【感想・ネタバレ】持続可能な資本主義のレビュー

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Posted by ブクログ

「良い会社」の判断基準が書かれている本。

いまの自分の知りたいことにかなりフィットした本だった。タイトルに資本主義という言葉が書いてあるが、斎藤幸平さんのようなガチガチの資本論が書かれている本ではない。むしろ、ニュースで耳にするような社会問題に対して「良い会社」がどのように取り組んでいるか、いくつか例が紹介されており読みやすかった。
投資信託の会社なのに、数字は参考程度というスタンスがかなりかっこいい。「鎌倉投信から融資を受けている会社は良い会社」という評価が他の金融機関に広まっているところもさらにかっこいい。

鎌倉投信という会社の新井さん(もう退職され別の会社を立てたらしい)の著書なので、かなりポジショントークが含まれていると思うが、私にとってはタイムリーに欲しかった情報だったのでとてもためになった。
これから資本主義は崩壊していく。これは間違いないと思う。成長し続けない資本主義経済を、企業が、社会がどう創り上げていくか。そのプラットフォームの上で私たち個人が考ええて生活していかないといけないと思う(個人個人がちゃんと考えられるようにならないと取り残されてどんどん格差が広がっていくんじゃないかな)

私は20年来、投資をしてきた。初めはもちろん利益を追求していたのだが、年齢を重ねるにつれて社会や地球環境に良いことをしたい、そのために投資したいと考えるようになった。ただ具体的にどのようすれば良いか、どこに投資すれば良いかわからないままでいた。自分で企業を調べるには時間が無いし限界がある。
たまたま手に取ったこの本に、私の答えの一部が書かれていた。鎌倉投信さんの「結い」に投資するのも良いなと素直に思った。

あと、私はまだまだ勉強が足りないなと思った。

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2024年04月11日

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鎌倉投信については耳にしていたが実際にその内容については知らなかった。
フローよりストック、短期より長期、八方よしの経営については非常に共感が持てる。
やはりオールドパラダイムで動いているステークホルダーとの調整をやりつつ、新しいパラダイムにどう移行するかと言うところがチャレンジングで面白そうな部分だ。その軋轢をどう乗り越えてこの持続可能な資本主義を展開していけるか。

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2018年04月01日

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ネタバレ

常に右肩上がりの成長を求めなくてもよい資本主義の在り方はないものなのかと漠然と考えることがあったところ、本書で述べられいる考え方がその解決の一つになり得そうだなと思えた。
効率化はステイクホルダーの分断をもたらし、リターンをお金だけで定義するとステイクホルダーの利益は相反してしまう。客観的基準ではわからない主観的評価をすることによって、地域、社会、国を含めた八方よしの「新日本的経営」を認め、応援することにより全ての関係者が利益を得ることが可能になるという。そんな新日本的経営を行う会社を応援したいなと思わせられる本。このような会社を評価して個人に紹介し、各個人がそれを応援できるような仕組みがもっと必要だと感じた。ふるさと納税の応用バージョンのような形でできないものだろうか。

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2017年09月30日

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本来の金融の意味やあり方、社会全体のあり方を問うてる本だと思います。
僕は金融マンが持って置くべきマインドだと思うし、このような仕事がしたいと思っています。

理想を語るだけでなく、実践されて結果を出し続けている方の一つのあり方、考え方、やり方に触れて、自分自身何をどう考え行動するのか考えさせられました。

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2017年04月05日

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## 感想
色んなものの有限性を気にしないで済んだ時代に通用した手法が、今の制限だらけの世で通じるわけがないんだな、ということを改めて意識した。
夢ケーキの話は印象に残った。社会の問題を自分たちの問題として引き受けられるか。
漠然と抱いていた、終わりなき利益追求への違和感を言語化してもらえた感覚。
関係者への支払いをコストとして捉えずに、相手との共通の価値を作っていく。心穏やかに生きるために、良いヒントをもらえた。

NPOに対する誤解
## 残ったフレーズ
- 見えざる資産
- 顔の見える関係を取り戻す
- リターン=金の価値観においては、キリがなく、金を増やすこと自体が目的になる
- ROEのみで会社を判断するのは、偏差値のみで人を判断するのと同じ
- ホスピタリティは標準化するとただのサービスになる
- 八方よしの企業
- 社員
- 取引先・債権者
- 株主
- 顧客
- 地域
- 社会(地球・環境)
- 国
- 経営者
- 人件費は「コスト」ではなく「利益の分配先」
- 極端な価格選好は分断を招く
- お金がリターンである限り、配当がどれだけ多くても株主と企業は利益相反
- 経営者は企業の理念を形にし、共通価値が生み出せるように導く役割でしかない

