あらすじ
住民の高齢化、崩壊する生活基盤、空き家の増加。今、郊外の住宅街は破綻の危機にある。この現実を前にできることは何か。家を買った人も買う予定の人も知って欲しい、住宅街が抱える問題と対策を明らかにした1冊。
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Posted by ブクログ
不動産会社で不動産の買収、開発などを手掛けてきた筆者が現在の日本における住宅事情を分析をまとめたもの。とても分かりやすい説明で、簡潔に主張がまとめられており、納得させられる。未だ誰もが持っていてもおかしくない高度成長期における不動産に幻想に強く警鐘をならしている点は非常に勉強になった。
心に残ったフレーズ:
1.家は地域で買いなさいが鉄則。
2.住宅もコモディティ商品の時代。
3.ニュータウンとよばれる郊外の住宅地では高齢化と人口の社会減が生じている。
4.戸建て住宅をバリアフリー化しても家の周りがバリアフリーでないニュータウンもある。
5.買ってはいけない新興住宅地。東京までの通勤時間が一時間を超える、1970-1980年代に開発された、駅からバス便、丘陵地にあり傾斜がきつい、近隣に観光地など人が集まる場所がない、地域内にめぼしい産業がない。
6.持続可能性が見えるユーカリが丘。
Posted by ブクログ
不動産業界に関わってきた筆者による、あらたな「不動産のミカタ」とでもいった本。
家・不動産は、資産として見るより、使用・利用価値を考えるべき。つまり買うまえに持つコストを長期で見る。
先々の修繕費等も鑑み、住みかえることを前提とした方が良い、というお考えだと理解しました。
その過程で、どういう物件が「負の相続」を巻き起こすのかを詳述しています。
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筆者曰く、今後負の資産となって一族に重くのしかかる不動産が増えてくる、とのこと。それは駅からバスを利用してやっとたどり着く、70-80年代に造成されたニュータウン。しかも通勤に一時間以上かかったらもうヤバい。
こうした家は、売りたくても売れず、子どもに譲りたくても子ども達は既に街中に家を構えている。そして持ち主たちは死へと向かい、子供世代が引きついだ時、補修をするにも金がかかる・売るにも売れない・滞納している自治会費を払わねばならない、という諸々の苦しみに直面するという話です。
いっそのこと、更地にして売り出そうにも、家を取り壊すのも数百万、さらには更地にした途端に固定資産税が家付き土地の6倍にもなる。その上売れる保証もない。
こうして、泣く泣く空き家が増えてゆくということのようです。
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私の実家は、幸いにも駅から10分程度でした。
ただし東京都下ということで、通学や通勤はなべて一時間半。これはまあ首都圏だと普通、だと思います。ただバスは使用せず。
空き家問題が叫ばれているわけですが、私はバスを通勤・通学で使用したことがなく、そうした問題に遭遇する機会が正直ありませんでした。
とはいえ、こうして大手デベロッパー出身の方の話は生々しく、まさに負動産を持ってしまったサラリーマンの悲哀を読んでいて感じました。
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一方、解決策のひとつとして筆者は隣の人に売却を打診してみる、ということを提案されています。
これはテレビでもおっしゃられていました。テレビでは再建築不可(幅員4mの公道に接していないような土地)の物件についてでしたが。
お隣さんの場合、隣に庭や畑を持ちたい・土地を拡げて建て替えをしたい等にニーズがあることがあり、これが唯一?の救いということなのでしょうね。
あとは大幅ディスカウント、損切りをできる胆力が売主・家主にあるかですかね。
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ということで家系の本でした。
条件のよろしくない不動産・負の遺産は、配偶者にとどまらず子どもにも相続されるわけで、ある意味根が深いですね。何しろ買い手がいないわけです。そして国も物納や相続放棄を喜ばない。
これは消費者の問題のみならず、人口減社会での土地行政について国が問われている問題とも思えます。
そして、時代を謳歌したベビーブーマーが氷河期世代に問題を残していった、とも取れるかもしれません。
筆者が言うように、家は一生ものではなく、精々10年モノくらいで考えるべきなのかもしれません。