【感想・ネタバレ】あなたの人生の意味 先人に学ぶ「惜しまれる生き方」のレビュー

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Posted by ブクログ

「あなたの人生の科学」の著者による本。この本もわたしにおおきな影響を与えてくれたが本書も同様であった。

まず「人間には本来、2つのプロフィールがあるが、現代はそのうちの一方だけが偏重されている」と主張。
2つのプロフィールとは「履歴書に書かれるプロフィール」(アダム1)と「追悼文に書かれるプロフィール」(アダム2)。
どの学校をでてキャリアや栄達や立身出世は前者、後者は追悼文で語られる。
「ほんとによいひとだった、やさしかった、あいしてくれた、わかちあってくれた」的な人格に関することがアダム1。
いくらキャリアをつみかさねた仕事的にすごいアダム2のすごい人でも、自己中心的でやさしさがなければもちろんだめだ。

で、人は仕事を通じて、人生を通じて、そういう成熟した存在にちかづける。

筆者のデビッドブルックスはnyタイムスの人気コラムニスト。アイゼンハウワーやジョージマーシャル、エリオットなどのアメリカを代表する人々の生涯を紹介している。が、いわゆる履歴書に描かれるようなキャリアの歴史ではなく、追悼文に描かれる人としての内面の変化の記録を丁寧に記述している。

近年の自己啓発的な本のベースにあるのは、「わたしのは能力がある、わたしには力がある、それを解き放てば成功できる」という自己実現、自己尊重の態度だ。
一方でそれ以前の、自分は取るに足らない人間で謙虚にいきねばならないという時代が長く続いていた。

前者を「大きなわたし」、後者を「小さなわたし」と彼はよぶ。
そしてテクノロジーの進化、とくにITの進化は自己表現をより容易にしそれを通じて自己愛を表現しやすくなってくることで、アダム1、大きなわたしがますます強化されておおきくなり、一方で小さなわたしアダム2は小さくなっていくというのが筆者の時代観。
グーグルのNグラムビューワーをつかっても、自己実現、自分にはできるという言葉の頻度が増えてるが、共同体、分かち合う、団結、公益といった言葉はますます使われる頻度が減り続けている。人格、勇気、美徳、感謝、良心、親切さといった言葉は20世紀を通じて一貫して減り続けおおむね半分になってしまった。

劣勢なアダム2をどう立て直しアダム1と統合して成熟した人をめざすのか?をさまざまな人の人生のストーリを通じて彼は以下のようにようやくしている。(第十章)

1、わたしたちは快楽や成功のためにいきているわけではない。人生は快楽劇ではなく道徳劇である。人格者になるために生きて行く。
2、人格者になるためにまずなすべきは汝のことをしること。それも自分の道徳的欠点をしること。
3、われわれは欠点もあるがそれを修正する力もある
4、自分の弱さと戦うときの武器は謙虚さ
5、自尊心はもっともおおきな悪徳。自尊心はわたしたちの目をくらませる。自尊心のせいで、わたしたちは他人よりも優れているという証明をしたくなる
6、生存のために必要なものが手に入るとその次は、悪徳の戦い、罪との戦いだ。
7、人格はゆっくりと自分の内面でつくられていく。他人と何を分かち合い、共同体にどう奉仕するか? 
8、性欲や食欲などの欲にうちかつ忍耐が人格寛容には重要だ。
9、自分の弱さを克服するのは一人では無理。仲間や家族の支援が大事だ。そして文化的伝統とのつながりも力を持つ。
10、自我をどうおさえるか?自我の表現欲求をどうおさえるのか?
11、優れた指導者は自分をあえて下におく。指導者は妥協点をみつける。ある意味で日和見主義者だ。
12、ごくわずかのイエスのために無数のノーをいえるのがよい指導者


夜と霧のフランクルは「人生の意味をもとめるな?人生があなたに何をもとめてるかをかんがえろ」といったわけだがここに通じる。
日本では仕事のことを柔道や茶道のような「道」ととらえる伝統的価値観がある。
「道」はわざの修練に加えて人格的修練の要素が含まれている。
近年はアナグロで時代錯誤だといわれがちな話だが、nyタイムスの人気コラムニストがこのような価値観を提唱し、それがまた全米ベストセラーになるところがおもしろい。

