あらすじ
人を納得させる議論には「型」がある。「定義」「類似」「譬え」「比較」「因果関係」──たった五つの論法さえきちんと使いこなせれば、誰だって自分の考えを的確に表現できるようになり、一見もっともらしい相手の主張の弱点も見えてくる。教育現場でディスカッションなどを指導する際の手引きとして書かれた本書には、議論に欠かせないこれらの技術の使い方と、それに対する反論の仕方といった、私たちが身につけておくべきイロハが明快に論じられている。豊富な実例を通して論証・反論の技術を磨く、確かな修辞学的知見に裏打ちされた入門書。『議論の技を学ぶ論法集』文庫版。
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Posted by ブクログ
「議論」「レトリック」に興味があり、『レトリックと詭弁』も面白かったので購入。
議論すること自体は好きな方ではあるが、議論の過程で言葉による罠を見抜けないと真の解に辿り着くことは難しい。
嵌められがちな罠とその対処法をあらかじめ知っておくことで、より確実に正解に辿り着くことができる。こういった能力も教養によって養われるのだろうと再認識した。
この本自身、十分に体系的な編集とはなっているが、さらに深く知り使いこなすためには、こういったものをきちんと説明・図解する能力が必要であろうとも思う。
Posted by ブクログ
相手の言ったことに対して、「どこか違う。」と違和感を抱きながらも、うまく返す言葉が思いつかずに苦い思いをする。自分の伝えたいことをうまく言語化できないモヤモヤが晴れない方は、議論の型を身に付けることが打開策につながると聞き、本書を手に取った。
人を納得させる議論というものには5つの型があるという。本書はその型を様々な書籍や論文から引用しノウハウを伝えてくれる。ただ、ふりがながなければ読み進めることが難しい箇所がいくつか登場することと、引用される文章がやや難解である部分があり、一度で全てを理解することは難しいと思われる。
しかし、論を組み立てるトレーニング量を積むうえでは好適といえると感じる。本書に入門書としての役割を求めることは中々に酷と思うが、実践書として有用だと考える。
Posted by ブクログ
少し難しいが、議論というか、人の文章の読み方、レトリックの見破り方の基礎は身につく。
早速本書に即して論文を読んでみると、レトリックに気づき、それに基づく反論が思いついたりもした。
本書の内容を頭に入れて会話での議論を戦わせることは難しいとは思うが、人の文章を読むことを生業にしている人にはお勧めだ。
ちなみに、本書自体の文章はやや高圧的で突き放したところがあるが、「あとがき」を読んで人間くさい人であることがわかってホッとした。
Posted by ブクログ
『レトリックと詭弁』の著者である香西秀信氏の著書。本書は絶版になっていた『議論の技を学ぶ論法集』(明治図書出版)が文庫化されたものである。主に議論指導に関心のある教師に向けて、議論指導の出発点として選んだ5つの論法について解説している。引用文は難しそうな本からが多いが、どれも聞いたことがある論法である。実際に使われている場面を探してみたり、自分で使ってみたりすると面白いと思う。
第1章 定義
第2章 類似
第3章 譬え
第4章 比較
第5章 因果関係
Posted by ブクログ
議論の定石。理論本ではなく実践的に5つに圧縮。
すなわち、定義、類似、譬え、比較、因果関係なりと。過去の名人級の文章家のシャープな説得、あるいはグダグダの文章の例が面白い。
Posted by ブクログ
【星:3.0】
学校教育において、ディベートが行われることがあるが、ただディベートさせるだけで、その手法を教えてはいないというのが著者の意見。
そんな現状を踏まえて、ディベートの技法を教える立場となる教育者向けにディベート技法の基礎を書いた本となっている。
内容としては修辞学の本ということになると思う。
ディベート・修辞学技法を「定義」「類似」「譬え」「比較」「因果関係」の5つにまとめて説明している。
この5つのまとめ方自体はスッキリしていて「修辞技法というのはこういうことなんだ」という感じで全体観はつかみやすい。
ただ、この5つの修辞技法を例文を用いて説明していくスタイルなのだが、この例文が古今の著名な哲学者や評論家の崇高な文章で、この例文自体の読解にパワーを要してしまい、肝心要の修辞技法が頭に入ってこなかった・・・
私の力不足のせいも多分にあると思うが、もう少し平易な例文で説明して欲しかった・・・。