【感想・ネタバレ】戦後史の解放I 歴史認識とは何か―日露戦争からアジア太平洋戦争まで―のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

氏は、日本が戦前に、対米戦争へ向けた道のりを歩み始める大きな原因を、国際情勢認識の錯誤であったと指摘しているのですが、渡辺惣樹著『日米衝突の萌芽』や『日米衝突の根源』、ジョン・ダワー著『容赦なき戦争』などを読むと、一方的に日本が悪いというわけではなく、たぶんにアメリカの日本人に対する人種差別も大きく影響していると思われます。それでも細谷氏はこれを単純な反米史観や陰謀史観と見なすのでしょうか。非はおそらく日本の方が大きいのでしょうが、日本だけが悪いのではないと思います。しかし、もちろん日本の非は悪ですが。

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2015年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

★★★☆☆

細谷雄一を知ったのは、モーリー・ロバートソンのニコニコ生放送に出演していたのがきっかけ。

安保法案可決直前だったこともあって、なかなか白熱した対談で面白かった。

本書は、著者が日本における安全保障関連の議論のちぐはぐさを整理し落ち着かせるために打ったトランキライザーだ。

安全保障は世界情勢とのバランスで語られるべきものであるにもかかわらず、日本では言語の壁もあってか、どうしても国内事情が優先され、世界の潮流を見ないままで議論が進んでしまう。

著者は、本書において、英米や欧州が近代史をどう見ているか、そのステレオタイプを提示してくれる。

国際連盟の無力さを白日のもとに晒したのが日本だという指摘や、ベルギーが中立を宣言したことで逆に占領されてしまった点などは、今でも教訓として十分機能する。

英米欧の基本的な歴史認識を知ることは、彼らが話をする際に前提としている知識を知ることだ。

それを知らずにいると、ひとつひとつの言葉にどんな含意があるのかわからないので、とても表面的な話しかできないし、時に頓珍漢な間違いを犯すことにもなる。

もちろん厳密にいえば、歴史認識は個人個人によって異なるものだけれど、本書によって深い議論というトンネルの、そのとば口に立てるのだから読んでおく意味は大いにある。


ひとつ気になったのは、ソ連に関する記述がほとんどないこと。

第二次大戦は最終的にはスターリンにとって非常に都合のいい結果に落ち着いたと思うののだが、まさかそれが偶然の産物ということはないだろう。

その辺を詮索すると英米欧の人たちにとって都合が悪いから書かれなかったのだとすると、彼らのステレオタイプを理解する上ではますます都合がいいと思うのだが、それは考えすぎだろうか。

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2015年10月10日

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