あらすじ
豊臣秀吉政権下、キラ星のような武将がひしめく中、ひときわ異色を放つ武将がいた。キリシタン大名、小西行長 ――。洗礼名アウグスティヌス。堺の商家に生まれ、秀吉の家臣として才覚を発揮し、のちに肥後二十数万石の領主にまで登りつめた武将。熱心なキリシタンでありながら、朝鮮出兵(文禄の役)の折りには、豪傑・加藤清正を抑え、先鋒として果敢に戦う一面も見せた。時代に流されることなく、自らの信ずる道を真摯に歩き続けた一人の男の生き様を、圧倒的な筆致で永田ガラが描く。戦国時代を新たな切り口で見せる娯楽歴史小説、誕生。
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Posted by ブクログ
小西行長による文禄の役の講和がメインに描かれています。心優しい、優しすぎる小西が如何にしてこの戦を終わらせるか。苦悩が大変心に染みました。加藤清正との確執も双方の側から描かれており、育ちの差それによる出世方法の差、そこから生まれる嫉妬心やプライド、曲げられない生き方が印象的です。清正は全ては義父秀吉のために、行長は神の為になど相容れない彼らの姿がまた確執を更に広げていきます。
軍議の場面、加藤清正や鍋島直茂に責められ宗義智には裏切られて。それでも小さな希望を手繰り寄せ、微笑みながらジョアンに全てを託す。そこに彼の全てを見た気がしました。
幕内での隆佐とオルガンティーノ、暗躍する日向と越後も印象深く話に欠かせない人々でした。日向の想いに引き込まれます。
Posted by ブクログ
秀吉の近臣であった小西行長が文禄の役の先鋒として出兵し、明と和議を結ぶため内藤如安を使者として差し向けるまでの物語。
小西行長は商人の子であり、生え抜きの武士ではない。そのため武士の文化になじめない所がある。さらに伴天連追放令後もキリシタンであり続けるなど他の秀吉旗下の大名たちから少なからず浮いた所がある。
そんな居心地の悪い中で少なからず悩みながらも、自分の与えられた仕事にひたすらに打ち込み、任務を全うしようとする小西行長像は、従来の豪放磊落な戦国大名たちのイメージからは離れているが、現代社会に生きる我々には身につまされることしきりである。
ただ一冊に納めるには切りのいい所ではあったのだろうけれど、もう少し書いて貰いたかった気がする。しかしアスキーメディアワークス文庫は新しいレーベルであり、続編を出すというのは、ある程度一冊目が売れていないと難しいという事情はあるだろう。それにこのペースで関ヶ原まで書いたら何冊になるのかと考えると、やはり仕方ないのかとも思う。新選組モノは箱館までたどり着くことが少ないのと同じだろうか。しかしなんとも切りが悪い。その点だけが残念である。
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朝鮮出兵の初期が中心のお話。
商人とキリシタンの面が強い小西像です。家臣が仲良し小西家!
永田さんが一番伝えたかったという、作中の人物・日向の言葉に共感しました。
投げ出す事は簡単であり、守るべき物を人知れず守る事がどれほどの痛みを伴うか…
登場人物の設定がわりと斬新だったので、面白かったです。
鍋島さんナイス…!
Posted by ブクログ
第一次朝鮮出兵をメインにした作品。小西行長と行長を支える家臣団。秀吉の交渉人と言う事で期待をしたのだが交渉もこれからと言うところで物語が終わり後は関ヶ原の戦いまで足早に終わってしまった感じ。
Posted by ブクログ
自分の思ってる小西像に近いような。家臣団もキャラ立ちしてて、それぞれの小西を慕う理由も結構いいなと思った。タイトルから交渉シーンを期待してただけにあまり頁割かれてなかったのがちょっと惜しい
Posted by ブクログ
所作や言動など、やることなすことが型にはまるというか綺麗に見える行長。それでもどこか儚い人物像は新しいように思ったが、私が求めてた行長像だった。それだけに朝鮮出兵半ばで終わってしまったのは残念。関ヶ原は描いて欲しかった。でも全体的に楽しめた。