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2021年08月10日

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ネタバレ

二宮尊徳の「三方良し」を投資家目線で現代の日本企業をジャッジしてファンドビジネスするなら「八方良し」を目指す形となった、という内容。

実際に「鎌倉投信」を運営しているのでその信頼度はリアルタイムに結果に出るのでそちらでその都度確認するとして、そのジャッジの方法が「見えざる資産(社風、企業文化、社員力、社員のモチベーション、経営者の資質、社内外に気づかれた信頼、理念に対する共感など)」を「主観」によって独断で決めているというところ。

あと、フローの増加(短期売上)を四半期で追求する企業が増えるほどに社会基盤の破壊行為が横行し、究極的には戦争ビジネスに行き着くという考えに共感する。
破壊と再生のプロセスはストックで見ればプラマイゼロであっても、フローでは再生された分だけ増加する。しかもゼロからであれば伸び率の初速がハンパないわけだ。
そこで著者はこの短期志向へ向かいがちな資本主義に「長期的な最適化(社会基盤を毀損しない)」を念頭に置く「時間軸」を重視するよう主張している。
この辺りの主張は経済学者の宇沢弘文さんの「社会的共通資本」を連想した。SDGsが叫ばれる昨今、この問題意識はとても重要だ。

<八方良し>
①社員良し
②取引先・債権者良し
③株主良し
④顧客良し
⑤地域良し
⑥社会良し
⑦国良し
⑧経営者良し

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2021年07月22日

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ネタバレ

印象に残ったところ
・資本主義の鉄則を会計学からみて、「フローの最大化」としている点がわかりやすかった。資本主義はBSとPLからみると、ROEなど一定期間の利益であるPLのフローを重視していることになる。

・フローの増加を目的にすると、「計画的陳腐化」のように、短期間しか持たないものを生産してしまう。破壊して再生するとストックはプラマイゼロ。フローだけ見ると生産高が増加しているため。

・「フローの増加の追求」は短期的最適化。「ストックの増加の追求」は長期的最適化といえる。
 =>自分の働き方にも言えるかもしれない、短期的に利益の上がることを優先してやって、長期的にみて必要なスキル向上は後回し。

・CSRとCSV
CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)は、もともとヨーロッパで失業対策のために、起業が雇用を促進するためのものであった。しかしアメリカ輸入時に営利目的以外の寄付やボランティアと解釈されてその後日本に入ってきた。。
CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)は、ボランティアではなく本業で社会貢献すること。「三方よし」につながる。

・日本の住宅は欧米に比べてサイクル年数が極めて短い。欧米は100年持つのに、日本は20~30年ぐらいでスクラップ&ビルド。

・用語
 -貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう):BS(バランスシート)
 -損益計算書:(PL:Profit and Loss statement)
 -ROE(自己資本利益率:Return of Equity)

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2019年06月20日

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◯本業を大きく捉えると「菓匠Shimizu」のように、自然とファンが生まれます。(101p)

◯「いい会社」にとっては社員の人件費も、取引先への支払いも、株主への配当も、コストではなく、「付加価値の分配」になります。(162p)

◯これまでのように「福祉やインフラ整備は国の仕事」と考えていては、社会のあちこちに綻びが生じてしまう。(184p)

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2017年12月21日

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メモ
人の 生きる 世界 も 同じ です。 たとえば、 経営者 が 語る 理念 が どこ か 不自然 な 企業 が あっ た と し ます。 大義 を 掲げ ては いる ものの、 何 か とっ て つけ た よう な 印象が 残る。 そういう 企業 は、 しばらく 経つ と たいてい は 無くなっ て しまい ます。 いくら 壮大 な キャッチ コピー で 飾っ ても、 不自然 な 企業 は 長続き し ない の です。 逆 に、「 いい 会社」 は 理念 が 明確 で、 地 に 足 が 着い て い ます。 そういう 企業 は、 結果的 に 社内外 の 多く の 人 に 支え られ 長く 残っ て いく の でしょ う。

>結局、長期的な目線になれば、自社に関わっている人への提供価値をつきつめることになると思うし、もちろん偏りはあるけど、昔からそうだったと思う。
それを経営者として企業の本質に立ち返って、考えられるかが重要なのかもしれない。

あと、著者のお金の形成と社会の形成、心の形成が重要という考えは納得。

また、日本のNPOにもいいNPOとよくないNPOが出てきているという傾向の話があったが、
企業だけではなく、NPOも変化に晒される時代なので、
きちんと自分たちの事業で付加価値を生み出すことを意識しないと淘汰されてしまうのだろうなあと思った。

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2017年10月21日

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日本国内の「アメリカ式経営に追いつけ」の風潮に一石を投じる一冊。そもそも経済成長する必要があるのか?という問いには、自分がいかに固定観念に捉われていたかに気付かされた。一方、筆者の述べる「八方よし」の経営が成り立つ背景にはそもそも経営者の経営力が高いのではないかという逆説的な仮説も抱いた。

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2017年09月15日

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いつしかお金は生活の中に根付いていた「関係性」から切り離され、一人歩きを始めてしまった。

