【感想・ネタバレ】はじめての短歌のレビュー

あらすじ

短歌とビジネス文書の言葉は何が違う?共感してもらうためには?「生きのびる」ためではなく、「生きる」ために。いい短歌はいつも社会の網の目の外にある。読んで納得!穂村弘のやさしい短歌入門。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

短歌の入門書としてももちろん、読み物として面白くて入り込んでしまった。久しぶりに「これは隙間時間ではなくちゃんと環境が整った時に読もう」と思えた本。とてもよかった。

「生きのびる」と「生きる」の違いについて、1冊かけて丁寧に解説されていて、自分の中に入ってきた感覚がある。

選ばれた短歌から改悪例を出してくれていることで、一般的な添削よりも分かりやすい。
自分は余白を持たせるためと思って単語を標準化してしまっていたけれど、これはまさに改悪例として載っているもので、唯一無二でなくなってしまっていたということだ。

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「この本はただの短歌入門書ではない。短歌入門書の仮面をかぶったビジネス書である。」(p165解説)

本書は慶應義塾の社会人教育機関で開講された、バリバリのビジネスマン向けのワークショップの講義部分を再構成したものとのこと。ターゲットが意外。
現代短歌にあらわれるような詩的感覚の表現を、「文学の形式」ではなく「頭を切り替えるための発想法」として伝えたとのことで、自分も学びがあった。

私は「生きのび」たいのではなく「生き」たいという欲求が強くなる時があって、もやもやしたりじたばたしているのかもしれないな、と思った。これは今の自分にとって大きな気付きな気がする。

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ひとつ不思議なのは、語り口調の本は苦手な傾向にあり、よっぽど読みたいテーマか知っている著者でなければ挫折してきたのだけど、本書は何も違和感がなく読めた。まだ著者の詩集も手に取っていなければ本書が講義がベースということも知らないという不勉強な状態だったにもかかわらず、何か文章から滲み出る魅力があったのだろうか?

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

先輩に薦められた一冊。
私が手に取ることはなかったであろう一冊。
こういう本を読む自分なんか、これっぽっちも想像できなかったけど、人に薦められたからにはと、重い腰を上げてみた。
上がる重さで本当に良かった。
ありきたりな表現だけれども、いつか「人生に影響を与えた本は何ですか?」と訊かれたら、この本の名前を呼んでいる自分が想像できる。

第1講第1節からグッと引き込まれた。
そして、「「生きのびる」ための言語体系から「生きる」ための言語体系にシフトする」ことと、私たちの二重性について書かれた第1講第5節。
そんな二面の違いとは、「忘れられないかどうか」という尺度と、そっちにシフト出来ない自分との綱引きについてが書かれた第3講第6節。
この三つの節は本質的でとても好きだった。

そして、二面とも大事だけど、蔑ろにされている「生きる」方を知ることこそが、「自分とは違う生き方を送る人々の考え方を感知できる」ことだと力説する、山田航さんによる解説。

この本にも歌が出てくる又吉直樹さんの小説(と映像作品)に私はとても惹かれるんだけど、その理由がこれまで上手く説明できなかった。特に、『劇場』。大好きなんだけどね。何故か上手く理由を語れない。
でも、この本を読んでから、少し言語化ができるようになったかも。
それは、「社会化された価値観の思考パターン」に抗って、「「生きる」に純化した魂の輝き」が眩しいからなのではないか。

私もたまには、スイッチを意識的に切り替えてみよう。
この本を薦めてくれた先輩に感謝を込めて。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短歌イベントのために再読。
短歌の詠み方を分かりやすく解説しているので、導入に最適である。想像の余地を作る、いつもとは違う視点で物を見る。
山田航氏による解説が素晴らしかった。

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2023年05月13日

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