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Posted by ブクログ
「水」と人と海と地球と宇宙と世界のおはなしタイトル通り、「水」をテーマにした連作短編集(「おぼん」を除く)。「70%は水」というテーゼが繰り返され、不思議な世界に誘われる。絵も流石リュウコミックスだけあって、水準以上。五十嵐大介と、90年代アニメを混ぜたようなタッチで、まだ未完成ではあるものの、味がある。純分にファンを作れる絵。その絵によるものか、マンガ全体は、母の胎内のような優しいムードに満ちている。「独特の世界観」という紋切り型の煽り文をつけてしまいそうなものではあるが、空気としては独特というより、これまでのオリジナルの組み合わせ、あるいは亜流というような印象。人名をあげると、鶴田謙二、五十嵐大介、石黒正数、つばなあたりと近いものを感じる。三人のうちだれか一人でも好きな人がいれば、この作品もぴったりくるはず。新人の短編集にはよくあることだが、良作と駄作の波が激しい。それでも、一定の空気感は保っている分、全体を乱していないところは評価できる。具体的には、「おぼん」、「塩害の季節」、「海のお天気」、「ぎゅう」はかなりレベルが高い。特に、鶴田謙二も帯で言及している「塩害の季節」は抜群で、すごい世界観を見せつけられる。(個人的に、最後のページだけは安易すぎて好きじゃないが)反対に、他の5編は、「言いたいことが伝えきれていない」感が強く、なんだか消化不良のまま終わったり、あるいは、そもそもテーマ自体がチープだったりして、いまいち。しかしとにかく、世界はすごいものを創れているので、キャラクターさえできれば、すぐにでも長編デビューし、人気作家の仲間入りができそう。今後に期待。
Posted by ブクログ
世界の合言葉は水
―安堂維子里作品集
女性版五十嵐大介。とてもユニークな発想のSF・ファンタジーの短編集。
お盆の時期に、電話で今年は帰れないと連絡して来るご先祖様のお話、「おぼん」。
事故で宇宙を”水の種”としてさまよう宇宙飛行士のお話、「私たちはまだ途中」。
夫婦二人が一人の子供に。究極の少子化のお話、「FUSION」。
星も僕も走り続ける。重力圏にとらえられて消えないために、「なんて哀しい星」。
進化した鯨が台風の目となってやってくる!、「塩害」。
海の中に住むお友達のお話、「うみのお天気」。
目に見えない細胞のようなものでこの地球は覆われている、「ぎゅう」。
”人の体の70%は水でできている”、水に溶け込むお話、「メルトイズム」。
季節の変わり目、水の変わり目、「季・節・水」。
どれもユニークですが、竹蔵は「塩害」が一番好きです。
次作に期待。
竹蔵
Posted by ブクログ
う~ん、センスオブワンダー!
いやぁ、これだけ思い切りセンスオブワンダー的な、独創性の魅力を前面に出した作品は久々だったこともあってか、心から堪能できて満足感強かったのですよね。こういった作品大好きです。
あ、センスオブワンダーと言っても、帯にコメントを寄せている鶴田譲二的なSF的不思議感覚というよりは、五十嵐大介的な自然からくる不思議感覚によるセンスオブワンダーな印象ですね。……まぁ、絵柄的にも近いものを感じるので、五十嵐大介からは直接的に影響を受けてる可能性も感じるかな?(あ、ほんとにそうだったとしても、それが悪いというつもりはまったくないのであしからず)
特徴としましては、タイトルにもある通り“水”の重要性をテーマとした作品が多く、“世界に溶け込む人”というイメージが作風の根底に流れている印象です。
「メルトイズム」はそのイメージをそのまま直接形にしたような作品ですし(水の扱いは小さめですが)、「私たちはまだ途中」に関してはその“人も水の子供”というイメージのさらに先というか……、地球を飛び出していこうという人類の意思を“水の意思”として描いているのが興味深い作品ですね。
……まぁ、テーマ性のまとめ方みたいな意味では、きちんと言葉で説明して納得するのは難しいような、結構微妙なまとめ方の作品が多かったりはするんですが、絵と断片的な言葉により、漠然とだけど“真実”に近いものが描かれていることは実感できるような作品が多くもあり、その味わいこそがセンスオブワンダーな魅力とも言えて、下手にきっちりまとめるよりかえって良かったりはするんですよね。
なんにしても個性的なアイディアの魅力と、なによりそれらを“感じさせることができる”絵の魅力が強い作風でとても気に入りました。
(2010/04/10 にmixi日記で書いたものを 2011/05/03 転載)
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