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Posted by ブクログ
とても読みやすく翻訳された本だった。
戦前・戦時中の話は早く読み進めたくて仕方がなかった。
フィクションとわかっていても、史実に基づいていたノンフィクションではないかと思えてしまうほど。
純粋にお店を持つという夢を持ち続けていたエイダ。
ひどい仕打ちにも耐え生き延び、戦争が終わった時には心底ホッとした。
人を信じては騙され、侮辱され、ボロボロになっていく様は読んでいても痛々しかった。
理不尽なストーリーだったが、読み応えがあった。
手に職があるって大切なことだし、素敵だと思った。
Posted by ブクログ
1939年ロンドンの貧しい家庭に育ったエイダは、婦人服のドレスメーカーとして店を持ちたいと思っていた。裁縫のセンスもよく、スタイルも美貌も兼ね備えていた。町の仕立て屋で働いているが、ハンガリーの伯爵だと名乗るスタニスラウスに言い寄られ、家族に言わずに二人でパリへ渡る。
しかし、パリにいる間に戦争がはじまりロンドンに帰れなくなってしまう。
やがてスタニスラウスはパリからベルギーへ脱出すると言う。その途中、エイダはスタニスラウスとはぐれてしまう。エイダは修道院へ駆け込み尼として住まわせてもらうが、そこもドイツ軍に襲われ、収容所(ダッハウ)に入れられる。
過酷な収容所の生活の中で、エイダはその裁縫の技術とセンスで収容所幹部やその家族のために仕立て屋をする。
やがて戦争は終わり、エイダも救出されロンドンに戻るが、父親は亡くなっており母親は無断でいなくなったエイダを強く非難し、追い払われてしまう。
絶望するエイダだが、ドレスメーカーの夢を捨てずウェイトレスとして働き始めるのだが…。
激動の人生を送るエイダ。ドレスメーカーの夢を捨てず、少し考えればわかりそうな罠に簡単に落ちてしまう。
最後は法廷の場面に変わるのだが、そこで繰り広げられる検察側の主張は、ここまでのストーリーを読んできた読者(つまりはエイダ)にとっては限りなく現実離れしたものであった。しかし、自分が陪審員だとしたら検察の論述に賛同するであろう。エイダも、それがわかっている。それが、この本の深みなのであろう。
読む前には思ってもいなかった結末に、感じ入った作品だった。