【感想・ネタバレ】ルバイヤートの謎 ペルシア詩が誘う考古の世界のレビュー

あらすじ

『ルバイヤート』とは、11世紀のペルシアに生まれた天才オマル・ハイヤームが作った四行詩の総称であり、その詩集の名称である。ペルシア文化の精髄の一つと言われるこの詩集は19世紀、英国詩人フィッツジェラルド訳で注目を集め、今や世界中で翻訳されている。著者は、深い諦観と享楽主義が同居するこの詩の世界に触れることで、西域探検史、特に探検家ヘディン研究の第一人者として、中央アジア史と東南アジア史の調査研究を続ける道を拓いた。謎に満ち、今も人々を魅了する『ルバイヤート』。長年の研究調査で知り得たエピソードをまじえ解説し、その魅力と謎に迫る、誘いの一冊。【目次】はじめに/第一章 『ルバイヤート』とは何か/第二章 万能の厭世家、オマル・ハイヤーム/第三章 『ルバイヤート』と私の奇妙な旅/第四章 『ルバイヤート』をめぐるエピソード/おわりに

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Posted by ブクログ

オマル・ハイヤームの『ルバイヤート』は名前だけなら高校世界史で習うが、やはり世界史では作品の内部まで触れられることは少ない。私もタイトルでこの本を手に取り、実際読んでみるまでは『ルバイヤート』の中身は全く知らなかった。
宮廷詩人でもあったハイヤームが厭世主義者で、イスラーム法では禁じられている酒を賛美する詩をたくさん読み、当時の人々から白眼視されていたという事実には驚愕を隠せなかったし、同時に少し「人間らしさ」というか、万能の天才として所謂畏怖に近い感情を抱いていたハイヤームを少し身近に感じられるようになった。
筆者の『ルバイヤート』愛は絶大なもので、各国各時代のルバイヤート文献について事細かに記載してある。大発見と謳われた文献が偽物だと暴かれるまでの経緯は、読んでいてワクワクした。
すんなり頭に入ってくる口語体で記述がなされているため、少しでも世界史や文学に興味がある方はぜひ手に取ってほしい1冊であった。

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2021年06月24日

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