あらすじ
なぜあの人は「空気が読めない」のか?
近年、ドラマや小説の主人公に「発達障害」を思わせるキャラをよく見かける。
アメリカの人気ドラマ『クリミナル・マインド』の主人公で、IQ187のFBのエリート捜査官リードは、他人の気持ちがわからないため周囲からは煙たがられている。
2016年にヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)の主人公、津崎平匡は、対人関係が苦手で応答が画一的、些細なことへのこだわりが強い、という設定。
映画『風立ちぬ』主人公のモデルとなった零戦の開発者、堀越二郎。は人間関係が苦手で細かいことにこだわりすぎ、しばしばトラブルを起こした。
こうした発達障害の特性をもつキャラがポピュラーになった影響で、精神科の現場では「自分は発達障害かもしれない症候群」がみられる。
「他人の気持ちがわからない人」「空気が読めない」ことを家族や同僚から指摘され、外来を受診する人が増えているという。
その一方で、誤解も多い。長年連れ添った妻から「あなたは発達障害だ」と言われ、受診させられるケースも多い。動機や犯行手段が不可解な少年犯罪で、「アスペルガー症候群」との関連が不適切に取り沙汰されたこともある。
本書は、日本初の「発達障害のためのデイケア」を運営する病院長が、
・発達障害とは何か?(正しい知識)
・彼らが抱えている問題は何か?(課題)
・どのように社会が受け入れていくべきか?(社会の対応)
……を、豊富な症例をもとに、初心者にもわかりやすく解説。
事件の精神鑑定の裏側、天才のエピソード(驚異的な記憶力、共感覚など)など、興味深い症例も盛りだくさん。
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Posted by ブクログ
大人の発達障害も近年脚光を浴びているが、2017年3月発行であり最新の知見に基づいて書いてあることがよいと思った。
ASD(自閉症スペクトラム≒広汎性発達障害)に、アスペルガー症候群や自閉症等も含むようになり、ADHD(注意欠陥多動性障害)の2本柱として症例を中心に紹介している。
ASDとADHDの共通点・相違点、映像記憶・共感覚・学習障害、天才、アスペルガー症候群への誤解、発達障害と犯罪、発達障害を社会に受け入れるには(機関等)について、各章で紹介している。
最新知見はあるのだが、新書である限り図解は少ないので、理解が難しいながら図解などが多い本で全体像を掴んでから読むこともよいと思う。全体的には理論+症例の紹介という流れだった。
Posted by ブクログ
「発達障害」と呼ばれる症状のうち、特にASD(自閉症スペクトラム)とADHD(注意欠陥・多動性障害)を取り上げて論じた書である。症状そのものの解説に加え、世間的な「発達障害」に対しての誤解や偏見への反論に、かなり多くの頁を割いている。
Posted by ブクログ
ADHD, ASDについてたくさんの事例を交えて傾向を詳しく説明。自分自身も傾向がある気もするし、生きていて周りで発達障害の傾向がある人に出会うことも当然あるので知っておくことにとても価値があると思う。書き方も客観的で説明がうまく好感が持てる。
Posted by ブクログ
題名通り、代表的なASDとADHDについての一般向けの解説本。特に成人の発達障害を専門にされている著者ならではの成人発達障害に対しての解説はわかりやすい。ASDとADHDは合併しやすいが、その鑑別などについてもわかりやすく解説。診断についても常識的。障害が偏見や誤解を生む元となった犯罪についても診断の重要性について説明。現在の成人発達障害の臨床を知るには入門書として良いと思った。
Posted by ブクログ
発達障害という言葉が流行のように流布し、誤診、誤解も多い。本書により正しい理解を得ることができ、症状、対処法の具体例もわかり良い。2025.8.29
Posted by ブクログ
職場でどうにも仕事ができず、行動がおかしいなぁと思う。同僚がいたために興味がわいて、発達障害系の本をいくつか読んでいる。
