【感想・ネタバレ】静かな炎天のレビュー

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葉村晶シリーズ五作目。短編集。
シリーズ一作目では20代だった葉村晶がついに四十肩を発症し、それでもなお動き回って調査員してる。
表題作の「静かな炎天」では、葉村晶のもとに次から次に依頼がやって来る。依頼が無いと物語が進まないのもわかるが、いくらなんでもご都合すぎるんじゃないかと思って読み進めていたら、それら全てが伏線になっていてびっくり。またその違和感に気づいた葉村晶もやっぱりすごいなって。そして、物語の中にちらっと出てきた『怪奇小説傑作集1』の「炎天」のラストの一文を最後に持ってきてオチをつけている。そういえば『依頼人は死んだ』の「たぶん、暑かったから」でも似たような終わり方だった気がする。葉村晶と同じように作者も『怪奇小説傑作集1』が好きなんだというのが伝わってきて良いなって思った。
「副島さんは言っている」では、葉村晶の有能ぶりが凄かった。最初の菌類学者があーだこーだの件も後半で回収するし、あの短時間でそれっぽい事件をでっちあげれる女探偵すげえってなった。
って思ったらまさかのオチ。こええ。
「血の凶作」も好き。他の話とはちょっと雰囲気が違う。角田港大のキャラも良くて、それに振り回される葉村晶も面白かった。珍しくしんみりするオチ。
そして最後の「聖夜プラス1」。お使いを頼まれた葉村晶がどんどんと厄介ごとに巻き込まれていくお話。改めて思ったのが、店長の富山がなかなかの鬼畜だということ。富山に限らずこの本に出て来る人物は癖が強いな。最後、勘違いして偽物を奪っていった二人組のその後の反応が気になるが、そこを想像する面白さもあって、後味良く読み終われた。

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2020年01月02日

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旅のお共として。葉村晶シリーズの連作短編集。『静かな炎天』と『副島さんは言っている』は多分アンソロジーで読んだと思うけど、再読。ほんと相変わらず危険な探偵をしているけど、四十肩になったり老眼になりかけたりで大変。同世代としてほんと尊敬するわ。こんなひどい目にたくさんあってるのによく怒らないでいられるわ。まぁ怒ってはいるんだろうけど。

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2023年08月03日

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葉村晶シリーズ、長編が2作続いた後の短編集。
正直、やっぱりちょっと何か物足りない。
長編の方が好き。

四十肩に苛まされ、富山店長には何かとこき使われ、内面と口先の鋭さとは裏腹に芯にある優しさに周囲からつけ込まれる、書店探偵葉村晶の事件簿。

気になってはいたものの、中々手が出せないでいる『レベッカ』が早く読めよと言わんばかりに最初の1編に出てきたのには驚き。
そればかりでなく、巻末の”富山店長のミステリ紹介”が意外にも(と言うと失礼かもしれないが)守備範囲が広く、端的ながらうんちくが利いた一味違うブックガイドとなっており、読みたい欲求を掻き立てられる。
協力者のお名前もあったけど、若竹さん、ブックキュレーターとしての腕もお持ちなのでは。
あまり他の方の解説とかでも見かけた記憶はないので、書評の場面でも活躍して欲しいなぁ(自分が知らないだけ!?)。

本書の解説で大矢博子さんが葉村のことをS・J・ローザンのリディア・チンのようと評しているが、この言葉に膝を打った。
そう。
自分が葉村晶を読んで最初に思い浮かんだのは”ビル&リディア”シリーズとルヘインの”パトリック&アンジー”シリーズ。

”ビル&リディア”シリーズには手を出しているところだけど、刺激されて(言及されているわけでもないのに)”パトリック&アンジー”シリーズにも手を出してしまいたくなってきたなぁ。
いかんなぁ。。。

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2023年01月22日

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葉村晶シリーズの短編集。
安定のおもしろさ。

ミステリ専用の本屋の書店員をしながら、探偵をしている葉村晶。というか、晶の話を聞きつけた人に頼まれて仕方なく引き受けている感じ。
人探しをしていたはずなのに、事件に巻き込まれる率、高し。

晶の心の声というか、心の中のツッコミが、キレが良くておもしろい
私自身、若い頃は心に毒を持っていたつもりなんだけど、年をとるごとに丸くなり、自分の中から毒が抜かれていくさまを痛感しているのです。
晶は四十肩になるような年になっても、毒が健在で嬉しいよ。

