あらすじ
「コンペニー」「コルポレーション」「バンク」を創り、新たな国家システムを構築した“富国共栄”の設計者・渋沢栄一。「経済の平和は民心の平和に基を置かねばならぬ」ことを信じた男の発想力、行動力の源泉とは何だったのか? 現代社会にも通じる混乱と閉塞を駆遂し、改革を断行した不世出の経済人の生涯を描き切る歴史巨編。
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Posted by ブクログ
攘夷派の志士として命を賭ける覚悟をしながら、志半ばで将軍慶喜の家臣となり、派遣されたパリで西洋経済の力強さに圧倒された栄一がいよいよ日本経済の礎を築いていく。もちろん全てを紹介はしていないが、製紙会社や紡績会社、人造肥料会社などの立ち上げには凄まじい苦労があったと知り、興味深かった。逆境に立ったときに、それが「自然的逆境」ならば受け入れるしかなく、「人為的逆境」ならば自省して改める、というのは、数多くの修羅場をくぐり抜けたから言える言葉だと思う。また、公共事業や福祉事業にも力を入れ、晩年には米国の日本排斥の打破に尽力するなど、経済の父としての側面以外のこともわかり、アジアンヘイトなどが問題となる今だからこそ、より根強い問題なのだと感じられた。「まず道理が通るか考え、次に国家の利益になるか考え、最後に自己の利益のことを考える」。個人利益主義の現代において、心に留めておきたい言葉となった。