あらすじ
失業中サラリーマンの恵太が引っ越した先は、家賃3万3千円の超お得な格安アパート。しかし一日目の夜玄関脇の押入れから「出て」きたのは、自称明治39年生れの14歳、推定身長130cm後半の、かわいらしい女の子だった(表題作「押入れのちよ」)。ままならない世の中で、必死に生きざるをえない人間(と幽霊)の可笑しみや哀しみを見事に描いた、全9夜からなる傑作短編集。
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Posted by ブクログ
それぞれの話の毛色が独特なホラー短編集。
一つ一つの話が本当に面白かった!
他の短編集に入ってたら、「この話が一番良かった!」となるような話ばかり入っている短編集でした!
「お母さまのロシアのスープ」…中国奥地に住む子供たちが、最後にシャム双生児だったのには、驚いた。
「コール」…超常現象研究会のメンバーだった美雪•雄二•岳。学生時代の部室でのシーンや、美雪をめぐりポーカーをする場面が、青春を感じた。
語り手が死んでる岳であり、結婚していたのも岳だというドンデン返しでした!
「押入れのちよ」…引っ越した格安物件には、自称14歳明治生まれの少女が?チヨがビーフジャーキー食べたりカルピス飲んだりしててかわいかった笑 悪霊はチヨではなく隣人だと思っていた浪人生であるというのに驚いた。
「老猫」…死んだ叔父の家に引っ越したが、そこには老猫がいた。引っ越してから、部屋がやたら臭くなったり、娘はやたら部屋に引きこもり老猫を愛するようになったりしていく…老猫により家族みんなが「猫化」していく様がとにかく不気味!
「殺意のレシピ」…17年夫婦が、お互いに食事を用意し合うが、お互い毒殺し合おうとするという、なんとも言えないブラックコメディ。
「介護の鬼」…義父を介護をする妻。ボケているのをいいことに、義父に対し酷いことばかりするが…亡き妻にも同様酷いことをしていたと分かった義父は、ボケから醒めて”覚醒”する…
覚醒した義父がもはやモンスターで怖すぎた!笑
「予期せぬ訪問者」…愛人を殺してしまった矢先に、住宅清浄業者が家に入り込んでしまう。必死に死体を隠すが…業者がまさかの詐欺師で、捕まえた警察が現場検証として家に来てしまい、自分の殺人までバレてしまうというブラックブラックコメディ。
全く関係ない事柄のせいで自分の罪がバレるのが皮肉たっぷり!
「木下闇」…かつて妹がかくれんぼの最中に行方不明になった家に、15年ぶりに訪れた。そこには大きな大きな木があり、直感で”何かいる”と感じた主人公は、クライマー技術を駆使して木登りしてみる。木の上で見つけたのは妹がつけてたネックレスと、小さな骨であった。
妹の記憶が脳内再生されて、犯人が15年前に遊んだ家の子供であり、それがわかった後にその男が自殺する展開が凄まじい…
「しんちゃんの自転車」…ある日の夜11時頃、友達のしんちゃんが、遊びに誘ってきます。
しかししんちゃんは実は死んでいて、土葬のため墓から出てきていたというとんでも設定。
しんちゃんは死んでいる体なので首が折れたりウジが湧いてたり臭かったりしているのに、何故か怖さや気持ち悪さがなく、主人公との会話がどこか切なさを感じさせました…
とにかく粒揃いの短編集なので、読んで損なし!
Posted by ブクログ
・お母さまのロシアのスープ ★★★★
料理の描写が◎。料理が好きなので作りたくなった。
お金がなく障害児を抱えてたら、売春って選択をするよな〜と。
温かい家庭の雰囲気と、その中で行われるダークな売春の対比も◎。
・コール ★★★★★
恋愛物は嫌いやけど良かった。
三角関係ってゆーベタな内容やったけど、お墓でのデコピンのくだりが◎。
・押入れのちよ ★★★★★
むっちゃ良かったー!
ちよみたいな怖くない幽霊やったら一緒に住みたい。
結末は予測通りやけど、消えてなくならんくて良かった!
心があったかくなるお話。
・老猫 ★★★★
猫は大好きなのに、この猫は怖かった。
ゾクゾクした〜
・殺意のレシピ ★★★
短いのでサクサク読めるが予測通りの展開。
・介護の鬼 ★★★★★
苑子、酷すぎる。とは思うけど、ただ単に悪者とは言えない部分もある。
やってる事は最悪だが、気持ち的にある意味分かる部分もある。
これからこーゆー事件が増えていきそう。
・予期せぬ訪問者 ★★
うーん、まあまあ。
・木下闇 ★★★
結末は全然違うけど、ちょっとトトロっぽい雰囲気。
・しんちゃんの自転車 ★★★★★
ほっこり!
途中でしんちゃんは亡くなってるんやと気付いたけど、ちょっと切なくて、でも素敵な思い出のお話。
良かった!