表題作「静かな炎天」では、黒幕が狙った方法って、さらりと書いてあるけどすごく残酷な方法でぞっとした。
現実の世界では、毎年のように車内で小さな子どもが亡くなる事案が発生していて、それは「事件」として捉えられている。
でも、これが家の中だったら?亡くなったのが老人だったら?
事件ではなく、熱中症の事故として扱われるんじゃないかな。
すごく周到な完全犯罪!?・・・だったはずが、探偵葉村晶が優秀すぎたせいで失敗に終わるという・・・。

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2022年02月08日

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葉村晶の5作目。

冒頭の葉村晶の少々情けない日常からの、
事故への、そして被害者のバッグを探す流れは美しいとも言えよう。
ペールブルーに染められたホースヘアーの生地、
べっこう風の持ち手。

同じブルーでそろえた手帖を探すために、
コンビニの飛び込みバイトまでやって、
犯人を追いかける。
同じ「青」好きとしては惹き込まれる話だった。

昔の同僚村木に頼まれた調べ物のせいで、
バイト先の本屋に捜査官たちがあふれかえったのも面白かったが、
ハードボイルド作家の先生になりすました死者が誰だったのか、
の調査も面白かった。
死者の正体が過去の知人だと思い追悼するたびに、生き返る。

それにしても(一部罠もあったが)今回は身近なところから、
依頼が次から次へと舞い込んでいた。
一般の人にも探偵に頼みたいことが、意外にあるものだ。

もし身近に女探偵、葉村晶がいたら
私は何を依頼するのだろうか。

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2020年09月19日

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・青い影
吉祥寺界隈の描写が具体的だが、その辺の地理に疎いので、グーグルマップを参照しながら読んだ。蛇女との遭遇率が高過ぎる。葉村晶は不運ではなかったか?
・静かな炎天
葉村晶は幸運な探偵なのか?ご近所から持込まれる依頼を運に恵まれ次々と片付ける。でも、依頼が重なりすぎでは?
静かな暑い日って、実は何かが起きているのかも、と思ってしまう。
・熱海ブライトン・ロック
作家の失踪の真相に迫る雑誌の企画であったが、「やりすぎた」ため、モノにならず。葉村晶らしいと言えば、そのとおり。
声なき叫び声の表現がすさまじい。今までに読んだことのない言葉の羅列。
・副島さんは言っている
村木が久しぶりの登場。今はバーのマスターで入院患者。
ミステリ作品からのひらめきで問題解決。でも、スッキリ終わらないのが本シリーズ。
・血の凶作
人騒がせな依頼人が登場。結局、依頼は果たせたが、やはり後味が悪い。
・聖夜プラスワン
題名から推して、読み進めるうちに最後が見えてくる。

今までの作品に比べ、ハードボイルド感が薄れ、コメディ色が強いような気がする。富山が現れたせいだろうか。

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2018年07月14日

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葉村晶も四十肩になり、もう無理できなくなったんだなとしみじみする。元々無理はしたくないかもしれないけど。
相変わらず頭のキレは良くて、年齢を重ねても変わらず私の大好きな葉村晶だ。カッコいいところだけじゃなくて、生活を感じるところが特に好き。洋服を選ぶちょっとしたシーンとか、サンドイッチに凝って手作りしてみたりだとか、早く帰って寝るんだと考えているところとか、そういう地味な部分がとても好き。
口に出して読みたくなる文体だなと思う。
今回は葉村を労いたくなった。こき使われながらよくやり切っていて、お疲れ様〜と声をかけたくなる。

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2022年08月28日

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女探偵・葉村晶シリーズ第5弾。7月から12月までの事件を描いた6つの短編。今回は今までほど命懸けの活躍はなかったものの、古書店の店長・富田の相変わらずの人使いの荒さに、葉村に成り代わってイラッとする!
それでも、頼まれれば嫌とは言えない葉村は、今回も様々な事件に巻き込まれる。
そして、確実に歳を重ねた彼女が、四十肩に見舞われるのもご愛敬。さあ、いよいよ次は評判高い最新作。楽しみ~

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2019年03月16日

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葉村晶シリーズ。短編集。
相変わらずの無理難題にもめげずに取り組む晶、そしてしっかり結果を出す晶に感心。
今回は前作のような酷い怪我を負うことはなかったものの、四十肩に苦しんだり風邪に苦しんだりと大変そう。
角田港大先生が出てきてくれたのは嬉しい。
それにしても富山店長の相変わらずの意地悪さと能天気さに段々と苛々してくる。彼もまた大けがしてるのであまり文句も言えないが。でもそれも自業自得なんだけど。
それでもきちんと仕事をしている晶を見てると、社会で生きていくってこういうことなんだよなぁとも思えてくる。
こんな理不尽に振り回されていてもきちんと仕事をこなしていく晶に励まされている気がする。

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2018年02月12日

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