【感想・ネタバレ】世界の合言葉は水 安堂維子里作品集のレビュー

あらすじ

「水」をキーワードに、日常の中にひそむファンタジックな要素を掬い上げた佳品。「おぼん」「私たちはまだ途中」「Fusion」「なんて哀しい星」「塩害の季節」「海のお天気」「ぎゅう」「メルトイズム」「季・節・水」珠玉の短編の数々を集めた作品集。COMICリュウ新人賞を受賞した注目の作家、安堂維子里の初コミックス。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

世界の合言葉は水
―安堂維子里作品集

女性版五十嵐大介。とてもユニークな発想のSF・ファンタジーの短編集。
お盆の時期に、電話で今年は帰れないと連絡して来るご先祖様のお話、「おぼん」。
事故で宇宙を”水の種”としてさまよう宇宙飛行士のお話、「私たちはまだ途中」。
夫婦二人が一人の子供に。究極の少子化のお話、「FUSION」。
星も僕も走り続ける。重力圏にとらえられて消えないために、「なんて哀しい星」。
進化した鯨が台風の目となってやってくる!、「塩害」。
海の中に住むお友達のお話、「うみのお天気」。
目に見えない細胞のようなものでこの地球は覆われている、「ぎゅう」。
”人の体の70%は水でできている”、水に溶け込むお話、「メルトイズム」。
季節の変わり目、水の変わり目、「季・節・水」。

どれもユニークですが、竹蔵は「塩害」が一番好きです。
次作に期待。

竹蔵

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2025年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 う~ん、センスオブワンダー!

 いやぁ、これだけ思い切りセンスオブワンダー的な、独創性の魅力を前面に出した作品は久々だったこともあってか、心から堪能できて満足感強かったのですよね。こういった作品大好きです。

 あ、センスオブワンダーと言っても、帯にコメントを寄せている鶴田譲二的なSF的不思議感覚というよりは、五十嵐大介的な自然からくる不思議感覚によるセンスオブワンダーな印象ですね。……まぁ、絵柄的にも近いものを感じるので、五十嵐大介からは直接的に影響を受けてる可能性も感じるかな?(あ、ほんとにそうだったとしても、それが悪いというつもりはまったくないのであしからず)

 特徴としましては、タイトルにもある通り“水”の重要性をテーマとした作品が多く、“世界に溶け込む人”というイメージが作風の根底に流れている印象です。
 「メルトイズム」はそのイメージをそのまま直接形にしたような作品ですし(水の扱いは小さめですが)、「私たちはまだ途中」に関してはその“人も水の子供”というイメージのさらに先というか……、地球を飛び出していこうという人類の意思を“水の意思”として描いているのが興味深い作品ですね。

 ……まぁ、テーマ性のまとめ方みたいな意味では、きちんと言葉で説明して納得するのは難しいような、結構微妙なまとめ方の作品が多かったりはするんですが、絵と断片的な言葉により、漠然とだけど“真実”に近いものが描かれていることは実感できるような作品が多くもあり、その味わいこそがセンスオブワンダーな魅力とも言えて、下手にきっちりまとめるよりかえって良かったりはするんですよね。

 なんにしても個性的なアイディアの魅力と、なによりそれらを“感じさせることができる”絵の魅力が強い作風でとても気に入りました。

(2010/04/10 にmixi日記で書いたものを 2011/05/03 転載)

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2011年05月05日

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