発達障害にもASD、ADHD、統合失調症、アスペルガー通等いろいろあるが、まずはその違いを解説してくれている。p23の図がわかりやすい。
これらの症状は判定が非常に難しいということが読んでいてわかった。医師によっては違う診断をして、それによって患者や家族が苦しむこともある。(例えば甘えだから教育しなさいと言われる)
過去の殺人事件等で、これらの障害がクローズアップされてきたが、それまではこういった症状の方々はいたけれども、認識されていなかっただけ。
症状の診断が出た後は、グループワーク等で社会生活ができるように慣らしていくような団体もあるようだ。社会がまだこの分野にはついてきていないため、大多数のいわゆる普通の人用の社会になっているため、発達障害の方々はドロップアウトしがちで、生きるのが苦しい状態となっている。
Posted by ブクログ
ASDやADHD、学習障害や共感覚などの特徴や、犯罪に結び付くような極端な例についてよく分かった。家庭や社会で本人や周囲に困り感がある場合にどうしていったらよいのかについて、もっと知りたくなった。
Posted by ブクログ
人の気持ちがわからない、同じ失敗を繰り返す、自分は発達障害では?と思うことがたまにある。というか、そういう部分はあるが、経験や仕組みで解決できている部分が多い。ただ、認知の面でどうしても生きづらさはある。相手の気持ちがわからずに信頼関係を築けない。
コレだという解決策があれば良いのだが…
★疾患は生まれつき
成人になって発症するものではない。
★カサンドラ症候群
ASDのパートナーと信頼関係が、築けないことによって生じる精神的、身体的な症状。
元の位置に戻せない、反省がない、自覚がないなど、ゆとりがある時には許せるが、子育てなど多忙な生活ではイライラしてしまう。
★「認識」することの大切さ
「症状」…寛容に接する
「気持ちの問題」…不必要な叱責
Posted by ブクログ
読むのに結構時間がかかってしまった。
今まで発達障害の本を何冊か読んできたけど、内容も分かりやすく、一言で発達障害と言ってもその中の種類や違いなどを詳しく説明されてるため非常に読みやすい。
さらに症例をあげての誤解されやすい点であったり、発達障害と気付かれなかった為に起きてしまった事案など紹介してくださっている為、自分自身の理解周りからの理解どちらも大切なんだなと思いました。
悩める方に読んでほしいです。
そして誰かが救われますように。
Posted by ブクログ
自分が発達障害だと気づかないで生きづらさを感じている人は多いと思う。
この本では、ADHDとASDを中心にその症状や対応策、事例をあげて説明してあるのでかなりわかりやすかった。
発達障害と犯罪についても書かれている。発達障害が犯罪の直接の原因ではなく、生きづらさや周囲の対応、生活環境なども大きく関係していることがわかった。
Posted by ブクログ
「多動症、自閉症、うつ… 複数の症状が発生する事もある」
・専門医でも判断を間違える事がある
・親や当事者は診断結果を真摯に受け止められるか
・発達障害は適切な治療で改善が見られ、社会復帰可能
自分以外の人間の考えや気持ちはどうしてもわかるものではない。
もし自分なら辛く重たい事実を冷静に受け入れて対処出来るのか…
Posted by ブクログ
大気汚染、農薬、食品とは呼べない種々の食品添加物、様々な添加剤が入ったプラスチック製品など、化学物質に曝露されている現代人は発達障害の発症率が非常に高いのではと感じています。(この部分は著書の内容ではなく、あくまで個人的見解)
これから先、発達障害を持つ人と関わりながら仕事においても、日々の生活においても繋がっていく事は避けられない。
そんな現代において生きる我々には必須の知識となる。
発達障害に対しての原因などには言及されていないが具体的にどう言ったと特性があるのかを知る事がてきる。
Posted by ブクログ
発達障害について体系的に学ぶ際の一冊としてオススメいたします。
