あらすじ
エン国太子の煬大牙は、自国を裏切った国“湘”を滅ぼし、目の見えない湘の第一公子を捕虜にする。その公子は名も無く、湘王である父に廃嫡とされ、存在すら認められず北の離宮に幽閉されていた。それでも潔く覚悟を決め、亡き湘と運命を共にしようとする儚げで美しい公子に、大牙はいつしか心惹かれ始めるのだったが――。切なくも甘い、魂を揺さぶる感動の歴史ロマン。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
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Posted by ブクログ
長いこと暖めてた積読本です。
暖めすぎて孵化して独り立ちしたくらいの期間が……。
3部作の1作目ということで、中華風世界観。
で、亡国の王子が自国を滅ぼした国に……って、あれ……??
何だかこの設定もの凄い既視感。
と思ったら、この作品の前に読んだお話が、そんな設定だった。
またこれ系か……と若干辟易しつつ読み始めたら、これが
なんとまぁ、当たりで嬉しかったです。
前に読んだのがもにょもにょな感じだっただけに、余計に
良作に感じるのかもしれませんが、世界観をよく作り込んで
おられて無理がない。
言葉遣いも上品でいて、匂い立つような情景が浮かびます。
盲目の受が敵国の太子の虜囚となりながらも、徐々に
お互いに惹かれてゆき……というありがち展開にも関わらず、
脇キャラが中々に素敵で物語のいいスパイスになってます。
個人的には攻の性格がちょっと幼すぎるようにも感じて
しまいましたが、受と真逆なためにこれはこれでいいのかな、と。
亡国の廃嫡子が、新たな地で自分の居場所をみつけ歩き出した
ところで元家臣が単独攫いに来る事件については、うぅん……
という感じがしないでもないのですが、この元家臣もまた
中々にいいキャラで、ある意味脇キャラに救われたお話。
そしてそしてこの作品が佐倉さんのデビュー作だそうですが、
前回読んで感じた文章の違和感がない。
凄く読みやすかったです。
イラストはこれまた今は筆を折られている??のか、
雪舟さんで美麗です。
作品の世界観と非常にマッチしていて、リンクスのデビュー作に
しては当たりで良かったんじゃないかと。
2作目が楽しみです。