【感想・ネタバレ】meet,again.のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「林檎」のスピンオフ作品。「林檎」での栫くんがどうしても許せなくて、栫くんの印象がわかるかも、少しは好きになれるかも、と思い読みました。

うーん。正直やっぱり好きになれない。悲しい過去と浮き沈みのない感情。それでも、少しずつ少しずつ変化をみれたな、心が動いているのかな、と最後の方は思えて、嵐に報いてほしいと願いました。

逆に嵐のことはとても好きになりました。とても普通で素直で優しくいい子。そして、栫を好きになってしまうということに悩みはすれど逃げない姿勢も強いな、と感じました。普通むりでしょ。
きちんと恋をしているし、悩みながらちゃんと生きてる。
栫には嵐のような、ちゃんとした普通の男の子が必要だったのかな。

志緒ちゃんと、美夏ちゃん(「林檎」より出番が多いと思う)が出てきて、嬉しかったです。そして、志緒ちゃんも、あんなことがあったにせよ、一応、栫と交流を持っていることに、懐の深さを感じました。

最後の居眠り栫の件は、ちょっとよくわからなかったですが、嵐が穏やかに幸せになって欲しいです。

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2022年03月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

林檎〜のスピンオフ、人の感情を玩具のように弄ぶ脅威の男・栫と何故かそんな彼にどうしようもなく引き寄せられてしまった生協バイトの青年嵐のお話。
BLのレーベルから出てはいますが、物語の本質は数奇な運命に翻弄される人たちのサスペンスドラマなのかな。
止まった時間に囚われて壊れてしまったそ栫とその家族、母親である翠子の描写はぞっとするほど。

5年間付かず離れずの距離で友人として付き合い続けてタイミングを見計らったように秘密を暴いて感情を砕こうとする栫は怖すぎる……。
内側から破綻した栫にとって、それでも自分から離れようとしない嵐は彼が初めて手にした希望であり、生きる意味に繋がる程の唯一無二の存在なのだろう。
嵐が栫に絡め取られてしまったように、栫もまたずっと、嵐に見えない引力に似た強い力で引き寄せられていたのであろう事が端々から感じられます。

シンメトリー、砂時計、二人で行った深夜映画、ガラス……それぞれのモチーフが印象的で読んだ後も鮮烈に残り続けます。
砂のようにさらさらと流れ落ちていく文章と物語の運び、人間心理がどんどん暴かれていく描写や独特の台詞回しから見えるキャラクターそれぞれの生々しい人間性にはなんだか凄い物を読んだな…と唖然とさせられました。
(hello,againでの二人の変化は『互いに離れられない』と想いを強く深めたからこそなのかな、と。)
一穂さんの頭の中はどうなってるんだろう、と圧倒されつつ息もつくのを忘れて読み進めました。

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2015年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イラストの繊細さからは想像できない、重たい話だった。唯一の救いは、あとがきの短編かな。

抑えても、止められない恋。想いを打ち明ける前から終わりと知っていて告白するつもりなんかないのに、想わずにいられない。嵐の言動も行動も、切なかった。

また、母の死とそれに対する一つの大きな後悔も切なかった。

恋愛以外のところでもストーリーが成り立っているのも、一穂先生の魅力だと思う。

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2012年04月28日

ネタバレ 購入済み

評価が難しい

一穂先生の目から世界を見てみたい(笑)
着眼点がいつもながらユニークだと感心する一方、面白かったとも何とも言いづらい作品でした。「林檎〜」が好きなので志緒ちゃんが出張ってて嬉しいけど、やはり栫という人物が私には捉えきれず難しい。でも、栫に惹かれる嵐の気持ちは理解出来ないでもない。

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2019年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『雪よ林檎の香のごとく』のスピンオフ。あのヤンデレの栫先輩のお話。(デレはどこだよ!)いざレビューを書こうと思った時、このお話は一体何にカテゴライズされるのか一瞬考え込んでしまった。結論として、サイコサスペンスかなと少し思った。恋愛はあくまでも付加的なもの・・・っていうか、これを恋愛小説と呼んでいいのか、わたしには正直わからなかった。『雪よ林檎の~』でも、栫先輩は十分に壊れている人だと思っていたけど、そんなもんではなかった。その壊れっぷりは半端ない。ただ、本作を読むと、栫の人格がどうして壊れてしまったのかの理由がわかる。プロセスは詳しく明かされていないけれど。
それは、五歳の時に突然行方不明になってしまった結合双生児の兄弟の禄朗の存在。
ふたりは完全なシンメトリーだった。ふたりでひとりだった。だから栫に残されているのは、失われた半分の強烈な不在。片割れがいなくなってしまったのに、どうして自分だけが残っているんだろうという自分の存在意義への単純な疑問。そして彼の両親は、『失くしたものを気に病むあまり、その手に残されたものを健やかに育むことができなかった』
それは想像を絶するような人生だったのだろうな。希望を持ち続けることの絶望を目の当たりにしてきた人生というのは。
栫は周りにいる人たちを恐ろしいまでの冷静さで観察し、誰にも見られたくない秘密を暴いてしまう。でもそれは、彼にとってはゲーム、ほんの暇つぶしに過ぎない。それぐらい歪んでいる。きっと彼には感情のフィルターはないから、物事がありのままの正確さでみえてしまうのかもしれない。そんな栫だけれど、嵐は特別な子なのだろう。賢くて強い。栫の人格が破たんしていて、決して自分を愛したりはしないだろうとわかっているのだけど、やっぱり好きだからそばにいるのをやめない。それを選んだのは自分だと言い切れる潔さがある。嵐は栫の予想の斜め上を行く。だから、貴重で大切でおもしろい。栫にも嵐をグシャリと壊すことができない。だから、きっと手放せない。
エンディング、行方不明の禄朗が白骨遺体となって発見される。それがわかった途端、栫はこんこんと眠り続ける。生きることをあっさり放棄するみたいに。まるで禄朗のいない世界では生きたくないというみたいに。
でも、嵐の声で目を覚ます。
『あなたが、確実に存在する世界なら、まあ、起きてもいいか』と思えるぐらいに、嵐は特別な存在なんだろう。
この物語には、目に見える形のハッピーエンドは何処にもない。でも、ふたりはふたりにしかわからない形で、きっと幸せなのだと思いたい。
読後、ホッとしてうっすら笑いたいような、泣きたいような、そんな気分になる。

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2012年06月12日

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