あらすじ
王道政治・民意尊重を理念として掲げ、国と人のあるべき姿を追究した『孟子』――混沌とした時代を志高く生き抜くために、我々は今こそ「孟子の精神」にその指針を求める必要があるのではないか。本書は、東洋学の泰斗として多くの敬仰者を持つ著者が、「性善説」に基づく仁義礼智の思想をわかりやすく解説した講話録である。人間の一番大事な要素は、明るさ、勇気、愛する心であることを説いた「人間としての徳性」、思いやりの精神で周囲に接していけば(恕)、自身も進歩向上していく(仁)ことを説いた「恕を強めて仁を行う」、大いなる理想に向かうこと(敬)も大切だが、もっと大切なのは恥じる心を養うこと(恥)であると説いた「敬と恥」、本当に優れた人物は、指導者がいなくても自ら興ることを説いた「猶興の士」……など、良心・良識を重んじ、敢然と生きることの大切さを披瀝している。己を磨き、心を高める智恵を学べる「先哲講座」。
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Posted by ブクログ
本書は、孟子が性善説であるとか、孟子の構成はこうだとかはいわない
言っているのは、2つ、必要であるのは、「敬」と「恥」であると
また、あとがきにある言葉もいい
孟子で学ぶべきところといえば、あの信念に向かって何も恐れないという気力、迫力でしょう。
人間として一番大切なものは、気迫である。気迫がなければ人間もその国も危ういと言われましたが孟子にはそれがある。
冒頭にある、父と子の内容を見るに本書を手にとった価値があると思います。
父子の間は善を責めず
父というものは、子に対して、あまり道義的要求をやかましくするものではない
りっぱな人はなぜ自分の子どもに教えず、他人のもとに師事させるのか。
父が子に教えるからには、必ず父自身これが正しいことだと信じることに子に納得させ実行させようとする。それだけに、それが行われないとすると腹がたつ。子に対して腹を立てればかえってぶち壊しである。
子どもはこどもでなんだ親父、俺に道徳を責めるのか、自分はご立派というわけでもないじゃないかと。こうなると父子両方ともぶち壊し。これはいけない。
父は子どもの幼い頃からやかましく教えなければならないのかとなれば、それは間違いである。
父はあくまでも幼児の直接的な理想像であるのだから、子どものもつ本性である「敬」の目覚めを乱さないようにあることが肝心なところである。
人間というものは、4つの要素から成り立っている。徳性、知性・知能、技術、そして、習慣である。
愛だけでは人格として育たないのであります。愛と愛から出ずる配慮・世話だけでは人格は育たぬ。動物としては育つ。
人間が他の動物として違って、人格として、万物の霊長として育つためには、「愛」を要求するとともに、「敬」を欲す。
必ず自らかえりみる、己をかえりみる、己を修める これは孟子の真骨頂である
文化は決して全面的に意識されるものでもなければ、計画されるものでもない。われわれのすべての計画の無意識的背景が、また文化である
人間としての本質的なもの、基礎的なものができておれば、必要に応じて知識や技術は比較的容易に取得できるものであります。しかし、その逆はまったく容易ではありません。
今日の日本に何が欠けているかというと、資源でもない、経済力でも金融でもない、詰まるところ「人」である。人はどこにでも沢山いるわけですが、まさに、「多くある人の中にも人ぞ無き」であります。
今起こっているさまざまな問題は、これはすべて、人間が経験してきたことなんだ。過去の歴史の中にすべてあることで、にもかかわらず、歴史は、なんとか、発展してきおるので、今日の悩みも歴史が解決するというのです。
結局人を求めているということは、心を求めていることです。
すこし、肝心なところがくるって、もうすっかりものの芯というものを失ってしまっている。
急がば回れで、大変な回り道、あるいは、時間のかかる道でありますが、とにかく正しい思想、学問、歴史的・伝統的根拠のある正しい、優れた思想や学問、信仰というものを、できるだけ民間に復興すること、提唱することであります。
その道を尽くして死するものは、正命なり
羞恥心は、人間にとって重大な徳目である。場当たり主義でごまかしと小細工を弄する人間は羞恥心がないものである。自分の徳行や能力が人に及ばないのを恥ずかしく思わないような人間が、どうして人並みになれようか。
武士道とか任侠道とか、やっぱり根底はすべてここにあります。恥を知る。恥に耐えない。辱めを受けるということは、これはもう死より辛い。そういう恥をすることがいちばん根本の、いちばん情熱のある、いちばん生きた徳目になっておりました。
ちなみに、孟子七篇の目次は、以下のようになっています。ご参考まで
梁恵王章句
公孫丑章句
滕文公章句
離婁章句
萬章章句
告子章句
尽心章句
目次
第1章 父と子、そして教育
第2章 終末論と「孟子」の背景
第3章 「孟子」尽心章句を読む
あとがき
ISBN:9784569663678
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:232ページ
定価:590円(本体)
発売日:2005年04月18日第1版第1刷
Posted by ブクログ
本書の目的は、題名どおりオブジェクト指向設計方法の解説することである。オブジェクト指向設計と一口に言っても、1)アーキテクチャを決定する2)オブジェクトを見つけ出す3)オブジェクトの責務を定義をする4)オブジェクト間の関係を見積もる5)オブジェクト指向言語でコードを書く(設計にはコーディングを含めないこともある)6)1~5(もしくは1~4)を何度も繰り返し設計のレベルを上げるというようなことを実践しなければならない。つまり、オブジェクト指向設計を語るとは、上記ステップの詳細を語ることである。 本書の偉いところは、これをまともに行っていることである。だから、厚いし、退屈極まりない。しかも、ソフトの本なのにほとんどコードが出てこない。要は、本書を読むことに喜びはない。苦痛のみがある。読むのを止めようかと思ったが、そのときユークリッドの言葉である「幾何学に王道なし」を思い出した。オブジェクト指向に王道なし。ということで読み終えた。そして、5年前に読むべき本であったということを確信した。本書を読むタイミングは、オブジェクト指向設計に取り組みだして半年程度経過したときが良いと思う。それより前だと理解できないして、2年も経つとこの本から得られるものはない。そのような人に、お勧めする。