あらすじ
ホームレスが襲われ、執拗に暴行される事件が続いていた。どうやら生活費を稼ぐために路上で雑誌を売るホームレスばかりが狙われているらしい。暴行の模様は動画に撮られ、ネット上で公開されている。いったいなんのために暴行しているのか? 一方オリヴィアが探していた行方不明の元捜査官は、どういうわけかホームレスのなかにいた。過去を掘り起こすオリヴィアの行動が、意外な関係者たちを揺さぶる。一流企業の取締役、政治家、エスコートビジネスの経営者……。そして最後にたどり着いた真相は、オリヴィア自身が予想だにしないものだった。世界28か国で刊行! 全世界でシリーズ60万部突破。マルティン・ベックシリーズのシナリオを手がけた人気脚本家コンビが放つ衝撃のミステリ。
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Posted by ブクログ
様々な人々の人生を巻き込みながら、ラストまで一気に話が流れた。
単に、20年前の殺人事件だけでなく、それを発端とした現在の事件も色々絡む上に、別のホームレス殺人事件にも各々の登場人物が少しずつ絡むという、実に凝った構成の作品。
警察学校生というヒロインの成長、ホームレスとなったかっての辣腕刑事の再生の物語としても良くできていて、まさにテンコ盛りの内容。
しかも、捜査の過程で表面化しながらも、今回の事件では追及できなかった謎もあって、これは続編必至。
作者がかの「マルティンベック」シリーズのドラマ化の脚本家と聞くて、この群像ドラマとしての描き方も、色々な社会的な問題を背景に描きこむ構成も納得できる。
その一方で、スェーデン小説にしては、珍しく「ミレニアム」に出てきそうなアクションキャラもいるし、全編にどことなくユーモラスな描写もあって、ライトに読めるところもいい。
馴染みのない名前が多いのはさすがに疲れたが、今回も丁寧な一覧と分かりやすい訳に助けられた。
ともあれ、このシリーズ、早く次を出してほしい。