あらすじ
長渕本人との対話を含む、衝撃の450枚。
この国の「男性」や「日本人」が抱えた矛盾を、根本から問い続けてきた男の真実とは――。
長渕剛とはいったい何者か。
長渕の歩みを見つめる時、そこに浮かび上がってくるのは、「男らしさ」や「日本人であること」をめぐる様々な矛盾と葛藤であり、かつ、それらの問題を背負い、つまずきながらも、成熟を重ねてきた姿である。
長渕剛という一人の人間と、その歌について考え抜くことで、私たちの生きる〈時代〉もを炙り出す、渾身の書き下ろし評論。
<目次>
●第一章 長渕剛という人間
●第二章 日本人にとって男らしさとは何か
●第三章 家族の一人として●第四章 弱さとやさしさ
●第五章 非暴力的な男らしさ、寛容な愛国心はありうるのか
●第六章 明日を始めるために
●第七章 長渕剛との対話
●終 章 母なる歌を歌い殺すということ
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Posted by ブクログ
アルバム「昭和」まで聴いていた。その後の長渕はどこか暴力的になり、マッチョになり、「右」にみえたりしてどんどん遠ざかって行った。最近、その「昭和」までの長渕を二十数年ぶりにまた聴くようになった。そうした機会にこの本を手にとった。長渕本人について何も知らなかったから。著者も同じような時期に長渕を聴いていたが、同じ違和感を感じていた。どういう経緯をたどって長渕が変わったのかが書かれてあり、長渕への違和感や疑問も率直につづられていた。長渕本人にもインタビューしていた。終章は難解だったが、長渕本人の理解を深めることができた。長渕の新曲を平成に入ってほとんど聴かなかったが、東日本大震災について歌った「いのち」という曲を聴いた。とても感動した。
Posted by ブクログ
長渕剛のデビューの頃は小学生で、それから20代初めのころまでよく聴いたアーティストの一人でした。それが、彼が役者をやり始めたころから、音楽も美しさよりもささくれだったものが目立ち始め、やがて暴力や薬物の事件もあって、彼の音楽からは離れていきました。今は、たまに昔の歌を思い出したように聴くことがある程度で、ほとんど聴いていません。
著者は、これと同じような長渕体験をしてきたと本書で語ります。しかし、著者は長渕に対して感じる違和感を突き詰めようとします。劣等感、見栄、正義感、寂しさなど。
本書は著者が長渕に対して抱いていた違和感が、2015年の富士山でのライブで解消するところでクライマックスを迎えます。また、長渕へのインタビューは、長渕の人となりが垣間見えて興味深い。
評論としてはまとまりに欠けるところがあると思いますが、長渕剛という人に関心がある人には、面白い一冊かと。