あらすじ
四月のある日、福岡市内の高校に通う私は、親友・朝名の年上の彼氏を紹介される。そのとき同席していた大学院生の飛木さんは、私の周りで起こる事件をさらりと解き明かしてみせる不思議な人だった。天神に向かう電車で出会った奇妙な婦人、文化祭で起きたシンデレラのドレス消失事件……。福岡の街で私はたくさんの答えを探している。解くことが叶わなかった問題も、真相に辿り着けなかった謎も、すべて覚えておこう。今日は見えずとも、形を変えて色を変えて、いつの日か扉を開ける鍵が手に入ると信じて。福岡・天神を舞台に贈る、透明感溢れる青春ミステリ。
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Posted by ブクログ
これは当たりだった。まず文章がきれい。ふとした比喩なんかの表現がうまくて、読んでいて気持ちいい。あと意識的にだと思うけど色の話題があちこちにちりばめられていて、すごく彩りを感じる作品になっています。シリーズ化して欲しいな。
Posted by ブクログ
読み終わった貴方の心は何色?
透明感溢れるというキャッチフレーズにあるように、爽やかな高校生の日常を描きます。それも恋愛要素はあまりなく、学業やボランティア活動における謎解きなど、とても真面目な青春ミステリ。各話に散らばっている色に纏わるエピソードも本書の特色です。頭の中の情景一つ一つに鮮やかな色付けがされていき、例えようのない豊かさを生んでいます。
推理して的中できるようなタイプの謎解きではありませんし、最後のオチも微妙ですが、それでも楽しめました。
第23回鮎川哲也賞最終候補作。
Posted by ブクログ
最後の最後にだまされたので、星4で。
それぞれの短編の謎は、さほど謎でも無い感じのものが多いが、ラストはやられたなったって感じ。
本を表紙からじっくり読む人程、はまりがちかも。
仕掛け自体は、ありふれてるのに気付かなかったぜ。
これ、続編も期待できそう。
Posted by ブクログ
福岡ローカルネタわかるともっと風景がわかって楽しいんだろうなって思った。
名前に関してはまず著者名がズルいじゃん…。
駒子シリーズ思い出すけど絶対好きやろ作者(偏見)
イッセーのキャラ造形好きなので他の話にもいっぱい出てくるといいな…。
Posted by ブクログ
高校生らしい日常に起こった毒の無い事件。インパクトに欠けると言えばそうですが、自分の高校時代を思い出して、ほのぼのと読み進めました。成長していく彼らを見守りたく思う作品。
Posted by ブクログ
みずみずしく整った文章だが、若干回りくどく、やや説明のテンポが悪い。読んだ印象としてはどうにも散漫で印象に残る描写は少なかった。ストーリーは青春ミステリではあるのだが、謎はいまいちどれも魅力に欠けており、謎を解くというよりは嘘を暴く物語である。登場人物は皆善意で行動し、その行動のために小さな嘘をつきルールを破るというのがおおまかな構成になっているわけだが、そのついた嘘を暴くというのはどうにも後味の悪さがある。たとえ善行でも、友人を騙している以上、水臭いという気持ちのほうが先に立ってしまった。青春ミステリに苦い結末はお約束だが、いい話なのに嘘をつかれていたという、違った意味での苦さを感じる作品である。語り部の少女が、事件や犯人の対しての距離が妙に近すぎるのが原因なのだろうか。探偵役は大学院生だが、こちらは逆に舞台や事件との距離が離れすぎていて、絡む必然性がいまいち薄かったのも残念。探偵役と語り部の事件に対する距離感やそのアンバランスさが目についた作品だったが、次作以降この関係性や距離感を逆手に取ればもっと面白くなるかもしれない。あと気になった点としては、たとえ友人であろうとも、小学校の生徒と話す時は友人のことをちゃんと「先生」と呼ぶべきだと思う。配慮のある人物のように描かれていたのがここだけ凄く不自然に映ってしまった。まあそれも女子高生の主観といえばそれまでの話だが……。
Posted by ブクログ
平凡な女子高生の日常に出現する小さな謎をいとも簡単に解き明かす知性豊かな大学院生。
情景描写が過剰な気がしますが、ライトな作品にもかかわらず文学的な要素を入れようとする姿勢は評価したい。
学校新聞に掲載される問題が適度なスパイスになっているので、1位に選ばれた投稿内容にもう少し捻りがあればなお良し。
Posted by ブクログ
主人公の吉野は高校二年生だけれど、親友の朝名の彼氏で小学校教諭の上原や、その友人で探偵役の大学院生の飛木の存在もあって、高校だけに留まらない広がりを感じた。山村暮鳥の「りんご」を悲しく取るか嬉しく取るかの話が印象的。色の描写が華やかで、光源によって色が変化するお揃いのビーズの髪飾りも綺麗だった。