あらすじ
【概要】東日本大震災により社会変化が顕在化した。「私たちのこれから」をめぐり、各地で次の時代に向けた新たな試みがいくつもはじまっている。鈍さが目立つ政治に対しては、デモが全国でおこり、国会周辺で人々が声を上げる姿は日常となった。過疎化と人口減、経済閉塞、ポピュリズム、東京五輪、改憲、マンガ産業などを包括的な時代把握、冷徹な視線で読みとく。2011年から15年までの寄稿、講演などから抜粋した小熊英二時評集。『私たちはいまどこにいるのか』(2011年 毎日新聞社)に続く待望の第2弾。【抜粋】「たった一人でも、『この意見はわれわれを代表している』と思われれば、社会が動くこともあるのです。」「保守派で再軍備しようと言っていた人たちの論調を見ると、じつはほとんど侵略の可能性の危機感を持っていない」「誰もが身近で決定に直接参加できるためには、決定権と財源のある単位を数千人とか数万人レベルに小さくする方がいい」「中高年の政治家やマスコミの男性が、変化に追いついていない。恐らく東京は、ここ20年の世界の中で、最も変化してない都市だ」「今後、自民党政権がまた50年続くと思う人はいない」「家族もお金も、自由も出世も、戦争になったら全部崩れてしまった。平和が全ての前提だ。それが社会的合意だった時期があった」【目次】〈1章〉凡庸でナンセンスな領土問題東京五輪 いくつかの懸念外国語不要 国内依存の日米経済経済成長で強まる伝統若者のモラルに甘える企業上に優しく下に厳しい社会保障デモは「日本のあり方」全体への抗議デモは日本社会に定着総選挙最終日の秋葉原で「日本を、取り戻す。」それでも社会は変わる 直接参加の回路を選挙で社会は変わりますか?「社会が変わる」とはどういうことか「ポピュリズム」批判は意味がない「橋下徹」はグーグルである「よくない民主主義」?「現実的な」な戦後70年談話のあり方利益誘導は機能不全 沖縄の基地は削減可能 構造的変化をふまえた外交を「いちばん大切なもの」に共通した答え安全保障法制を腑分けする 国民的議論させなかったツケ変わる社会、変われない政治あなたの頭の中以外、社会は変わっています
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Posted by ブクログ
俺の立場は反中央である。
就活の結果、東京からはじき出されたという思いが今でも残り、地方生活が長くなった今となっては人口集中した東京の機能不全が目について仕方がない。
地方から人口を吸いあげた上に、都民ファーストと称する傲慢さは都民に自覚がないのだろうか。
ところでなのだが、保育園不足による待機児童の問題は、俺が持つ市民感覚からは完全に外れている。
知人の話では、児童数の減少により保育園の経営が成り立たなくなり廃業が増えていて、遠くの保育園までの送り迎えが大変だという。
こちらのほうが正しいと思う。
待機児童の問題と俺の市民感覚のギャップが何かと考えると、つまりは保育園不足は東京の話だ。首都圏事情を日本の問題と混同している。
逆に何故、東京事情の保育園不足の問題が全国区になったのか。その理由は本書で示されている。
保育園不足に悩む地域の母親小集団の連携と効果的な発信。さらには小集団にありがちな「我々は大多数だ」という勘違いを無くすために、Twitterで複数アカウントにより常に様々な集団からの情報を仕入れていたという。
筆者は社会問題は地域による解決が望ましいという。過去、世界において人々の繋がりの最小単位は家族、地域、宗教であった。近年において家族のつながりは薄くなり、日本ではもともと宗教は馴染まない。
地域社会の強化が必要という答えには首肯するが、現実は個に分断されている。事実、俺自身も地域社会では何のつながりも持っていない。
個と個と繋ぐ人と場が必要だろうと思う。その場は全国で局地的ながらも、その活動は広がっているようだ。
本書では身近な社会問題から、憲法九条や沖縄基地問題、反原発デモを分析する。