感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
朱川湊人の一番得意なボールをど真ん中に真っ向勝負で投げてきたような短編集。舞台は昭和中期から後期のマンモス団地。団地があこがれだった時代から古くさくなる半世紀弱。
それぞれの物語が少しずつリンクして、短編集を読み終わったら全体の俯瞰構造がうっすら見え出すという構成を仕組み。
ひとつひとつの短編に題名のとおり「名残」を惜しむ登場人物たちと、その時々の歌が織り込まれて、うっすらとしたホラー(いやノスタルジー範疇の幻想)をちりばめて…。
特に我々みたいな世代にとってはドンピシャ。そういや、スーパーカーブームとデレクアンドドミノスってほぼ同じ年代の流行やったんやねぇ。とか、新しい発見もあったりで…。
これは朱川湊人の代表作なんじゃないかな?
「何事もゆっくり、ゆっくりでいいんですよ」まさしく至言!
Posted by ブクログ
「かたみ歌」の続きで読む。今度は団地が舞台。なぜ昭和40年代の頃を扱うのかわからないが、ある種のノスタルジーを感じる読者がいるに違いない。連作なのに、互いに話がつながりあっているのが、もうひとつの謎解き。認知構造を変える手法としては学ぶべき点が大。
Posted by ブクログ
虹ヶ本団地を舞台にした連作。粒ぞろい。①、②は意外な結末が楽しいが、⑦がやるせなく後味がよくない。オススメは⑤。
①遠くの友だち
表紙はこれか。撫でるのもいいが、一緒に遊んでくれた方が楽しいに決まってる。
②秋に来た男
妻・智津子の秘密が、紛らわしいというか可愛いというか。いや、可愛くはないか。
③バタークリームと三億円
推理ドラマのように〈続く〉で終わる。読者を「騙す」幾つかの仕掛けが心地いい。
④レイラの研究
一瞬の表情に惹かれ好きになった事が自分にも。でもあっけなく終わるなぁ、普通。
⑤ゆうらり飛行機
朱川短編の真骨頂。じわじわくる読後感がたまらない。ただの一ファンの感想です。
⑥今は寂しい道
ラストシーンは日本昔話のよう。307頁5行目「何十年も夫婦を・・・」深いなぁ。
⑦そら色のマリア
③の種明かし。でもスッキリしないな。憎むべき犯人の運命が過酷過ぎたからか。