あらすじ
大学受験を間近に控えた濱田清澄は、ある日、全校集会で一年生の女子生徒がいじめに遭っているのを目撃する。割って入る清澄。だが、彼を待っていたのは、助けたはずの後輩、蔵本玻璃からの「あああああああ!」という絶叫だった。その拒絶の意味は何か。“死んだ二人”とは、誰か。やがて玻璃の素顔とともに、清澄は事件の本質を知る……。小説の新たな煌めきを示す、記念碑的傑作。
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Posted by ブクログ
オススメされて読んだ作品。
エピローグでは正直何を言っているんだ?と思ってしまい、私はあまり好きではないと思ったが、最後のどんでん返しに驚いた。てっきり、清澄は父親に憧れてヒーローを目指して玻璃を助けていると思ったが、そんな事はなくて、ヒーローを目指しているのは清澄の息子であったところに衝撃だった。
よくある青春小説家と思いきや、深い愛を感じる話。
Posted by ブクログ
素敵だった。
ただ悲しくて残酷な物語なのではなくて、全てを読み終わって、自分のなかで考えた後、じんわり心が温かくなるような、そんな物語だった。
「わたしにとって先輩は、澄んだ空気そのものです!先輩のそばにいるだけでいいんです!死んでた細胞もいきなり元気に回復します!そうやって何度でも、わたしは新しく蘇れるんです!」
彼らの真っ赤な嵐がそう感じていたように、人間は単純で、彼らは永久機関なんだと心から思った
愛には終わりがない、他でもない、玻璃と清澄の息子である、「彼」がそう言ったことに、「清澄」を感じて、心がじんわりと温かくなった
清らかで澄み切った真冬の空気のような、綺麗で、純粋な性格の玻璃
優しくて、きっと玻璃には宝石のように輝いて見えたであろう清澄
お互いの名前がお互いを表しているような印象を受けた
個人的に玻璃がとても好きだった。言葉も、性格も。
清澄は彼女の純真さに、冷たい夜に、顔を洗われたんじゃないのかな わたしもそんな感覚がした
以下考察
冒頭の母と父は、玻璃と清澄
UFOのせいで死んだのは二人
ー父を殺す前の玻璃と、清澄。清澄が新しい君と言っていたこと、本当の名前は玻璃って言うのと息子に告白したことからも、父を殺してから玻璃が名前を変えたことがわかる
玻璃の父を殺して、結婚した後も彼らのUFOは消えずに執着し続けていた
彼女が産んだ真っ赤な嵐がヒーローになりたいと言い出す
→砕け散った清澄は最小単位の物質となって虚空に消えたのではなく、酸素のように存在し続けている
「父さんは目に見えないだけでどこにでもいる。俺はいつだってどこにだって父さんに存在を感じることができる。俺が生きるこの世界の全てに満ち溢れている」
「家中に、町中に、世界中に、この星中に、宇宙のそこかしこに、母さんの大切なものはいくつもあった」
玻璃と清澄の息子が、冒頭の部分で玻璃と呼んでいるのは、後々わかる通り、彼女が息子に対して玻璃と呼ぶように願ったから
題名「砕け散るところを見せてあげる」
→玻璃ではなくて清澄の言葉であると考えられる
「お母さんに本名は明かすなと言われていた」
→お母さん=義母さん=清澄の母
→この台詞の主は玻璃で間違いないと断言できる
Posted by ブクログ
自分の体はなくなった後も、その愛や意思は砕け、原子のような大きさになって、世界中に飛び散ってあなたやその子どもや大切な人々をずっと届けていくよというエントロピー的ラブストーリー。
Posted by ブクログ
高校生の濱田清澄は、陰湿ないじめを受けている後輩の蔵本玻璃を気にかけるようになる。彼女は影があり恐怖に怯えて生活している。清澄は玻璃を守ろうと距離を縮めるが、彼女へのいじめが残虐で、家庭は普通ではない。清澄は「彼女を守りたい」という気持ちだけで奔走するが、その先には想像を超えるサイコパス、サスペンス脳よそが満載。清澄と玻璃に迫る危機があり、玻璃の祖母、母の行方と真犯人の存在が明らかになっていく。全体的に消化不良でネタバレで確認したら、おおー叙述トリックも!一方、シンプルな内容としてでも十分楽しめました。④
Posted by ブクログ