「いい会社」とは、「これからの社会に必要される、経済性と社会性を両立している会社」を指す。

金融に顔の見える関係を取り戻す。

「短期・分断」から「長期・信頼」へ

社会性を追求すると、お客様からの信頼が生まれる。

理念に対する共感、経営者の資質、社風、企業文化、社員の生き生き度、社内外の信頼関係構築等、「見えざる資産」を重視する。

見えざる資産は長期的には見える資産を生み出す。

グローバルスタンダードに過剰反応してしまった日本企業は、美点であった見えざる資産を打ち捨てた。

利益率は低くても社会に必要な企業は存在する。

投資家から短期の成果を求められると、志とは違う事に手を出し、社会性を犠牲にしてしまう。

買収による拡大ではなく、一台一台の積み重ねでこれまで成長してきた。身の丈を超えた無理な拡大は絶対にしない。-トヨタ

長期的な視野に立ち、時間をかけて人財を育成する。会社を社会の公器と考え、取引先、社外の人をも大切にする。

リターン=(資産の形成×社会の形成×心の形成)=幸せ

自分が投じたお金が「いい会社」を通じて社会の役にたっている。そして「いい会社」が成長し、社会が豊かになれば受益者の心も豊かになる。

フローの増加を追求する事は社会全体の短期的最適化、ストックの増加を追求する事は長期的最適化。フロー重視からストック重視の資本主義へ。

社会的価値や人間的価値等の「見えざる資産」を評価する力を失い、客観的に評価できる担保に依存する体質ができてしまった。

社会の公器である為に必要な事をアドバイスしてくれる人を迎え入れる事がコーポレートガバナンスの本来。

日本には日本の文化に適した資本主義があるはず。

八方よし、、、全てのステークホルダーとの間に共通価値を見出す。
社員、取引先・債権者、株主、顧客、地域(住民、自治体)、社会(地球、環境)、国(政府、国際機関)、経営者

ステークホルダーは皆コストではなく、付加価値を分配する対象。

究極のゴールは全てのステークホルダーにファンになってもらう事。

ファンづくりの第1歩は経営理念に共感してもらう事。

決算書の費用項目から人件費を外して収益額を出し、分配先として人件費を再定義する。

極端な価格選好は「つながり」ではなく「分断」を招く。

バブルの問題は、その生成過程で信頼にもとづいた経済を破壊してしまう事。

企業が管理や強制をするのは社員を信頼しないから。それでは自分で考える社員は育たない。

人をコスト扱いしたくないので全員が正社員。

会社は社員を幸せにする為にある。

社員が幸せになるような会社をつくり、それを通じて社会に貢献する事。

カゴメは2001年からの「株主10万人構想」により、発行済株式総数の約6割が個人(ファン)株主。東証一部の平均は2015年時点で約2割。

お金をリターンと考える限り、どれだけ配当が多くとも株主と企業の間にある利益相反は解消されない。企業が社会の形成を行い、それが企業を応援する株主に心の形成をもたらす。

会社は学び場であり自分を成長させる場。そう思える社員にゴールはないので、何歳になっても誰からでも助言を受け入れ、自己を成長させようとする。

お金ではなく、信頼のレバレッジをかける事で信頼を拡大させていくのが金融のあるべき姿。

成長を確信してただ待つだけ。

「経済成長=善」という価値観が資本主義の持続可能性を崩す。

早く成長する木が偉いわけではない。

チームが機能し、力を発揮できる事が、仕事における幸福度に大きく影響する。

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2018年04月05日

Posted by ブクログ

著者の新井和宏氏は、鎌倉投信では実現出来なかった非常場のベンチャーへの株式投資を実現すべく、鎌倉投信を退職。本著は鎌倉投信の理念を説明しつつも、著者の思いを綴ったもの。きれい事でやっていく。数値化しにくい見えない資産に価値を見出し評価する。ストックを切り崩しフローに付け替え、見た目のROEの良さを求めるのではなくストックを重視する。全方位に良しと言われる経営を。その考えで実績を積み上げた軌跡だ。

ESG投資という観点では、鎌倉投信に限らず、企業のエシカルな尺度も最近では評価軸になる。したたかに言えば、そうした善的振る舞いをあざとく演出し、共感性を得てファンビジネスに転換する手法もあるだろう。だが、そんな穿った見方ではなく、より大切な議論がこの本にはある。

人間は合理的にはなり得ない。好き嫌い、慣れ、郷土愛、家族愛みたいな理由で選好する傾向が高く、文句を言いながらも、慣れ親しんだ集団において、いつものヤツを選択する。選ばれるいつものヤツになる事が実は事業価値の数値化できない側面であり、法人格としての企業の人間性、カリスマ性なのだろう。それがファンを作り、全方位的に満足度を上げる。つまり、利益だけ求めても持続が難しいと。

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2023年10月09日

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