【感想・ネタバレ】修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集のレビュー

あらすじ

法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を痛快に解き明かす傑作短編集。巡礼として訪れたローマの教会で、聖餐杯のワインを飲んだ若者が急死。居あわせたフィデルマが急遽謎を解く「聖餐式の毒杯」、殺人の疑いをかけられ窮地に陥った幼なじみを救うべく奔走する「ホロフェルネスの幕舎」、偶然立ち寄った宿の幽霊騒動に巻きこまれる「旅籠の幽霊」、アイルランドの大王(ハイ・キング)の王位継承をめぐる事件に挑む「大王の剣」、アイルランド代々の大王の廟所で起きた不可解な殺人を解決する「大王廟の悲鳴」という、バラエティ豊かな5編を収録。/解説=村上貴史

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Posted by ブクログ

ネタバレ

古代アイルランドの〈ブレホン法〉に則って裁判を行う弁護士〈ドーリィー〉であり、そのなかでも上位の〈アンルー〉という資格を有する修道女フィデルマが、聖餐のワインで毒死した青年、雪山の旅籠に夜な夜な出現する幽霊、消えた王家の大剣などの謎をその明晰な頭脳と法知識で解決する短篇集。


著者はケルトの歴史学者。このシリーズはミステリーの枠組みを使って古代アイルランドの社会を描くことを目的としたエンタメ小説である。
まずはなんといってもフィデルマの設定。王位継承者の妹という特権階級であることを差っ引いても、当時のアイルランドでは男女が同じ教育を受け、職業的に差別されることなく重要な役職に就けたという史実から生まれたスーパーウーマンである。
そんな彼女の武器は当時のアイルランド独自の法律、ブレホン法。この法律こそがフィデルマシリーズの二人目の主役と言っていい。婚姻や離婚における双方の権利の細かい取り決めや、王位継承者を一系の世襲ではなく集会で決定するなど、これまでローマ中心史観で〈未開人[バルバロイ]〉として語られることの多かった古代アイルランドの先進的な面を知ることができる。キリスト教ケルト派の大らかな思想と合わせ、先入観をひっくり返されるのがとても楽しく、作者の古代アイルランドに対する深い愛情を感じる。
収録作のなかでは、正当防衛とはいえ探偵役が犯人を撲殺して特に悪びれない「旅籠の悪霊」が印象的(笑)。あなた修道女でしょ?!(笑)聖職者だからか、フィデルマの探偵像はどこかブラウン神父に近しい。この邦題もそこを意識してつけられたのだろう。

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2021年03月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

7世紀アイルランドの修道女兼弁護士のミステリ。
正当防衛とはいえ、旅籠の幽霊にはびっくり…。
この時代の弁護士や教会の制度は馴染みがないので、なかなか興味深かったです。

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2015年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中世ヨーロッパが舞台。こんな昔のアイルランドなんて想像もしたことがなかった世界。
ヨーロッパというより、お伽の国のできごとのよう。
でも、作者はきちんとした歴史家とのことで、荒唐無稽なわけではないんでしょう。
長編の評価が良いので、そちらも早く読みたい。

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2014年03月03日

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