映画を観た。
大々的な宣伝も無く、特に話題作でも無かったが、にも関わらず俳優陣はとても豪華な顔ぶれだった。
なるほど上手くまとまっていて、良い映画だと思う。
小説を読んでから劇場に足を運んだのだが、冒頭5分で原作にあったサプライズが映画では使われていないことが分かった。
そして、むしろそれが良かった。
特段、ドッキリが見え透いているとかいう事ではなく、私にはそれを必要とする作品では無いと思えたからだ。
結果、原作よりも映画の方がスッキリとテーマがわかりやすくなった。
孤独、いじめ、相変わらず跳梁跋扈しているキ○ガイ親どもとそこから派生した深刻なトラウマ、そして勇気など、物語を彩る要素は多彩だけれど、突き詰めるとこれはラブストーリーだと思う。
その意味で前述のサプライズを除けば、映画は小説を忠実に表現出来ていると感じたし、ともに良作。
オジさん的には
主人公にほのかに想いを寄せる尾崎(妹)と主人公との何気ないふれあいのシーンは小説同様に再現して欲しかったかな〜。
Posted by ブクログ
【孤独、そして終わらない愛】娘のレビュー
物語の本編は、高校生(3年)の濱田清澄と(1年)蔵本玻璃の出会いから始まります。学年一の嫌われ者である玻璃に対するいじめをみた清澄は、彼女を救い出そうとあらゆることをします。
共に時間を過ごしていくうちに、互いの優しさや美しさの魅力に気づき、2人の距離はぐっと縮まります。
ところが、玻璃には打ち明けられない秘密がありました。それは父親から暴力を受けていること。そして数年前に祖母を沼に埋める手伝いをさせられたことも話します。
清澄は父親から玻璃を救うべく行動に出ましたが、逃げようと思ったところで2人は父親に見つかり、ゴルフクラブで殴られてしまいます。しかし最終的には、清澄が玻璃の父親に殺されかけるところで、玻璃が父親をゴルフクラブで殴り殺したのでした。
本編はできるだけ簡潔に要約してみましたが、この本には叙述トリックがあります。本編前のエピソードの「俺」が清澄の息子(真っ赤な嵐)であることです。玻璃と真っ赤な嵐の会話は、まるで恋人同士のようにかかれており、読者を惑わせるトリックでした。
恋愛から愛へ繋がる物語と思いきや、終盤で一気にサスペンスともいえる展開になり衝撃でした。清澄と玻璃の愛が真っ赤な嵐に伝わっていることが感じられ、最後は心温まると思います。個人的には玻璃の父親がサイコパスであったこと、玻璃の母親は家を出て行ったのではなく父親に殺されていたこと、また、殺害時の描写が衝撃で読後少し怖さが残ってしまいましたが。(;´Д`)
春公開の映画見に行きたいと思っています。是非。
オススメ年齢 高校生以上
Posted by ブクログ
思いっきりラノベっぽい文体の本を読み切ったのは初めて。すごい読みやすくて、1時間ちょっとで読破した。集中が切れず、走り抜けた!という感じで爽快にすら思った。
こういう叙述トリックはよくあるんでしょうか。初めてだったのでまんまと騙されたけれど、変に疑い深くなるのはいやなので、たまにでいいな。
Posted by ブクログ
ふわふわとした気持ちで終わって
考察読んでザッと2周してハッとした
んなわけないだろうな…という気持ちを抱えながら
6〜7割読んで一気にどんでん返し。
でもまぁ思ってたよりそうでもなかったかな、
なんて思ったけどさらにまたひっくり返し。
よかった!けど私の好みにガッツリと
ハマったかと言われたらそうでもなかったかな…?
Posted by ブクログ
正直文体は苦手。特に序盤。最初は少しイライラしながら読んでいたけれど、後半に向かうにつれてプロットの面白さに引っ張られて結局最後まで一気読みしてしまった。そんな独特の面白さ。ラノベと青春小説の中間的存在だけど、小説の構成は野心的で、今までにない読後感だった。読み終えた直後は清澄死んじゃって玻璃はかわいそうだなと思ってしまい、純粋なハッピーエンドじゃないってイメージだったけど、少し読み直してみるとそうじゃないと気付いた。きっと玻璃は清澄の死と息子の誕生によって、ようやく真の幸せに出会えたんだと思う。愛、というものを生まれて初めて、身をもって知ったんだと思う。