あらすじ
自閉症とは、人と目を合わせない、コミュニケーションがとれない、儀式的な行為を繰り返すなどの行動特性を示す精神障害の一つである。二、三歳の頃に発見されることが多く、その後の社会生活にいかに適応していくかは、本人や家族にとっての切実な課題である。自閉症についてはこれまで数多くの研究がされてきたが、本書で著者は「肝心なことはまだほとんど分かっていない」とし、その上で、「自閉症児は心を閉ざしている」と決めつけるのは大人の側のモノサシの押し付けであると述べる。そして「いま」「ここ」を共有し、子どもたちが見ているのと同じ世界を見ようとすることで、子どもたちが抱える身体・空間・言語感覚の障害の本質を明らかにする。他者との関わりを拒む子どもたちに、人と関わり合って生きることは快い体験であることを、全身で伝えようとする著者の姿勢は、自閉症治療には直接関係のない一般の読者にも大きな感動を与えるだろう。
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
人と目を合わせない、コミュニケーションがとれない、儀式的な行為を繰り返すなどの行動特性を示す自閉症。
「彼らは心を閉ざしている」と決めつけるのはこちら側のモノサシの押しつけではないか?そう考える著者は、自閉症児たちと「いま」「ここ」を共有することを通して、彼らが他者に対して自分の存在を確立できないこと、ゆえに身体・空間・言語についての感覚に障害が生じていることを明らかにしてきた。
子どもたちとの関わりから、人が生きてあることの意味をも問いかける、一治療者の軌跡。
[ 目次 ]
第1章 分からないことからの出発
第2章 診断基準について考える
第3章 トシヤの場合
第4章 自閉症児の身体
第5章 自閉症児の空間
第6章 自閉症児の言葉と時間
第7章 何のための治療か
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