あらすじ
夜間犯罪発生率日本一の歌舞伎町を抱える新宿署には、
“夜の署長”と呼ばれる伝説の刑事がいた――。
「随監」で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞し、
同作を含むシリーズで警察小説の旗手となった著者が、
新宿署を舞台にさらに“熱い”刑事たちを描く。
多くの通行人が行きかう中、歌舞伎町の路上で女性がホスト風の男たちに拉致された。
緊急配備がかけられほどなく犯人は逮捕、女性も保護される。
実はその女性はホストにはまり、それが夫にばれて家出をし、
さらに店にツケをためていたためホストに追い込みをかけられていたのだ。
事件の構図は単純なものと思われたが、
“夜の署長”の異名を持つ刑事課強行犯第五係統括係長の下妻警部補はなぜか、
3か月前に起きた歌舞伎町のラブホテルでのデリヘル嬢殺人事件の現場と資料をあたっていた。
東大法学部卒でキャリアの新米警部補・野上は、
拉致未遂事件を早々に終わらせようとする上層部に反し、
下妻とともに3ヶ月前の事件との関連を洗いなおす。
するとデリヘル嬢殺しと拉致未遂事件に思わぬ接点が……(「未練」)。
ほか4編収録。
警視庁捜査一課の刑事だった下妻が、なぜ忘れ去られたように異動することなく新宿署に居続けるのか。
彼の過去には何があったのか。
新米刑事の野上は、いくつかの事件を通じ、下妻の凄みを知ることになる――。
解説・村上貴史
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Posted by ブクログ
著者らしい地味な警察小説短編集。
過剰にならない程度に刑事たちの個性が描かれており、少しキャラ付け的な部分が抑制されすぎているようにもおもえる。その意味では退屈だと感じる人もいるかもしれない。ただし丁寧に読んでいくと、新人キャリアらしい野上の背伸びやじゃじゃ馬娘的な古城の喧嘩っぱやさなどが随所で見られ、微笑ましく思える。あくまで主人公は「署長」であり、もっといえば著者が本当に書きたいのは彼を狂言回しにした事件の解決のプロセスそのものであり、野上は読者の視線の代弁者に過ぎないとも思えてくる。ただし、著者の野上に対する暖かな視線も感じられるので、登場人物の扱いが粗末だとは全然感じない。
テンポの良さやドラマ作りのために大胆な省略はされているが、刑事たちの地道な捜査が愛おしくなる。大袈裟な感情の動きではなくて、そういう小さな営みこそ人間の生き様だよね?
Posted by ブクログ
店頭でちょっと気になった連作短編集、初めての安東能明。
夜間犯罪発生率日本一の歌舞伎町を抱える警視庁:新宿署を舞台に、「夜の署長」と呼ばれる伝説の刑事と、新米キャリア警部補の交流を中心に事件を連作短編の形で描いています。
話は良く出来てると思うのですが・・・登場人物に全く感情移入できず・・・
店頭で見た時は楽しそうな書き出しだと感じたんだけどなぁ・・ちょっと残念な読後感でした(^_^;)