【感想・ネタバレ】牛肉資本主義―牛丼が食べられなくなる日のレビュー

あらすじ

「うまい、はやい、安い」といえば、牛丼。
給料日が迫った繁華街の昼、多くのサラリーマンが牛丼屋に
駆け込む姿は、今や日常の見慣れた光景である。
日本人の生活に浸透する庶民の味方といえる牛丼。
しかしながら、私たちのしらないところで
「日本で牛丼が食べられなくなる日が来る」という動きが現実化しつつある。
その流れをつくっているのは、リーマンショックの後、
息を潜めたかにみえた「マネー資本主義」。
このグローバルマネーが次のターゲットに選んだのは、「牛肉」だった。
世界的な牛肉争奪戦の裏で進行する、知られざる動きとは一体何なのか。
『里山資本主義』『里海資本論』の著者が、「強欲化する世界」に迫る渾身の1冊。

【著者紹介】
井上恭介(いのうえ・きょうすけ)
NHKエンタープライズ エグゼクティブプロデューサー
1964年生まれ。京都出身。87年東京大学法学部卒業後、NHK入局。報道局・大型企画開発センター・広島局などを経て、現職。
ディレクター、プロデューサーとして、一貫して報道番組の制作に従事。
主な制作番組にNHKスペシャル「オ願ヒ オ知ラセ下サイ~ヒロシマ・あの日の伝言~」(集英社新書から『ヒロシマ 壁に残された伝言』として書籍化)
「マネー資本主義」(新潮文庫から同名書籍化)「里海SATOUMI瀬戸内海」(角川新書から『里海資本論』として書籍化)などがある。
広島局で中国地方向けに放映した番組をまとめた角川新書の『里山資本主義』は40万部を超えるベストセラーに。
【目次より】
第1章◆日本で「牛丼」を食べられなくなる?
第2章◆中国で始まった「異次元“爆食”」
第3章◆ヒツジへの玉突き現象
第4章◆大豆を求めてアメリカ、そしてブラジルへ
第5章◆牛肉と穀物の世界を変えるマネー
第6章◆グローバル資本主義の天国と地獄
第7章◆ブラジルを襲った大干ばつ
第8章◆牛肉は「工業製品」か「生き物」か
第9章◆地球の限界を救えと立ち上がった SATOYAMA/SATOUMI
第10章◆気候変動、食料危機はどう回避できるのか

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Posted by ブクログ

私は牛丼が食べられなくなったって一生困りはしません。吉野家は行ったことあるし当然牛丼を食べたこともありますが、牛丼好きというわけではないです。しかし以前見たTV番組で、アメリカ牛肉の買い付けで日本の商社が中国に競り負けているというのを見て気になっていたので、まさにそれを取り上げた本だと手にとりました
この本はその番組のプロデューサーが書いたものでした。ええ、まさにその番組の本だったわけです。あの番組は本の宣伝だったのか?いや、そんなことはないでしょうけど。その番組自体、片手間に見ていたので、番組全体がこの本に詰め込まれているかどうかまでは私にはわかりません。
前置きが長くなりましたが、牛肉に限らず大豆や羊肉、バター不足といった問題もつながっており、商品市場、金融業界の問題へと、問題の広がり&そもそもどこに問題があるのかと追求していきます。
少なくとも現在、中国が世界の食糧問題でどういうポジションにいるのか、それがそんなに単純な話ではないこと、それらが日本の食糧事情にどういった影響を及ぼすのか、世界の食糧事情との兼ね合い等々、この本一冊でかなりの部分を網羅していると思います。ヨーロッパを除く、かな。
そして里山(と、里海)の話。ざっくり言うと今回の話は食糧問題であり根本的に無関係ではないですし、こじつけとまでは行かないものの、それまでの話を“里山”へ誘導しているかのような印象があります。この方は『里山資本主義』の関係者で、宣伝的なにおいを感じてしまいました。途中まではよかったのに最後の解決方法でそれを出しすぎたためにかえってこの1冊が浅い印象になってしまいました。
ただし、KKRまで取材に行ったのは誉めてあげたいと思います。
全体的な頑張ってる感とがっかり感の兼ね合いで星1つマイナス。がっかり感にはタイトルと装丁のせいで牛丼好きにアピールしているかのような印象があるのを含みます。繰り返しになりますが私が手に取ったのは番組で見ていたからであって、牛丼にさほど興味がない人は手に取らないのではないでしょうか。

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2016年03月12日

Posted by ブクログ

牛肉争奪戦の取材をベースにした内容。牛肉だけでなく食料全般で起きている、爆食による市況の激しさがよくわかる。読むと本当に牛肉が食べられなくなるのでは?と思えるほど今そこにある危機と感じる。ただ、水も食料も持続可能な仕組み考えないと、必ずしっぺ返しがくる

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2019年06月12日

Posted by ブクログ

牛肉をメインにして、 グローバル資本主義の切り口から、今後を展望批判をし、解決策の糸口を見つけていく趣旨だと思うが、どうも取材及び話の構成があっち飛びこっち飛びで良く解らない上、結論は強引に里山資本主義、里海資本論へと向かう。
理屈ではそうだろうが、何億トンという世界からいきなり里山への帰結はちょっと違和感を覚えてしまう。

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2016年05月01日

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