あらすじ
いま日本に一番必要とされるのは「保育サービスを中心とした子育て支援」である。保育サービスをGDP比0.1%拡充すれば経済成長率は0.28%上がる。先進国の統計データをもとに政策効果を分析した意欲作。今もっとも注目される社会学者、初の新書。
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Posted by ブクログ
メモ
前提
「子育て支援の目的は、子供の健全な発達を支援することであり、またそのために、親の健全な子育てを支援することだ」
経済成長や母親の就業率などを目的とした統計分析がすごすぎる。さらに「適応」という概念から宗教までもを分析対象にして、関係性を見つけ出したのは本当にすごい。
1歳児以降の保育サービスを重点的に拡充するのが日本で効果的、そして前例となる国もあるって、エビデンスが揃ってる。政治家にも読んでほしい。
Posted by ブクログ
・データ分析に基づく提案。
・国や地域によって社会保障モデルが3つに別れるのは、宗教によって説明できること。
・子育て支援がリベラル、保守の溝を埋めるきっかけになる。
などなど、「新書らしい新書」に出会いました。
つまり、内容が読みやすく、分量はそこそこなのに、得られるものは時宜に適っていて大きい。
・財政余裕を増やすには、労働生産性の向上が一番。
・IMFのラガルド専務理事の発言の根拠は、日本の女性労働力参加率がG7レベルまで上がれば一人当たりのGDPは約4%増え、北欧レベルまで高まるとさらに4%増える、というIMFによる統計的な推計。
・人間の脳は朝起きてから13時間以内しか集中力が続かない。
・1980年代から2000年代にかけて、高齢者の貧困率が大幅に減ったきた一方で、子どもの貧困率がじわじわと増えている。
・デューイ以後の適応概念には、適応の責任が社会の側ではなく個人の側だけに押しつけられている。
Posted by ブクログ
子育て支援がどのように経済成長と繋がるか、きちんとデータを分析して述べられています。ただ、筆者自身がおっしゃってますが、まだ不確定な要素はたくさんありそうなので、今後もデータの収集と分析を続けてくださることを願っています。
日本の子育て支援への、筆者の熱意と誠意が伝わる内容でした。
Posted by ブクログ
子育てしやすい社会にするための支出は結果としてワリに合う(経済成長につながる)のだということを、データを示して論じている。ますます少子高齢化していく日本で重要なのは、労働生産性を高めること。それには労働力女性比率を高めることが近道であり、そのためには保育サービスの拡充が最も効果的であることを「ただ訴える」のではなく「実証する」というところに力点がある。「働きたい女性が、心配せずに働ける」「子供を産んでも大丈夫だと思える」社会をつくるための下支えになる本だと考える。