【感想・ネタバレ】カール・マルクス ──「資本主義」と闘った社会思想家のレビュー

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資本論を勘違いしていた
『資本主義は良いよ』と言っているものかと思っていた
資本主義の正体をさらし、
労働者が自由を獲得するためにどう行動すべきかということを問うているのだ。

さて、どう生きていけばいいかしら。
結局行き着くところは、ヒッピー生活??

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2021年03月19日

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マルクス→法、文学、哲学ときて経済へ。

資本論は労働者の搾取をただ語る本ではなく、資本主義経済がなんたるものか、その解釈を与える本。
共産主義のユートピアを目指すか、資本の蓄積こそ攻略法と見出すかはその応用に過ぎない。

物の価値→使用価値と抽象的人間的労働価値

労働とは、貨幣とは、労働とは、労働力とは、勤め人とは、資本とは、資本家とは。

ああこれは資本持たないといけませんはと背中を押してくれる。

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2020年10月08日

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ネタバレ

カール・マルクスの生涯を辿りながら、彼の思想を変遷を描いている。マルクスの思想はマルクス主義とは異なる。マルクスはより大きな展望を持ちつつ社会の問題に具体的な解決を求めて取り組み、社会変革のために生涯探究を続けていた。資本主義が進み、グローバリゼーションが広がる現代においてこそ、マルクスの問題提起が生きることを示し、新しいマルクス像を提示しようとしている。
入門書としてもとてもわかりやすい。特に「資本論」については紙幅を割いて説明しているが、現代の日本の問題、ブラック企業や社会的基礎サービス領域の市場化なども例として挙げ、「資本論」が今日の問題とつながっていることを示している。さらに最終章は「資本論」(第1巻)執筆後のマルクスが「物質代謝」論を軸にエコロジー、気候変動、共同体、ジェンダーへと研究を広げて行った姿を書簡や「抜粋ノート」を追跡して明らかにしていく。これほどまでに多くの問題に関心を持っていたことに驚かさせる。気候変動など当時はあまり問題化していない分野まで興味を持っていたことや、農耕共同体に高い評価を与え、決して単線発展的は近代化主義論者ではなかったことに新しい発見があった。

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2018年12月30日

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マルクスについての力のこもった論考。昨今、」マルクスとジェンダー」とか「マルクスとエコロジー」といったタイトルを目にすることがあったが、本書を読んでそれがよく分かった。

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2018年07月23日

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良い意味で新書らしい新書。マルクスの生涯および思想の変遷を追いながら、本丸たる『資本論』について多くの紙数を費やして解説している。その解説も実に懇切丁寧なもので、具体例をいろいろ引きながらうまく噛み砕いている(それでもやっぱり難しいのだが)。とくに著者の注目する物質代謝論から共同体研究に至る晩期マルクスの探求は、この思想家の先進性、スケールの大きさを示すものであり、大変興味深かった。

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2018年06月09日

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マルクスと聞くとイデオロギー色が強かったのかと思っていたが、精緻な歴史・社会分析に基づいたリアリストであった。イメージが一変した。

資本主義の本質である物象化に抵抗する思想家。人間疎外を克服する実践への志向。

なかでも労働力のみ利潤を生むとの指摘、その奥底には労働力の再生産の維持(最低限の生活費)を見抜いた慧眼はすごい。奴隷から賃労働へと至る道は、フーコーにも通じる生権力がそこにあった。

抵抗の拠点は、マイノリティとの連帯、前近代的共同体、地球上の生命活動の全体。

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2016年06月07日

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マルクス初学者であり色んなことを無知すぎる自分でも楽しめた
かなり難解な資本論の、マルクスの興味関心の、全貌とは言わないけど輪郭がぼんやり捉えられたような気になれる
この入門書ですらいろんな言葉が出てきて、定義をその都度思い出しながら読まなければ理解が難しい
コテンラジオで紹介されていたので読んだけどもっと深く知りたくなった、面白い

