【感想・ネタバレ】採用学のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

若手の研究者が採用を科学的に調査した本。
人事担当経験の長い人が自分の勘と経験だけで書いたものとは違い、統計や他の文献なども参照していることから非常に説得力がある。

以下ためになったところ。
良い採用とは「求職者をランダムに採用したときに比べて、より高い業績を収められる、または企業へとより強くコミットし、中長期的に企業にとどまるか人材を獲得できること」
コミュニケーション能力に代表されるようなあいまいで多義的な「能力」の測定や判定は難しい
日本の採用の問題点はリソースに頼った人海戦術と能力や期待があいまいなこと
マイナスの情報を与えることでかえって無駄な募集者を減らし、正常な期待値を保たせることができる
採用チャネルごとのメリット・デメリットを考えること
優秀さの定義と明確にすることと可変的なものかどうかを考慮すること(何を見ないかが重要)
選抜ツールに必要なことは妥当性(測りたいものを測れているか)、信頼性(再現性)、納得感
採用力=採用リソース(資金など有形なもの&ブランド力などの無形なもの)×採用デザイン力(採用を設計する力)
勘と経験だけの採用はあやうい。科学の知見を有効に活用する必要がある
正しい採用自体の回答は企業自体が試行錯誤し取り組んでいくしかない

以前人材紹介会社で勤務していて採用に関して非常に疑問に思っていたので、読後非常にすっきりした。

人間が人間をフィーリングでみることは不可能だということが再認識できた。

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2017年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【214冊目】電子書籍にて購入。経営学修士で横浜国立大学准教授の服部泰宏氏の著作。日本で「採用学」を掲げて研究する学者がなかなかいないことから注目。既婚だけど、スポーツマンでイケメンだから、今後マスメディアの露出も増えそう。

 まず冒頭の映画「マネーボール」の逸話が興味深い。確かに企業は採用において「優秀な人材」が欲しいという。しかし、では「優秀」とはどういうことなのか。それをそもそも採用する側がきちんと認識していないんじゃないかという反省を促す逸話である。
 そして、日本における採用の歴史、採用という営みに対する科学的視座の提示、日本における最新の新卒採用の動向を概観するという構成。さすがに経営学なだけあって、様々な新規概念や定式が示されていて勉強になる。幾つかの例を下に記す。

◯ 採用基準の(意図しない)拡張

◯ 大規模候補者群仮説

◯ 優秀さを「変わりやすい能力」と「変わりにくい能力」に分ける

◯ 評価する、ということには、「何かを計る」ことと「価値を創り出す」ことという2つの側面がある

◯ 採用力=採用のリソース×採用デザイン力
<採用のリソース…有形/無形>
(有形…動員できるスタッフ、予算、企業の立地など)
(無形…採用担当者の人脈/採用ブランド)
・採用担当者の人脈…人材にリーチするための人脈/社内の支援集団とのつながり
・採用ブランド…企業・業界のブランド/採用自体のブランド

 筆者は「採用自体のブランド」が今後の日本の採用を考える上で極めて重要と述べている。確かに採用そのもののみを考えれば済む採用学者にとってはこれが重要かもしれないが、採用実務者及びビジネスパーソンからするとこれはさほど重要とは思えない。なぜなら、企業にとっては、採用は経営手段の一つに過ぎず、採用自体のブランドに惹かれて求職してくるような応募者は、就職後に期待と現実のミスマッチに陥りやすいと思えるからだ。

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2019年12月10日

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