Posted by ブクログ
ホラーは大の苦手ですが、裏表紙の解説を見て何と無く読む事に。
押入れのちよは怖いというかドジな感じが可愛いらしく、こんなお化けが居たら時々我が家にも現れて欲しいと思ったけど、悲しい記憶が甦るのは切なく悲しかった。
Posted by ブクログ
色んな種類のホラー短編集
ほっこりするのから、陰気臭いなと思うものまであった。
殺意のレシピは一周回ってめちゃめちゃ仲がいいなと思いました。あの後2人は無事だったのだろうか…
押入れのちよとしんちゃんの自転車のほっこり系が合間に挟まってちょうど良い癒しでした。
Posted by ブクログ
全話通してそこまで背筋が凍るほど怖い話ではなかったので、ホラーが苦手な人でも読める内容だと思う。
『老猫』は、私が猫好きなので、読んでてもなかなか猫の不気味さが伝わってこず…(^-^; 笑
ただ、最後ら辺で妻と娘が変わっていく様は怖さを感じた。
この話は映像化してほしいなと思った。
あとは、『介護の鬼』が登場人物みんなちょっと問題アリで誰にも感情移入はできなかった。(嫁のする虐待は許されないが。)
あの義父はなぜ覚醒したのかよく分からなかったが、
義父の友達が何か囁いていたあれが引き金になったのだろうか、、、?
この話は面白かったので、ここら辺をもう少し掘り下げて欲しかったなと思った。
全体を通して読みやすく、面白かった。
Posted by ブクログ
『お母さまのロシアのスープ』
ロシアのスープってそういう事か。スープに入ってる肉ってロシア兵だよね。最初から殺すつもりで男を誘惑したのかな。それともこれが初めてじゃなく、今までもそうして生計を立てていたとか。お母さまとマァさんが何者だったのか、イマイチ分からず疑問が残る。
わたしとソーニャが総合双生児だったのには驚いた。兵隊がわたしとソーニャにやたらビビってたのはコレのせいなのね。テレビでしか見た事ないから、申し訳ないけど実際に見たら俺も腰抜かしそう。
『コール』
前半は僕(岳)が死んでるかと思いきや、亡くなってたのは雄二のほう。台詞とト書きに混乱させられ騙された。
話は男2人+女1の組み合わせで、同じ女好きになるよくあるパターン。岳がズルいし汚い。けど病気持ちっての考慮すればまあ許せるか。最後は幽霊の雄二が岳と美雪を良い感じにしてホッコリ。あの後の岳と美雪はともだちの枠じゃ収まらんだろう。そうなると幽霊の岳は幸せそうな2人を見て複雑な心境だろうなー。俺だったら耐えられないから成仏するわ。
『押入れのちよ』
んー思ったのと違った。怖い系の話かと思ったのにコメディーだった。ちよと恵太のコント見てみるみたい。ちよが人懐っこくて全然怖くないんだよなー。表題作で期待してだけに微妙。表紙はいかにも怖そうなのに...悪い意味で騙された。
『老猫』
猫が人間に取り憑く話?典子が急に猫舌になったり、魚の口臭だったりした辺りで分かった。ただ、全体的に話の流れが分からんし、最後も謎が残る。父がハムスターぶっ殺したイカレ野郎だという事は分かったけど。
個人的に犬派で猫嫌いなので、猫を溺愛する美紀には全く感情移入できず。女王様の猫より、従順の犬の方が可愛いもんね。何十匹も飼ってた叔父の家とか地獄だわ。
『殺意のレシピ』
食卓で起こる夫婦の静かな殺し合い。互いが海と山の知識を活かして、平然を装いながら相手を殺そうとする様子が面白い。生魚+海藻のコンボで毒殺しようと企む文彦もスゴイけど、山も海も研究してた久仁子も負けてないね。殺意MAXの食卓、よっぽど互いのこと嫌いだったんだろうな。文彦、久仁子、2人の視点からその嫌悪感は伺える。
どっちかが死ぬかと思ってたから、まさかの笑える展開で驚き。笑い合ったの久々らしいから、一応ハッピーエンド?なのかもしれない。まあ、相手の浮気を知ってる久仁子にやり直す気はないだろうけど。あの後、久仁子が離婚に印を押したのかが気になる。
『介護の鬼』
苑子と善三の立場が逆転するのが面白い。善三が覚醒してからが最強。じいさんとはいえ体格いいし、柔道強いしポテンシャルは秘めてたもんな。終盤で苑子が追い詰められるのはホラー映画みたいで怖かった。
苑子のいじめが陰湿でヒドイ。特にアソコに熱湯かけるのは男性としては許すまじ。この調子じゃ節子の胸とかにもぶっかけてたんだろうなぁ。
『予期せぬ訪問者』
殺人犯と窃盗犯のコントみたいで面白い。2人の噛み合ってなさとすれ違いが、アンジャッシュのネタみたいで笑える。警察は殺人犯と窃盗犯を同時に逮捕できて一石二鳥だろうなぁ。古畑で似たような話あったの思い出した。
『木下闇』
神隠し殺人。妹のため事件の真相を突き止めんとすべく立ち向かう弥生がカッコいい。バカでかい木をロッククライミングするとか勇気ないと出来んわ。疑わしい唯一の家に単身で泊まり込むのもリスク高いし。よっぽど妹想いだったんだろうなぁ。
全てがバレた唯一は五月に襲いかかってくると思ってたから、あっさり自殺しちゃって意外。やり合ったら五月に勝てたはずなのに。
ハッキリと詳細は明かされてないけど、骨とペンタンドは弥生のっぽいよね。木の中に死体を隠すとか、若かりし頃の唯一は思い切った事をなさるもんだ。
『しんちゃんの自転車』
ゾンビものなのに怖くない、むしろ感動した。土の中にずっと居たしんちゃんめっちゃ臭そう。私はよく我慢できたな。カブトムシの臭いに似た感じかな。
小学生なのに古いギャグ連発するしんちゃんのキャラが好き。このギャグが今作で重要な要素になってるとはね。
「がってんしょうたくん」で締め括るラストの後味よい。しんちゃんと私、2人だけの秘密を大人になっても共有してるがステキ。今作で唯一明るい作品。