「8200部隊」の存在がある。また、イスラエル社会には「失敗を恐れない精神」、ユダヤ人の伝統である「どんな権威にも遠慮せず、自由な議論を尽くす慣習」、そして世界各国からの移民がもたらす「パイオニア精神」がある。
著者は総合商社時代から、ビジネスを通じて多くのイスラエル人と親交を深めてきた。徹底的な現地リポートから、イスラエルの強さの秘密を探る。
【目次】
はじめに イスラエル急成長の秘密を探る
第1章 爆発するイノベーション
第2章 移民がもたらす「頭脳」と「多様性」
第3章 世界最強 イスラエル軍の超エリート教育
第4章 「失敗を恐れない」教育と知的執着
第5章 イスラエル・エコシステムと日本の協働
あとがき
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
フロイト、メンデルスゾーン、フォン・ノイマン、、人口に比し異常に高いノーベル賞受賞者率、ハイテク産業での存在感、起業率、、、イスラエルすごい!!その秘密は、同じ移民国家であるアメリカとの深いつながり、アメリカンドリームを目指した移民たちとは違ってそもそもの国家の生存をかけているということ、開拓者魂で失敗を恐れない、既存のルールやユダヤ教の教えの解釈まで疑問を持ち議論をしまくる、軍のスーパーエリート教育、、
もうすごすぎて読んでるとモチベーション上がる。私も、、今の環境に甘んじず、自分を求めて動いてもいいのだろうか。もっと既存のルールに疑問を持ったり、既存の価値観に縛られない問題解決能力を身につけようか。
そしてほんの最後にはイスラエルの欠点もちゃんと書いてある。激しい人柄、企業が大きくなる前にアメリカなどに売却してしまうこと、、、
とにかくわくわくしたし面白かった!
Posted by ブクログ
【イスラエル国内はもとより,世界中のユダヤ人がネットワークで繋がり,助け合う。目標はただ1つ,「生存」。そのために,イスラエルは「知」を結集してきたのである】(文中より引用)
紛争や宗教といった側面から捉えられることの多いイスラエル。そんな同国が有するハイテクや先端科学といった優れた知の側面に光を当てた作品です。著者は、三井物産のワシントンDC事務局長等を歴任した米山伸郎。
イスラエルが有する様々な知的優位性を的確かつ端的に記しています。基本的に褒め一辺倒の作品なので少し割引く必要もあるかと思いますが、それにしても同国の持つポテンシャルの大きさを考える上で大変参考になる一冊でした。
本書でも紹介される『Start-up Nation』と合わせて読みたい☆5つ
Posted by ブクログ
イスラエルについて無知だったため購入。
自分の知っている新規技術に関してはほとんどイスラエル発祥で
彼らの国民性、なぜイノベーションが起きるかについて知ることができたので、非常に有意義な情報だった
やはり周囲に治安が良くない国に囲まれているため
生への執着、意識が国としてまるで違うのと
教育システムによるものか、という考えが浮かんできた
他の本も読んでみて、また仮説を立ててみようと思う
Posted by ブクログ
急成長するイスラエルの背景にはユダヤ人の歴史上長きに渡って培われた危機感がある。それが原動力の1つとなり技術革新が好循環で進んでいる。とても参考になった。
Posted by ブクログ
イスラエルと言えば先端技術というのは知る人ぞ知ること。イスラエルのそういった側面が何に支えられているのかを解説しているこの本。キーワードは、移民活用、教育、徴兵制、横の連帯意識、起業精神あたり。イスラエルは人口国家だけに最初はとても少なかった人口を移民政策によってどんどん取り込んだ。とはいえ、皆ユダヤ人であり、ユダヤ教徒ではあるんだけど。ロシア移民が入ることで大分人口が増えたようだ。そして、ユダヤ教教育に依る歴史への理解と、横の連帯。徴兵制によってできる人脈と、独自の教育体系が起業精神を育んでいると。そんなユダヤ人と日本人が組めば大きなメリットになるのではと説く。とりあえずイスラエルが単なるアラブの敵ではないんだなと知るために良い本。
Posted by ブクログ
生き延びる、生き残る、自分自身ではなくネイションとしてというなんとも憧れるネイションとして存在するイスラエルの最新情報。ビジネスに関する情報=国家戦略という、イスラエルらしい生存のための戦略がきれいにまとまった1冊。素晴らしい。
Posted by ブクログ
著者の米山伸郎氏は、長年三井物産に勤務し、現在、日本の中小企業の海外展開を支援するコンサルティング会社&商社の代表を務めるビジネスマン。
本書は、近年世界のビジネス界で急激に存在感を増しているイスラエルについて、その急成長の背景を分析し、更に、日本との協働のヒントを探ったものである。
私は、1年ほど前に、エルサレムとヨルダン川西岸のパレスチナを1週間ほど一人で旅したが、そのときの自分にとってのキーワードは、3宗教の聖地エルサレム、パレスチナ問題、ホロコーストを経験したユダヤ人の3つであり、「イスラエルのビジネス・産業」は全くと言っていいほど視野に入っていなかった。ところが、最近立て続けに、仕事絡みでイスラエルのベンチャービジネスに関する集まりに招待されるなど、ビジネスにおいてイスラエルを強く意識し始めた矢先に書店で本書を目にし、早速手に取ってみた。