いろいろなケースが詳しく記載されており
筆者(医師)の発達障害への向き合い方や
それでも判定が難しいことなど
いま、この特徴が抱えている課題が網羅されていました。
ケースは多くてタメになりましたが
読むことに少しタフさが求められました。
Posted by ブクログ
発達障害という疾患について、その中心的なASDとADHDを詳しく述べることによって説明されています。一つひとつ丁寧に書かれていて、この症状に対しての出来るだけ正確な理解をすることによって、世の中にはびこる偏見をなんとかしたい著者の趣旨が伝わってきます。症状の例が述べられていますが、それは一つだけ取ったら一般にもあることで、それが様々な誤解に結びついていることが良くわかります。複数に当てはまれば発達障害ではなく、発達障害だから複数の症状が出ているということに気をつける必要があるのだと思います。この症状に苦しんでいる方々や、それを支援する様々な活動と、世の中の関心の薄さからくる偏見や誤解。本書を読むことで、この方々に対する総合的な理解をすることができます。
Posted by ブクログ
ASD(自閉症すペクトラム障害)かADHD(注意欠如多動性障害)について記述した一冊。
ごく一部の天才がもてはやされる反面、大抵の人は仕事どころか日常生活にも苦労するような状況で、これと付き合うのは当人も周囲も並大抵ではないことがよくわかった。
Posted by ブクログ
ASDとADHDについての特徴が書かれており、基本の1冊という印象。
ASDとADHDについては特に真新しい事は書かれていないが、サヴァン症候群についての章は新たな知識を得ることができた。
自分もそうかもしれないと知識を得ることによって、行動は変えていけるのかもしれない。こういった事を学ぶことでより広い視野で様々な人と関わっていくことができると考えると、非常にためになる1冊だった。
Posted by ブクログ
発達障害についての定義や具体例、発達障害に関する事件などを知る事が出来た。専門家でも発達障害の明確な診断は出来ないんだね。
ASD 自閉症スペクトラム症
疾患は生まれつき 遺伝的な要因が大きい 親の教育では無い 特定の遺伝子疾患を持つ人に多い オキシトシンが治療薬として有効
最新版の診断基準DDM-5 社会的コミュニケーションにおける持続的障害 限定された反復する様式の行動 後になっても明らかに 社会で重要な障害を引き落とす
自閉とは異なる ASDはそもそも他者に関する関心が薄い
性同一性障害を示すケースも
サリーアン課題
ハンスアスペルガー
ローナウィング アスペルガー症候群を自閉症の軽傷型 ASDに含まれるものとした
ADHD 注意欠如多動性障害
子供の病気 シンプルで面白みの無いものとされあまり注目されてこなかった 比較的努力でカバー可能な為改善してるように見えるだけ
環境原因は否定 遺伝は大きい 細かい原因は不明 生まれつき
マルチタスクが苦手 多動 不注意 持続性 分配性 転換性に問題 興味のある分野には過剰な注意力
男、子供が多い 大雑把に定義すると10パーセント
精神疾患が合併する事が多い 約半分が不安障害 依存性にも
ASDとADHDの共通点と相違点
ふたつは重なることが多い
同一性へのこだわりが鑑別点として重要
対人関係の不得意なadhd 不注意なadhdとその行動への重要性をかんじないasd
映像記憶 共感覚 学習障害
サヴァン症候群 突出した能力 後天性もある
シネイテジア 外部からの刺激に対して通常の感覚だけではなく異なる種類の感覚が同時に起こる 芸術家
学習障害 読む聞く話す書くに障害 限局性学習障害と呼ぶように ディスレクシア
天才
asdは自然科学系 adhdはデザイナー 小説家などに多い
大村益次郎 アンデルセン ルイス・キャロル
アスペルガー症候群への誤解 発達障害と犯罪 佐世保小6事件
発達障害を社会に受け入れるには
デイケア プログラム 「認識」する事が大切
Posted by ブクログ