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2024年04月03日

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カール・マルクスの生涯とその思想の変遷、資本論についてかなり分かりやすく説明されている。とは言っても資本論についてはその独特な言葉の使い方もあってやはり一回読んだぐらいで腑に落ちるとこまでは行かないけど。それでも、どのような時代背景があり、マルクスが何をしたかったのかは何となく理解できる。マルクスが資本主義のシステムについて、何が本質的なのかを徹底的に理論的に科学しようとしたのが資本論ということが。資本主義の行き詰まりがさすがに誰の目にも明らかになりつつ今、その問題点を考える土台としてマルクスの考察は理論モデルとして知っておくことは必要だと思う。
アマプラで観られる「マルクスとエンゲルス」という映画やCOTEN RADIOのマルクスの解説回などもあわせて視聴するのがおすすめ。

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2023年04月17日

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近年のマルクス研究を踏まえたマルクスの思想を初期から晩期までを俯瞰する好著。

構成は、1章が初期マルクス、2章が資本論、3章が晩期マルクスというもの。

2章の資本論のところはちょっと難しい感じはあるけど、白井聡さんの解説などを読んでいたので、なんとなく理解できた。

1章は、どうしてマルクスが哲学に興味をもち、それが経済学への興味に展開し、社会変革活動に力をいれていくことになったかという流れがとてもスリリングに描かれている。知らないことも多いが、もしかすると多くの人が理解しているマルクスはこのあたりの議論なのではないかと思った。

2章は、資本論のコアな概念の解説だが、ここで分析されている資本主義は、いわゆる共産主義という言葉で私たちが理解しているものとは結構違う。ここで分析されている資本主義はかなり手強いシステムで、簡単に革命で倒せるようなものではないことが伝わってくる。

3章は、そういう手強い資本主義と戦うためのマルクスの知的探求がまとめられている。この辺りは著作としてまとまっているものはあまりなく、手稿や読書ノートの分析からすこしづつ浮かび上がっているもの。それによると晩期のマルクスは、エコロジー、コミュニティ、ジェンダーといったことを広範に研究していたらしい。マルクス自身は、これらの思想を著書としてまとめることができないまま、亡くなったわけだが、マルクスは資本主義への対抗としてこうした視点をもっていたということ。これは従来のマルクス理解を大きく変えるものだと思う。

この視点は、斎藤幸平さんの議論につながっていくわけですね。斎藤さんの本を読んだ時の印象としては、面白いけど、やや強引な解釈ではないかと思ったのだが、この佐々木さんの本を読んで、やっとその意味がわかった気がした。

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2023年04月15日

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「あの本は読まれているか」という海外ミステリを読んでみたいな、とふと思い。

●あの本、とは「ドクトル・ジバゴ」のこと。

→「ドクトル・ジバゴ」を読んでから読もう。

→あれはロシア革命前後の叙事詩のはず。ロシア革命をあらあら知ってから読もう。

→ロシア革命にいたる道…マルクスをもう一回、ちょっと読んでからにしよう。


…という興味のドミノ倒しでまずはマルクス。

共産主義という考え方だけではなく、エコや環境問題まで見据えていたことに「へー」。

それから19世紀のマルクスさんが、やっぱり当時の「資本主義先進国」であるイギリスの観察から学んだこと。そして19世紀のヨーロッパの、「フランス革命を見てしまったひとびと」の王政から共和制、という蠢動が感じられたのがいちばんの収穫でしょうか。

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2022年07月19日

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「「資本主義」と闘った社会思想家」という副題をもつ本書は青年期マルクスから晩年のマルクスまで、その格闘の足跡を最新のマルクス研究の成果を取り入れながら、簡潔に解説している。とくに晩年のマルクスの「抜粋ノート」にもとづく研究は今後益々進められていくとのこと。確かに我々世代がその昔に大学で学んだマルクスの印象とはだいぶ異なった像が本書では示されている。

