【感想・ネタバレ】フォーカス・オン・フォームとCLILの英語授業 -生徒の主体性を伸ばす授業の提案-のレビュー

あらすじ

グローバル化が進む今、英語教育のあり方は、従来の文法訳読式から、生徒が自発的に英語を話すような、コミュニカティブなスタイルへと転換してきています。実際、中学校や高校でも生徒同士、生徒と教師が相互にやり取りするような授業が見られるようになってきています。
本書は、この文法訳読からコミュニカティブな授業へと転換を図るのに有効な「フォーカス・オン・フォーム」という指導法について、その理解を助ける解説とともに、指導の具体例を豊富に盛り込んだ英語教員のための指南書となっています。
また本書ではフォーカス・オン・フォームを語る上で欠かせない教育アプローチ、として、「CLIL(Content and Language Integrated Learning):内容言語統合型学習」についても取り上げています。「CLIL」は言語教育と他教科での内容教育を統合した形でおこなう教育方法のこと。英語の4技能を伸ばすアプローチとして、グローバル化する世界での言語教育に答えるものとして、日本国内でも早急に普及が期待されています。
フォーカス・オン・フォームとCLILを取り入れた授業がどのように生徒を変容させるか、そして生徒の変容に応じて、教師はどう変容していくべきか、本書はその答えを見いだせる内容となっています。

【著者プロフィール】
和泉伸一:
上智大学外国語学部英語学科、言語学大学院、教授。専門は、第二言語習得研究と英語教育。東京国際大学国際学科卒業後、日本で英語を教えた後、南イリノイ大学カーボンデール校へ留学、M.A.in Applied Linguistics取得。ジョージタウン大学にて、Ph.D. in Applied Linguistics取得。主な著書に『「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育』(大修館書店)、『第二言語習得:SLA研究と外国語教育』(共著、大修館書店)、『CLIL(内容言語統合型学習):上智大学外国語教育の新たなる挑戦――第1巻 原理と方法/第2巻 実践と応用/第3巻 授業と教材』(共著、上智大学出版)、『コミュニカティブな英語教育を考える:日本の教育現場に役立つ理論と実践』(共著、アルク)等がある。

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Posted by ブクログ

非常に興味深い内容。コミュニケーションを3つの領域(Form、Meaning、Function)でとらえると、従来の学校教育はFormが強すぎる(わかりづらいがForcus On Forms、とsがつく)のが特徴。一方、CLT(コミュニカティブな学習法)では、Formがおろそかになりがちで、粗削りな語学力にとどまってしまう。
たとえていえば、前者が畳の上の水練で、後者が海やプールにドボンと放り込むもののフォームはほったらかしで泳ぎの成長が止まってしまう(フォームが合理的でないので早くならない)という感じだろうか。
コミュニカティブな学習をベースにしながら、Formにも着目する(Forcus On Form)ことで、3つをしっかり伸ばす、という考え。
これを実現すのにCLILが相性がよい、という話なのだが、このところの解釈が難しい。CLILがよい学習法だということは理解するが、FOFとのつながりがもう1つわからない。CLILの概念が意外と大きい(幅が広い)ので、CLIL全体というよりは、CLILの特定の部分を指すのかなとも考えたが。このあたりはもう少し私の学習が必要。

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2017年02月05日

Posted by ブクログ

インタラクションなリーディング活動がこの本で推奨されているが、あげられている例のボトムアップ活動がトップダウンとさほど変わらないものになってるので初見の文でも対応できる力が授業の中で育つのか疑わしい。

それでもアイデアはとても斬新かつ説得力があるので今後の授業作り、英語教育観の形成に役立てていきたいと思う。

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2021年02月21日

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