【感想・ネタバレ】自閉症のぼくが「ありがとう」を言えるまでのレビュー

あらすじ


*本文「幸せになる秘訣」より抜粋*

自己憐憫におちいって身動きがとれなくなったことが、どれほどあっただろう。
陽気でいるよりも、みじめでいるほうがずっとかんたんだ。
ポジティブでいるよりも落ちこんでいるほうがずっと楽だ。
人生が厳しいときにポジティブでいるためには努力が必要だけれど、
落ちこむためにはまったくなにもしなくていいのだから。

ひとりが落ちこむと、まるで伝染病みたいに、まわりのみんなも落ちこんでしまう。
だから自分の身を嘆きがちなぼくたちは、せめてまわりの人にやさしくしなければ。

どうすれば自己憐憫を乗りこえられるだろう?
より楽な生活をすればいいというわけじゃない。ぼくのおばあちゃんは
ものすごくたいへんな生活をしているけれど、とても陽気な人だ。
ことの大部分は「期待」と関係しているのだと思う。
人生になにか「貸し」があると思っていたら、
いま手にしているもののありがたさはわからない。
ぼくはずっと、自分をふつうの子たちと比べていた。自分を嫉妬に閉じこめ、
自分だけが人生を楽しむチャンスを逃していると思っていた。
ふつうの子だって完璧な人生を送っているわけじゃないということが
わかっていなかった。
彼らはふつうの頭脳を持っていたかもしれないけれど、たぶんぼくには、
家族やファイトなど、彼らが持っていないものがあった。
自分の幸運に気づけば、自分の財産のありがたみがわかる。
ぼくは、コミュニケーションができることの幸運をかみしめている。
これをできて当然のことだとは思わない。

「この病気であることがすべて悪いわけじゃない」
このことを心に刻んで、自己憐憫と戦うのがぼくの仕事だ。
認めたくはないけれど、自閉症はぼくにいいことももたらしてくれた。
沈黙の世界で、ものごとを深く考えることを学んだ。
まわりの人たちとその感情を観察して理解することを学んだし、
この病気がすべての終わりじゃないこともわかった。
取り組むことができるとわかっている難題にすぎないのだ。
幸せになる秘訣は、自己憐憫をやめることだ。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

とても良かった。アルジャーノンに花束を読んだあとのような感覚がある。
うちの甥っ子に文字盤をあげたくなった。
きっと彼にも内なる声がある。

0
2023年07月17日

Posted by ブクログ

自閉症、言葉そのままなんだな。

自らが(肉体に)閉じ込められた症状って書いてるもんな。

表に見えることだけが真実じゃないってことについて、
星の王子さまもさんざん教えてくれているのに、
もっとこのことについて
考えた方がいい、
考えなくちゃならないんだ。

体は重くて、
思い通りにならない物質で、(痩せたり太ったり、病気になったり損傷したり)
でもこの世界に生きるには必要不可欠なんだもんな。

その体と脳がつながって、
思った通りに動かせるってことは、
すごく複雑なことで、
できるから考えないけど、
ひとたびできなくなったら。

もしくは生まれてからこのかたずっとそうだったなら。

イドさん以降・以前で世界は変わったのでは。

0
2017年12月02日

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