発達障害のASDとADHDの解説に重きを置いた書籍です。この2つについて知りたい方におすすめします。
個人的な感想ですが「ケーキの切れない非行少年たち」「累犯障害者」を読んでみると、社会に適応できなかったり、人に拒絶されたりすると攻撃してくるタイプが多いように感じます。
また反対に生育環境が悪くても、発達障害的になる方もいらっしゃるとも思っています。
犯罪の記述が多かったので、少し気になりました。
後者に関しては「愛着障害」「教誨師」「殺人者はいかに誕生したか」が参考になるかもしれません。
Posted by ブクログ
精神科関連の本を読んでいると、他の診療科では、そうそうある訳ではない誤診が平気であるということと紹介されている。
そして、同じ精神科領域でありながら、一般人が新書で得られる知識すら持ち合わせていない事も多い。
にも関わらず、日本の精神医学界で、それを何とかしなければならないという風潮や反省がみられない。
Posted by ブクログ
著者が発達障害、特にASD(自閉症スペクトラム)、ADHD に精通しており、誤診が多い特徴等を含め、発達障害についてわかりやすく説明されている。
特に印象的であったのは、ASD とADHDの差だ。ASDは「対人関係の障害」「常同的な行動パターン」が特徴であり、対しADHDは「多動・衝動性」「不注意」が特徴であるが、ADHDは衝動性ゆえに、他者の気持ちを鑑みる前に思ったことを口にしてしまう等、一見対人関係の障害と類似した傾向が見られる場合がある。
すなわち、ASDの場合はそもそも他者に興味がないため、対人関係を築かないが、ADHDの場合は、他者と関係を築きたくとも、目の前の刺激を優先してしまうがために、他者と良い関係を築くことが難しい場合がある、ということのようだ。
Posted by ブクログ
「ああそうなのか」と思う部分もあり、「そうなのかなあ」と思う部分もあり。結局、人の行動を見て素人の私が判断するべきことはないし、どうこうできることもないということを痛感しました。
Posted by ブクログ
そもそもなぜこの本を購入しようと思ったか、まずはそこから思い出すべきなのだろうが、いかんせん2年くらい前のため思い出せない。
ポイントとしては、一部の人はその症状を抱えていたとしても「場数」をこなすことによって、どのタイミングでどう振る舞えば良いか学習ができること。一方、そこまで本人や周囲にも理解を持って接してもらう必要があることから、やはり幼少期にこの傾向に気付くかどうか、その上で対策を取れるかどうかに依るところが多いと感じる。
特定のレッテル貼りや一部の天才を取り上げて肯定をすることが、昨今の流行りのようにも見える。曖昧であるがために、そういった用途には適してしまっている。(ある種の特殊性も兼ねて)
とにもかくにも、うまくお付き合いするというところが、着地点になるのであろうが、そのためにも自分の状態を把握すること、ひいては幼少期の重要性を改めて考えさせられる。
Posted by ブクログ
●発達障害について知りたくて読んだ。どういう病気なのかはもちろん、主にマスコミによる報道の結果、世間での発達障害への誤解について解説している。
Posted by ブクログ
空気が読めないとして爪はじきにされがちな人はASD・ADHDなどの発達障害かもしれない。ドラマや映画の中にもその傾向を持つ人がしばしば描かれる。発達障害であることを認識し適切に対応すれば、仕事も生きづらさも犯罪も、本人にも社会にも、よりよくすることができる。
診断基準や人口におけるパーセンテージを常に提示し、メディアや実例での具体的な言動事例を描いているのがGOOD。
Posted by ブクログ
奇異な言動をしている、理解不能な理由で殺人などを起こしているのは全て発達障害のせい、と決めつけるのは早すぎるということだけは分かりましたが、もう少し分かりやすいものが読みたかったので、求めていたものとはちょっと違うかなと。
発達障害なのか性格なのか違う病気なのか。精神科医でも判断が難しいらしいというのが、奥深さを感じます。