【感想・ネタバレ】定本 オサムシに伝えてのレビュー

あらすじ

長女が綴った、父・手塚治虫との日々。

虫プロダクションが併設された東京・富士見台から、井荻、清瀬と3つの家を舞台に繰り広げられる、手塚家の生活。有名マンガ家の家族ということで、ただでさえ普通の家庭とは違うのに、祖父・祖母・母・兄・妹と著者を加えた7人は、全員が際立った個性の持主。日々の暮らしは「平穏無事」というわけにはいかず、旅行や食事会といった家族イベントも、なかなかスムーズには終わってくれません。

本書では、そんな家庭での手塚治虫の素顔が愛情深く、ユーモラスに描かれています。特に「どうしようもない我儘な子」だった著者と父とのエピソードは、どれも心に残るものばかり。後に著者が「手塚イズム」の伝道者となったことの必然性が、本書からは伝わってきます。

表紙装画:桐木憲一

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

平成元年に胃癌で亡くなった故 手塚治虫氏の長女である 手塚るみ子さんが、没後5年目の頃に出版した父・手塚治虫への想いを綴ったエッセイの再販。
日本の漫画を、漫画家を、漫画史を代表するといってよい巨人・手塚治虫。ただ、ここで描かれるのは漫画を描いている手塚治虫ではなく、ほとんど家にはいないが、家族旅行を企画したり、娘のお小遣いのおねだりに耳を傾け、対立する母親と娘の間に立って妥協点を探してやろうとする優しい父親だ。
そして、漫画界だけでなく、家庭においても家族の絆の要であった手塚治虫を唐突に癌で喪っていく家族の喪失と再生の物語でもある。
よく史実に基づく物語、とくに悲劇的な結末を迎えることがわかっている物語の場合、ストーリーが進んでいくに従って、結末を知っているだけに、そうなって欲しくなくて、話が進んでくれるな、と思うことがある。
このエッセイがそうだ。最後には筆者が手塚治虫という父親を喪うのがわかっているだけに、そこにたどり着いて欲しくない、と思いながら読んでいた。

0
2017年04月20日

Posted by ブクログ

手塚治虫氏の長女、るみ子さんから見た
家族、父親、自身の事を纏めたエッセイ。

ストレートな、るみ子さんの行動や考え方に
リボンの騎士のヘケートと魔女のやり取りを
思い浮かべてしまった。

好奇心や冒険心がきっとお強い方なのだと
思った。同時に頭の回転も早い方かと!

後半、
治虫氏の病床での、雰囲気、るみ子さんの
感情の移り変わりは
とてもリアルに書かれている。

人間って丈夫に見えるけれど
壊れる時は驚くほどに脆い。

昏睡状態の治虫氏を前に、るみ子さんは
「父親が生きる事を目の前で見せている」と
解釈して行く下りは、治虫氏の著書の思考のようで
ゾクっときた。

もっと早く読めば良かった!

0
2020年01月05日

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