【感想・ネタバレ】サイコパスのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年01月10日

中野信子氏による著作。
2016年11月20日第1刷発行。
直球の題名である。
サイコパス。
一定の確率で私達の社会に存在する彼らについての考察。
存在し続ける以上生存上、生物学的にも存在意義が
あるのだという。
ただ高度な社会になってきた今、サイコパスの
自己中心性の害悪は昔よりも強くなっている。...続きを読む
私達は会社、役所などの職場で彼らにどう対応するべきか苦労は続くだろうが、知っておく必要がある。
もしくはサイコパスを見抜き遠ざける為にも一定の知識が必要だ。
本書によってその知識を得る事が出来る。
印象に残った部分を紹介していくと、アメリカでは全人口の4%がサイコパス
おおよそ100人に1人くらいの割合でサイコパスがいると
言えます。
日本の人口(約1億2700万人)のうち、約120万人はいる計算
サイコパスは尊大で、自己愛と欺瞞に満ちた
対人関係を築き、共感的な感情が欠落し、
衝動的で反社会的な存在です。
また、無責任な生活スタイルを選択するといった傾向があります。
サイコパスは自分に共感性がないことに、薄々気づいてはいます。
そして、他者に共感的なふるまいを全くしないと自分にとって不利になるということを頭で理解しています。
そのため、他の回路を使って対応するのです。
こうしてサイコパスは人の弱みにつけこみ、コントロールする技術を身につけています。
サイコパスにも「妬み」の感情はあります。
ただし、自分の損得と関係ない人のことには無関心です。
自分と直接的な利害関係が生じさえしなければ、集団の中において「あの人だけ得してずるい」といったことが起きても興味を示しません。
サイコパスの脳では、恐怖や不安といった情動よりも
理性・知性が働きやすい。
勝ち組サイコパスは、前頭前皮質、とりわけDLPFCが発達しています。
そのため、短絡的な反社会行動を起こしにくいのです。
「今、この人を殺したら、ゆくゆく自分にとって損になる」と理解し、「生かさず、殺さず、搾取する」という冷たい計算ができるわけです。
集団に迷惑をかけ、罪を犯しても反省をしないような人間が一定数出てくると、秩序が保てなくなります。
「誰も見ていない時に突き落として殺す」のか、収監するのかなど、方法は共同体によって異なりますが、負け組サイコパスはそのようにして排除されてきました。
革命家・独裁者としてのサイコパス
(あくまでも著者個人の見解)
織田信長、毛沢東、ピュートル大帝、マザー・テレサ
ペリロス(ファラリスの雄牛の作成者)
サイコパスは状況がどれだけ混乱していても、周囲が
新しいビジネスモデルに対応できずに拒否反応を起こしていても冷静でいることが可能です。
皆が自信を喪失している状況の中でも、自信満々にふるまいます。
それを評価する人は多いでしょう。
こうしたサイコパスの特性を考えると、面接ばかりを重視した採用試験や大学のAO入試には、問題があると言わざるをえません。
過剰に魅力的で、確信をもって堂々とした話しぶりをするサイコパスばかりが通る試験になりかねないからです。
同様に、司法の素人に判断させる裁判員制度も、弁舌に長けたサイコパスの存在を考えると、危険きわまりない司法制度だと言えます。
ロバート・ヘアが指摘していますが、サイコパスは特に看護や福祉、カウンセリングなどの人を助ける職業に就いている愛情の細やかな人の良心をくすぐり、餌食にしていきます。
困っている人に手を差し伸べることを好む献身的な人間は、サイコパスにとってはつけ込みやすく、利用しやすいのです。
自己犠牲を美徳としている人ほどサイコパスに目をつけられやすいのです。
サイコパスには、他人に批判されても痛みを感じないという強みがあります。
したがって、問題発言やわざと挑発的な言動をしてよく炎上し、しかし全く懲りずに活動を続け、固定ファンを獲得しているブロガーにも、サイコパスが紛れ込んでいる確率は高いと考えられます。
「サークルクラッシャー」とは、サークルの中で複数の男の子と性的関係や精神的依存関係を持ち、それが原因でトラブルを起こし、最終的には集団を崩壊させてしまう女の子のことです。
女性のサイコパスは「弱い女」「涙を流す女」を攻撃できないという社会通念を利用し、批判する人間がまるで極悪人のように見えるアングルを演出することに長けています。
自分が騙されていたことがわかったり、犠牲者の存在が明らかになったりしても信者であり続ける不思議な話だと思いませんか?
実は、人間の脳は、「信じる方が気持ちいい」のです。
これもまた、集団を形成・維持する機能の一つと言えるかもしれません。
人間の脳は、自分で判断を行うことが負担で、それを苦痛に感いるという特徴を持っています。
これは認知負荷と呼ばれるものです。
人間の脳は、齢をとるほど人を疑いにくくなる傾向があるのです。
人間のドーパミンの分泌量は、中高年になると減っていきます。
それによって落ち着きが出てくるという、プラスの面もあります。
一方で、前頭葉を使うことで生じる快楽や、自分で意思決定をすることの喜びが得られにくくなるマイナスの面もあるのです。
他人を疑うことは、認知負荷、つまり脳にかかる負荷が高い行為です。
脳の多くの場所を同時に活動させなければならないため、疲れます。
ドーパミンの分泌が減ると「労多くして益少なし」という状態になりますから脳が疲れる行為を積極的には取らなくなる。
つまり、面倒くさいことを考えるよりも「長いものに巻かれておけ」
という態度になりがちなのです。
もともと女性は自分に近寄ってくる男性を警戒するものですが、男性が自分に近寄ってくる女性を警戒するケースは比較的少ないでしょう。
これは性行為によって得られる帰結が違うからです。
いざとなれば男性は逃げれば済みますが、女性は妊娠・出産という大仕事を背負うことになるため、深い関係になってからでは逃げることが難しいのです。
サイコパス向きの仕事
小説家、スタイリスト、選挙プランナー、公安警察、
情報機関のエージェント、ジャーナリスト、登山家、冒険家、
エクストリームスポーツ、格闘技、モータースポーツ、

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