あらすじ
アーティストと隣り合わせの苦悩・葛藤。危ないアーティスト・空波丈と行動を共にするうちに、丈の中にある“闇”を垣間見た由冬リロ。記憶のない「空白の2年間」に一体、何が…!? そして、迫る「闇のオークション」。丈に課せられた使命は……“贋作”!
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Posted by ブクログ
私は猿渡先生の全ての作品を読んでいるわけじゃないですし、漫画に「本物」も「紛い物」もないと思っております(まぁ、世の中には「漫画なんて、全部、嘘っぱち」と仰ってくださる方もいらっしゃるが)し、その考えの上で、こうやって感想を綴るように心がけています
だからこそ、言いたいのです
この『GOKUSAI』には、「本物」の漫画だけが出せる厚みがある、と
技巧とか、構成とか、そんな次元を飛び越して、読み手をグイッと作中に引きずり込める、暴力めいた魅力を持っている漫画なんです、これは
一巻は割とポップで軽めに楽しめる話が多いが、二巻は丈の心の「闇」と、その心の靭な強さを前面に出しています
丈の実母・龍子は性根の髄まで、とことん邪悪で母親の資格など無いが、『美』を愛する一人の人間としては、思わず感服してしまうほどの芯が頭の先から、肚の中心を通って、足先まで通っている
彼女の言葉を無断拝借するなら、「アート」な人間でしょうか?
どちらが『GOKUSAI』らしい、とは決めがたいが、どちらに意識が重なりやすいかと言えば、二巻でしょうか
印象に残ったシーンは、Art.15〔苦悩と至高〕のラスト、血塗れで母に対し、決別の言葉を口にした丈、ゾクゾクと背骨を突き上がって来るモノがあります