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2017年09月30日

Posted by ブクログ

ポジティブシンキングを真っ向から否定して、「あなたの欠点を認め、その欠点と闘い続ける事が人生を有意義にする」という主張の本。

アンソニー・ロビンスよりも、コヴィー先生の方を尊敬する自分には、まだ納得できる中身でした。

読むのめちゃんこしんどかったし、実践なんてこれまたとんでもない苦行だけど・・・

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2017年07月12日

Posted by ブクログ

 大好きな水野敬也氏がお薦めの著書。後述の問題意識の元、フランシス・パーキンズ、ドワイト・アイゼンハワー、ドロシー・デイ、ジョージ・マーシャル、ランドルフとラスティン、ジョージエリオット、アウグスティヌス、サミュエル・ジョンソンとモンテーニュ以上、10人の生涯を通じて、現代人が忘れている内的成熟の価値と「生きる意味」を根源から問い直す。

 訳者あとがきより。
 本書で著者が最も訴えたかったこと、それは「人間には本来、二つのプロフィールがあるが、現代はそのうちの一方だけが偏重されている」ということだ。二つのプロフィールとは、「履歴書に書かれるプロフィール」と「追悼文に書かれるプロフィール」だ。前者は、外面的なプロフィールと言ってもいいだろう。どの学校を出て、どういう仕事をし、どのような能力があって、どの程度、成功しているか。後者はそれに対し、内面的なプロフィールだ。その人がどういう人だったか。優しくて思いやりがあったか。それとも自己中心的で冷たい人だったか。善人だったか、悪人だったか。どちらのプロフィールが人として大事かと、と問われれば、たいていの人は後者と答えるに違いない。にもかかわらず、現実には、前者のプロフィールを充実させることにばかり気を取られている人が多い。それが現代の問題だと著者は言っている。

 最後のまとめが少々長いが、一読の価値がある。

1.私たちは幸福のために生きるのではない。私たちは聖なるもののために生きる。…すべての人間は、ただ快楽のために生きるのではなく、大きな目的のために生きてゆくものである。そして、正しさ、美徳を求めて生きてゆくものである。…有意義な人生とは、理想を掲げ、その理想に向かって最後まで闘い続けた人生のことである。…
2.「1.」の前提により、人格者になるためになすべきことはわかる。人格者への道を歩むには、まず、自分がどういう人間なのかを正確に知る必要がある。最も重要なのは、人間は皆、欠点を抱えた存在だと知ることである。…
3.私たちは欠点のある存在だが、一方で優れた能力を与えられてもいる。人間は内面で二つに分裂していると言ってもいい。…
4.自分の弱さと闘う際、重要な武器になるのが、謙虚さという美徳である。謙虚さとは自分自身に対して正確な評価を下すことであり、この宇宙における自分の位置を正確に知ることである。…
5.自尊心は最も大きな悪徳である。自尊心が大きくなってしまうのは、その人の感じる力に問題があるから。…
6.生存のために必要なものが十分手に入れば、その後は、罪との闘い、美徳を身につけるための闘いが、人生の中心になる。…
7.人格は、人間の内面での闘いの中で形成されていく。…
8.性欲や食欲など目先の欲、あるいは恐怖心、虚栄心などに振り回されると、私たちは間違いなく道を踏み外してしまう。人格は長い期間の忍耐強い努力がなければ作られない。
9.自分の弱点を克服し、人格者への道を歩むことは、誰も自分一人の力ではできない。個人の意思、理性、慈悲心はあまりにも弱く、それでけでは、利己心、自尊心、欲望、自己欺瞞などに常に勝ち続けることは不可能だ。…
10.私たちを最後に救うのは愛情である。…
11.自分の弱さと闘うのは、「自我を抑える」ことでもある。…
12.知恵のある人になるには、まず自分の知性の限界を悟る必要がある。…
13.天職を持たない人は良い人生を送ることができない。…
14.優れた指導者は、人間が本来持っている性質に逆らおうとはしない。その性質を前提として動く。tね
15.自分の弱点、罪と長年闘い抜いたからといって、その人が世俗的に成功して、富と名声を得るかどうかはわからない。ただ、その人は間違いなく人間的に成長するだろう。人間的な成長と、持って生まれた知力や才能とは関係がない。…

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2021年08月08日

Posted by ブクログ

長かった。が、マーシャルのエピソードとか面白かった。
履歴書向けプロフィールより追悼文向けプロフィールを充実させるべし

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2018年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「履歴書向きの美徳」(アダム1)ではなく、「追悼文向きの美徳」(アダム2)を説く。アダム2を象徴するような10人の生き様が綴られるが、どの人も聖人ではなく、欠点も多い。順風満帆に生きて、徳を得るのではなく、困難や失敗を克服した先に大切なものを掴むストーリーが多く、読んでいる我々にもアダム2を得るための希望を抱かせてくれる。

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2017年10月29日

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