第1章は、まずマルクスが「新しい唯物論」に辿り着くまでの思想的格闘を叙述する。フォイエルバッハやヘーゲルの哲学を批判し、新しい唯物論を確立したマルクスは、唯物史観と呼ばれる変革のヴィジョンを示す。それが『共産党宣言』であった。

第2章は資本主義的生産様式の根本を明らかにし、批判し、さらなる変革構想を示すこととなる『資本論』を商品、貨幣、資本と賃労働、資本蓄積と所有、恐慌論、そして最後に資本主義の歴史的起源とその運命、について解説される。ここまで来て読者は、「共産党宣言」の唯物史観がさらに深められ、資本主義の「秘密」の核心に辿り着く。

そして、第3章はさらに飽くなき変革構想確立に挑戦していく晩年のマルクスが、「物質代謝」という自然科学の具体的成果から導き出していくさまとともに描かれる。そうした根本的批判と変革の追究の結果、唯物史観では評価が低かった共同体の再評価につながっていく(ヴェラザスーリッチへの手紙)というのは面白い。

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2020年07月23日

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マルクスの人物史、時代背景、理論をコンパクトに解説した本
マルクス経済学は非主流派であり、現代経済学とも遠い内容なので注意が必要

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2023年10月07日

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マルクスの人生を概観しつつ、彼の思索の過程をたどることができる良書。
資本論に関する説明は初心者向けにわかりやすく書かれているという印象を受けたが、初学者である私にはとっつきにくかった。それでも、資本論の議論がいかに本質的なものであるかは門外漢の自分にも十二分に理解できた。
本書によると、晩期には共産主義革命という手段の難しさを感じるようになり、伝統的な共同体の強靭さに注目するようになったという。ミシェル・ウェルベックの服従にも通じるテーマであり、今後の世界の行方を占う上でも重要な問いかけなのではないだろうか。

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2018年03月19日

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ソ連みたいな社会主義国家の元ネタかと思っていたが、マルクス本来の思想はそうではなかったことが分かった。
資本主義社会変革のために労働時間の削減を挙げていることを見て時代がマルクスに追いついたのだなと思った。
今こそマルクスを学ぶべきというのも頷ける。

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2016年09月09日

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カールマルクス

本書は社会思想に授業の理解のために買ったが、面白いのは後半のマルクス晩年の思想であった。物質代謝という概念をとりいれ、社会システムにおいても利益至上主義を戒め、資本主義がその特性によって自死する可能性を指摘している。マルクスは後期において化学などに造詣が深く、自然科学的なアプローチから資本主義批判をするようになった。人と人の関係がものとものの関係にとってかわられるという物象化や、モノのために人が働くという物神崇拝などという倒錯した関係を、人間本位のアソシエーションに戻そうと考えるマルクスの発想は、トクヴィルの中間共同体への評価と同様に、現代に対して強いアクチュアリティを持つ。マルクスを読むことはすなわち資本主義の言語を学ぶことである。筆者の表現であるが、私たちが日本語の文法を知らずとも日本語を話せるように、資本主義の文法を知らずとも資本主義の世界で生きていくことが出来る。しかし、資本主義の発生や、文法を知らない限り、資本主義から脱することはできない。そして、資本主義とはまさしく脱しなければいけない時限爆弾であるゆえに、その自死が近づいているからこそマルクスを知ることは必要であると強く感じた。マルクス主義は多くの失敗を犯したが、マルクス本人の思想はマルクス主義の思想とは異なる。晩年の彼は急速な暴力革命を、穏健なアソシエーションの生成による資本主義への抵抗に置き換えた。晩年のマルクスこそ今評価されるべき思想であろう。

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2016年08月19日

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物質代謝から発展させて、晩年は前近代的共同体に肯定的な評価を下し、民俗学的なアプローチで研究していたということが興味深かった。文章はわかりにくい箇所もあるが、全体的には初学者にわかりやすくまとまっていた。

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2024年02月08日

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