あらすじ
演劇祭の舞台装置を描くため、高校美術部の先輩、香澄の家での夏合宿に誘われた毬子。憧れの香澄と芳野からの申し出に有頂天になるが、それもつかの間だった。その家ではかつて不幸な事件があった。何か秘密を共有しているようなふたりに、毬子はだんだんと疑心暗鬼になっていく。そして忘れたはずの、あの夏の記憶がよみがえる。少女時代の残酷なほどのはかなさ、美しさを克明に描き出す。
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Posted by ブクログ
ろくにあらすじも読まずに装丁買いしたので、ミステリとは思わず、だんだん謎が深まっていく展開にドキドキしながら読み進めました。3部+終章という構成でそれぞれ別の語り手が登場しますが、第1部の世界がとても美しくて、毬子ちゃんには世界がこんなふうに見えているのかと思うと、皆が毬子ちゃんに惹かれるのもわかります。
また、登場人物の書き分け、世界観を補填するための細部の描き込みが絶妙で、登場人物によって世界の見え方に違いを持たせながらも、それでいて作品全体として統一感もあり、作者の技量を感じました。
Posted by ブクログ
完璧な美少女・香澄と芳野に、香澄の家で演劇部の舞台背景を完成させるべく夏合宿しようと誘われる毬子が、数年前に香澄の家で起きた事件を巡って起きるあれこれに巻き込まれる話。毬子・芳野・毬子の友人の真魚子と視点人物を変えて語られる。青春小説かつサスペンスアンドややホラー。
香澄の母の自殺だった、というのは納得するんだが、結局香澄と毬子の事故は香澄の仕掛けた自殺だったのか、だとしたらその動機はなんなのか、いまいちわからない。登場人物が死んでオチをつける話は、それで感動する場合もあるけど納得の展開でなければ往々にしてチープなオチに思えてしまう。だから前半までは面白くハラハラしながら読めたけど、ちょっと不完全燃焼な気がした。
Posted by ブクログ
「ネバーランド」と対になるこの作品。
恩田陸さんの少年少女たちが出てくる作品はとても良い…
大人になりかけの少女たちが過去に事件があった家で夏を過ごす、そんな話。登場人物が魅力的で、語り手が章ごとに入れ替わることで登場人物への印象もうつり変わっていく。
三章の語り手の真魚子は読者の代弁者的な立場で、事件とは全く関わりのない立場から物語をみてストンと締めくくってくれるのが気持ちいい。
少し終わらせ方が強引かなと思うところはあったけど本当に真夏の夜の夢を見たあとのすっきりした不思議な気分になれるそんな話でした
Posted by ブクログ
1992年にデビューした恩田陸氏による作品。文芸誌に分割掲載されたのち、2004年に単行本化。
強いてラベリングするならば、ミステリー系青春小説!?
・・・
恩田氏お得意の群像劇系の作品。
構成としても4章からなる各章を一人称で語らせるもの。この手法も馴染んできました。
・・・
第一章は毬子の視点。
高校二年生の美術部。まだ純真。高校三年の憧れの先輩二人(女)と演劇祭の舞台背景作成のため、先輩の家(女ですよ)にお泊りにいくということでウキウキ。
また、親友がダブルデートを仕組んで他校の男子と知り合いになったり、身辺に動きがあります。ただし、先輩の家にお泊り合宿すると、物事は予想しない展開になってゆきます。
第二章は芳野の視点。
彼女は高校三年の美大志望の女の子。香澄という相棒とともに、学校でも超然とした様子に映る彼女からの視点。非常に冷静に世界を観察し、毬子のあどけなさ、相棒の香澄の分からないところ、香澄の家での女子合宿への闖入者たる月彦(香澄の従弟)やその友暁臣の心情を読み取り、時に牽制し、時に操ろうとします。
第三章は真魚子の視点。
ってか名前が妙に少女マンガっぽい雰囲気。
彼女は毬子の親友。素直過ぎる毬子と比べれば彼女はかなり冷静。仲間として毬子も好きだし、ボーイフレンドも好き。一学年上の芳野と香澄の超然コンビに憧れもあるものの、違和感もある。そうした中で毬子が二人に抱きこまれるように合宿に参加するのが若干悔しくもあるという感情も。
物語りの後半以降を締めくくる重要なポジション。言わば物語の見届け人のような立ち位置。
終章は香澄の視点。
あたかも彼女の辞世の句のような短章。
三章までではいまいち確証が持てない空白部分を彼女の独白が埋めてくれます。
・・・
ということで、恩田作品でした。
夏休みの私的合宿(お泊り会)から一つの事件が発生し、それには過去から因果があったことがつまびらかになる、というものでした。
性格のはっきりと異なるキャラを配置して一人称で語らせる、というのがいかにも恩田さんらしい作品でした。
Posted by ブクログ
高校生くらいに呼んだ気がする、再読。
その頃の感想は「やっぱり恩田さんの描く女の子たちは強くて、こうなりたい」
今となってはそれが毬子なのか、香澄なのか、芳野なのか、真魚子なのか、わからない。
てか香澄死ぬんだっけ
びっくりした
終わり方も綺麗だったなあ
香澄の視点で終わる感じがいい
わたしがあの時感じた「強い女の子」って誰だったのかな
強くて綺麗なんだよなあ
誰だろう、でもみんなそれぞれ強さがあった気がするな
そして美しい
「少女」の残酷さが美しいな
ストーリーの展開も静かで美しい
本格サスペンスには遠いけど、恩田さんの作品が好きな人にはわかる感覚だと思う
月彦が香澄のお母さんを殺した犯人が香澄だと告げた、最後に香澄の視点でそれはお母さんからの指示だったと
それを知ってる人はそして誰もいなくなる
残酷な終わりで美しい
Posted by ブクログ
んー幻想ほど憧れの女の子は幻想ではなく普通の女の子だったということだろうか
誰もが他人に夢を見ている、自分のイメージの世界を生きているということだろうか
一人で行こうとしたなんて幻想で、ただの事故死なんてめっちゃ残酷だな
その幻想が香澄を殺したみたいに見える
多分全然解釈違いだろうけどそうゆう印象
Posted by ブクログ
高校の夏休み、演劇祭の舞台装置を描くために、先輩、香澄の家に泊まり込むことになった鞠子。でも、そこに集ったのは、過去に起きた不幸な事件と深く関わりのある人たちだった。
香澄や鞠子はどう関わっていたのか、ハラハラしながら一気読み。最後に意外な真相が明かされるが、恩田さんのミステリーは、ホントに面白くて、今回もまた引き込まれてしまいました。