あらすじ
時代小説の人気シリーズ「本所おけら長屋」の著者・畠山健二が落語の世界を紹介! 落語に興味があるけれど、何から観たらいいのかわからない。いったいどの作品が面白いのだろう。本書はそんな超入門者や、江戸の生活に興味がある人が落語を気軽に楽しむための案内書。春は「長屋の花見」、夏は「永代橋」、秋は「目黒のさんま」、冬は「芝浜」、江戸っ子の遊びがわかる「へっつい幽霊」、歌舞伎の「中村仲蔵」、旅で出会った「猫の皿」、冠婚葬祭の「鮑のし」など、とくに人気の古典落語を中心に40作品をとりあげる。それぞれあらすじは10行程度に凝縮。40作品の落語の内容がすぐに読めます。作品に描かれた四季について、話の背景、ともっと面白くなるポイントなどを区分けしてわかりやすく解説。江戸っ子や当時の暮らしを古典落語を通して学べる一冊。巻末には畠山健二×三遊亭小遊三師匠の対談も収録。『落語歳時記』を改題し再編集
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Posted by ブクログ
気軽に読める、江戸を紹介した本。
古典落語のあらすじをまくらに、江戸にまつわるうんちくを展開している。あらすじは全40席ある。
構成は以下の4つからなる。
1.あらすじ
2.歳時記、または江戸っ子の生活
3.背景
4.ひとこと
あらすじは1ページ分しかない。ほかの古典落語のあらすじ本を読んでいなければ、どのような話か分かりづらい。
私は演目を見れば、どのような話かわかるので、あらすじの短さや、わかりづらさに特に不満はないものの、入門者には不親切だと感じた。題名に「超入門」と書いてあるが、本当の入門者向きではない。すでに古典落語に入門している人向きである。
文体は、かなり軽い。あっさりと書かれているので、難しいことはない。気軽に読めるが、学びという視点でみると、深くは学べない。
固有名詞が多いので、読み仮名を振っていないところは読みづらい。また、日常的に使われていない漢字が使われていることもある。
例を挙げよう。
「江戸時代の有名な掏模が、坊主小兵衛と髪結の助だ」(p85)
掏模(スリ)は平仮名か、カタカナで表記した方が通じやすい。坊主小兵衛(ぼうずこへえ)も仮名を振った方が親切だ。
「明暦(一六五五~一六五八年)のころ、浅草北寺町に称住院という寺があり、その敷地内に支院、道光庵があった」(p96)
読めないこともないが、仮名を振った方が読みやすい。
古典落語で語られている江戸時代の背景、生活、人間関係などを、もう一歩進んでみてみたいとき。勉強しようというのではなく、もっと気楽に眺められる軽い本である。