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Posted by ブクログ
今回読んだ物語の多くがアニメ化されていないが、どの話も常に緊張感がある展開で面白く読めた。本作最初の話である『ダブル・ジョーカー』p12は、岡崎久彦『戦略的思考とは何か』(中公新書)で指摘された内容が如実に反映されている。それは日本が日清戦争と日露戦争で勝利した経験から根拠なき自信をつけてしまい、反省を怠ったことである。それが今回の話のように、諜報活動が重視される現状の世界情勢を無視して、組織が膠着状態に陥る。
スパイとは周囲から関心を寄せないように工夫を凝らさなければならないと前作でも再三言われてきたが、本作の後半に収録される「ブラック・バード」を読むと、スパイとは平時だからこそ役目を果たせると実感できる。この話を最後まで読むとわかるが、いざ国家間の戦争が開始されると、それまでの努力が一瞬にして水の泡となるのだ。物語の終盤、日米との戦争が始まり(今回は真珠湾奇襲による太平洋戦争の開始)、アメリカ側が国内に潜む外国人を一斉に摘発する方策をとり、それを受けて、この話の主人公は最後に逮捕されてしまう。このように、諜報活動はたとえ過酷な選抜試験を突破した強者集団だとしても、強大な組織、国家の前には抗えないという個の限界が垣間見える。
Posted by ブクログ
やっぱり面白い。
前作よりも、スパイの危機的瞬間が描かれていた気がした。
いつなん時も自分を曝け出せない孤独の中に生きているんだなあ。