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Posted by ブクログ
ときに美しく、ときに物悲しく、ときに晦渋である18篇の小説を収めたル・グウィンの短編集。
荘重で神話的な『冬の王』や寓話的な『オメラスから歩み去る人々』などは特に印象深かった。
SFからファンタジーまで、作品群があまりに多彩なので、集めるとまとまりを欠くようにも感じるけれど、世界への精緻な洞察、思考停止に流れる怠惰さへの怒り、精神の高潔を愛する強さなどは、他の長編と同様、これらの短編の根底にも一貫して存在しているように感じる。
Posted by ブクログ
著者にどこまでついていけるか。寓話・神話・逸話・昔話。想像力が試された感じがする超・作品集。難解な箇所も多く、読むのに時間掛け過ぎた。完全に理解するには今の自分が持つ知識と時間では足りない。そんな具合で読み続けて印象に残ったのは以下の話。
孤独な異端者らは引き寄せ合い集う「四月は巴里」。
現実逃避ではなく己と向き合い自分探しの旅に出るような、ハヴ・ア・「グッド・トリップ」。
残された一人のクローンのその後の生き方が気になる「九つのいのち」。
最後には星の光が見えて学者も報われるがちょっと切ない終幕の「地底の星」。
など、この本書中ではどこか(解りやすく)前向きに終わる作品が好み。
その他、ちょっとぶっとんだ発想の、擬自我(意志)を持った(擬人化)大樹の働きが描かれた「相対性」も面白かった。
そして、「オメラスから歩み去る人々」。色んな点で考えさせられる主作品。
全編通して、いつかまた挑戦したい。