改めて驚くのは、イスラエルのIT・ハイテク・バイオ等の分野における存在感である。インテルのプロセッサー、グーグルの検索機能「グーグル・サジェスト」、パソコンのセキュリティ機能「ファイアウォール」、ドローン(小型無人機)。。。いずれもイスラエル発の技術なのである。
本書では、その成長の要因を多角的に分析しているが、突き詰めると、ユダヤ人が歴史上長期間に亘って迫害され、ユダヤ人そしてイスラエルが「国・民族の生存」のためにそれらを必要としているということに行き着くのだ。起業家精神とイノベーションに繋がる考え方とメンタリティ、世界中からのユダヤ人の移住がもたらす頭脳と多様性、世界最強のイスラエル軍を作り上げる超エリート教育、いずれもユダヤ人とイスラエルという、極めて特殊な歴史・環境が生み出したものとして納得がいく。
著者は、更にもう一つの特徴として、「“失敗を恐れない”教育と知的執着」を挙げるのであるが、これは「フェールセーフ」のシステム、即ち、仮に一部のサブシステムに失敗があっても、残りのサブシステムがバックアップすることにより、トータルシステムとしては確実に高い目的を果たすという設計思想であり、大きな伸び代を持つ若者に挑戦と失敗を繰り返すことを許容すれば、一時的な社会コストは高くなるかもしれないが、逆にシステム全体の成長や生存性を高めるという、我々にとっても非常に参考になる発想かもしれない。
そして最後には、イスラエルと日本の補完的協働による相互発展の可能性についても語られている。
日本とイスラエルは地理的にも歴史的にも結びつきは薄く、日頃のビジネスに関する情報も多いとは言えないが、今こそ、政治や宗教とは違った角度から知っておくべき国であることは間違いなく、それをタイムリーに取り上げた本書は一読の価値があろう。
(2017年11月了)
Posted by ブクログ
イスラエルの強みと日本の現状を比較し、日本はイスラエルに学ぶところがたくさんあると。
内容は繰り返しが多く、半分のボリュームで十分である。
共通点は資源がないこと。昔、小学校か中学校で、加工貿易という言葉をならった。資源を輸入し、付加価値をつけて輸出する。イスラエルは、加工することがない(メーカーが少ない)ので、知識(頭脳)で付加価値をつけて輸出しているといえる。
しかし、この本には書いていないが、国民のすべてが「知」で仕事ができる脳力を持っていることはないだろうし、国を維持していくには肉体労働をする人も必要になる。その点にもう少し踏み込んでくれるとよいと感じた。
イスラエルは、回りすべてが敵である。ユダヤとイスラムの宗教の違いだ。
宗教の問題は私が理解できるものではない。特に肉親宗教と言えるユダヤ、キリスト、イスラムの戦いである。
そんなイスラエルが生き残るには、他の国がイスラエルを必要とすることだ。
台湾の半導体がまさにそれである。
日本も、世界の中でどうやって生き残っていくかを考えると「知立」はそのキーワードになる。
シンガポールも小さな国であるが、独自の生き方をしている。
以上はこの本を読んで感じたことだ。
Posted by ブクログ
イスラエルの成功例を用いての日本人への提言。
何となく米国というフィルターを通っていたり、米国との関係の中での成功例というバイアスがある様に感じてしまうが、確かに学ぶべき点は多くあると思う。
提言からもう一歩進んだ具体策にまで踏み込んでもらうと、一段と面白いものとなったのではとも思う。
Posted by ブクログ
イスラエルの主にポジティブな面に焦点を当てた本。
ある程度イスラエルのことは知っているつもりだったが、初めて聞く制度や団体もあって勉強になった。
Posted by ブクログ
イスラエルがいかにIT大国かということが分かる本。
国の成り立ちからして日本とは全く異なる。
人工的に作られた国。
1948年イスラエル建国時人口60万人。
2017年現在人口868万人。
移民が支えた急成長。
Posted by ブクログ
イスラエルの最終目的は「生存」であり高い起業力とイノベーション力の背景には、
・「ユダヤ人特有の自由な議論を尊重する文化と教育」
・「移民」
・「軍」
・「アメリカ中枢への刺さりこみ」
がある。
資源は「人間」のため多くの移民を受け入れ、ソリューションを考え出す自主自立の精神を教育方針とする。既存の価値観をも疑問視できる知的執着によりイノベーションが生じる。
若いうちの兵役で才能と自立心を養うが、「生存」が一番なので「個」のエゴを上回る「大義」に尽くす大切さを身につける。
「0から1」を生み出すイスラエルと「1から100」を育てる日本、似ているようで異なるからこその協働もある。
総人口の増やし方より国民一人ひとりの「個」の力の向上・・・人口の少ないイスラエルから学ぶこととして少子高齢化に対する意見が感慨深い。