あらすじ
鶴見弁護士の中学の恩師夏川が、札幌から上京した。城巡りが趣味の夏川は、雲海に浮かぶ城として有名な竹田城へ行く予定だという。数日後、神戸から竹田城へ向かった夏川が、忽然と消えたと連絡が入る。事故か事件か、恩師の安否を心配し鶴見は竹田城へ。やがて、教育熱心で生徒に慕われた男が抱えた暗い秘密を突き止めるが……。驚愕の真実を前に若き弁護士が下した決断とは?
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Posted by ブクログ
うーん微妙。つまらなくはないのでスルスルと読んだが。
謎に一歩一歩迫ってゆく緊張感がない。理由としては、写真だとか証言のような手がかりが都合よく手に入ってしまうというご都合主義がある。一本道のRPGを遊んでいるような、重層感のなさ。一応若手弁護士とおっさんの二人の視点から調査を行うという体になっているのでそこで厚みが出ればよいものだが、若手弁護士もおっさんも人間としての個性が出るところまで書き込まれていないので、なんというか似たような薄っぺらな人物がそれぞれ別の調査をしているという印象。弁護士ならではの論理的な推理や法的な手続きだとかおっさんならではの老獪な人間観察や経験に基づく推察のような話がほとんど出て来ない。唯一キャバ嬢のくだりは弁護士らしさが発揮されて好きだった。
オチも微妙。シーンとしては劇的でいい絵だなーと思うが。
意欲作に違いないけれど
人の心が綾を織りなし、複数の人物の心理描写が絡み合って読む者の想像力をかき立てる。その部分ではかなり成功したといえる作品だが、全体にミステリーとしての魅力は中途半端な印象をぬぐえない。