【感想・ネタバレ】盗賊王の純真～砂宮に愛は燃える～のレビュー

魚谷はづき / 坂本あきら

おまえには優しい盗賊だ。

王家に輿入れのはずが盗賊団の頭領と恋に落ちて!?

「姫と盗賊……案外、悪くないのかもな」幼き日の恋を胸に秘め王へ輿入れするはずだったネーシャは、花嫁行列を襲われ囚われの身に。ところがネーシャを攫ったアティルは盗賊でありながら義侠心があり、皆に慕われる頭領だった。初恋の人を思わせる琥珀色の瞳にひとたび心と体を許せば、とろけるような恋の悦びがふたりを包み込む……。しかしアティルは逃れられぬ過酷な使命を背負っていて……。

[ブクログ · ★★★★☆]

読み応えのある作品だったと思います。
ジャンルは間違いなくTLだと思いますが、重い宿命と秘密を抱える砂漠の国の第２王子が兄王に命じられるがままに「国のための生け贄」となる運命を受け容れつつも、罪なき民を無益に殺したくないという気持ちと国への忠誠心の間で葛藤する様子がよく描かれていました。
王子はやがて、兄王に嫁ぐはずだった小国の姫君との出逢いによって、いつまでも唯々諾々と兄に従っていてはいけないと目覚めます。
国どころか、近隣の諸国すべてを大昔から欺く大きな陰謀と秘密、更にそれを生まれながらに背負わされた薄幸の王子。スケールの大きな作品だと思います。
ただ一つ感じたのは、この作品にそこまでラブか必要だったかなということ。
レーベル上、仕方のないこともかしれないけれど、折角の作品の雰囲気が少し損なわれているような気がしました。
ただ、これはあくまでも個人的な好みです。
主役の二人のキャラがとても良いと思いました。