【感想・ネタバレ】ヤマケイ文庫 ドキュメント 道迷い遭難のレビュー

あらすじ

山岳遭難のなかで最も多いのが「道迷い遭難」。
本書では実際に起きた「道迷い遭難」を取材し、遭難者の行動をつまびらかにして登山者への警鐘とする。

道に迷い、何日間も山中をさまよう恐怖―。
登山者の盲点でもある、誰もが陥りがちな道迷い遭難。
その7件の事例を取り上げ、原因を探り未然に防ぐ方策を検証する。

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Posted by ブクログ

滑落遭難や雪崩遭難などの山岳事故と違って、道迷い遭難は急な天候不順などが間接的な原因になることもあるとはいえ、人間の判断ミスによる回避可能な事故だ。自分は登山はしないが、ヒューマンエラーがどう発動してしまうのかという興味に惹かれて読んだ。本書は何とか生還にいたった実際に起きた道迷い遭難の7つの事例が紹介されていて、いずれの事例も初心者や素人の浅慮や暴挙というのではなく、そこそこの登山経験者の起こした、たぶんこうだろうという憶測による判断、計画変更の際の検証の怠り、「迷ったら引き返す」「迷っても沢を下りるな尾根を上がれ」という鉄則の無視という、一言でいえば経験者あるあるな慢心によるミスという感じだった。とはいえ肉体的・精神的な消耗と、文明の選択や繋がりから遮断された自然環境の脅威という登山の中で行う判断は、日常生活で行う判断とは困難の度合いは大きく異なるだろう。本当は心の中では正しくないとわかっていても、その正しいことが「できない言い訳」を自分に言い聞かす場面が何度も出てくるが、これはわれわれが漫然とした日常の中で平素やりがちな「できない理由」「やらない言い訳」を考えているような、要するに単なる現実逃避とは違い、断崖や滝など物理的に行動方法を塞がれ焦ったり、計画以上となったことによる体力・装備・備品の消耗などで追い詰められたり、死が迫ってくる実感にパニック状態になった精神で行うものであり、判断ミスをしてしまうのも無理もないように思うものばかりである。そんな中でも正しい判断を求められるのが、大げさでなく生死と隣り合わせの登山という行為の本質なのだろう。

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2025年02月20日

Posted by ブクログ

私自身が単独行が多いので読んでいてとても怖かった。ありえると思います。気をつけてはいますがヒヤッとしたことも何度か。ガーミンやスマホでGPSはオンにしていますが、もっともっと慎重に行動しようと思います。

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2021年07月16日

Posted by ブクログ

遭難した方達のお話が載っていてとても勉強になりました。遭難したら元の道を戻るとか下に降りてはいけないとか鉄則があるにもかかわらず人は先に進んでしまうし下に降りてしまう。非行や不倫もそんな感じかなあと、遭難について考えるとともにいろいろ勉強になりました。そして人はこの本を読んでもやっぱり鉄則を守らず遭難するんだろうなあと思いました。

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2018年08月19日

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おかしいなと思ったら引き返せ。
沢は絶対に下ってはいけない。
一般的な人間の心理を知っておくことはとても重要だ。

2017.8.26

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2017年08月26日

Posted by ブクログ

いかに引き返すことが難しいか、自分に都合よく判断してしまうことを止められないか、事前にきちんと準備をしておくことがなかなかできないか、がよくわかる。

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2015年11月25日

Posted by ブクログ

登山者が道に迷い遭難し助かるまでの事例集。登山だけでなく、様々な事柄に当て嵌まると感じた。ピークから下山中の疲労や集中力の低下からミスが起こり、かけたコストとリターンを合理的に捉え選択したつもりでも、冷静さは欠けているため誤ってしまう。現在地の確認と戻る勇気が必要だ。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

登山をする者として、遭難時の心理や状況を知りたくて。

迷ったら沢でなく尾根を目指すとか、
引き返すのが基本。
山行届や家族に知らせておく。

3日もビバーグできるものなんだとか、
意外と近くに来ているのにヘリが気づいてくれないとか、実体験でないとわからないことを知れた。
追記の遭難時の心理状況の分析がよい。肝に銘じる。

慣れている人でもこれだけ迷うんだなとか。
過信せず、準備を怠らない、遭難について学んで、登山に生かすようにする。

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

山岳での遭難についてのノンフィクション。
私は登山をやらないが、とても興味深く読んだ。

人間は思い込みが強い。まずは、間違いを認められるかどうか
そして、引き返す判断、気力、体力、勇気が必要なんだなと。

間違いを認めるということは、自分に油断・慢心・過信があったと認める事でもある。それを謙虚に出来るか、それがその後を分けるのだろうか。

これは登山以外の生活や仕事、そして人生そのものにも置き換えて教訓とできる。

以下の部分を特に抜き出して心に留めておこう。

〝~だろう〟という憶測で進んでいくと、〝~だろう〟じゃなくなったときに、もうどうしようもなくなっているんです。

人は、それまでにかけてきたコストが大きければ大きいほど、これからかかるであろうコストを相対的に小さく考える傾向にある。

「楽をしたい」「面倒くさい」「どうにかなるだろう」などなど、引き返すことを妨げる心理はさまざまだ。だが、決断を迫られている場面で最も重要になってくるのは、「今ここでやらなかったら、いつやるんだ」ということ。

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2024年12月24日

Posted by ブクログ

久しぶりに遭難本。
リアルな話は登山をしない私も引き込まれて読んでしまう。
色々遭難本をよんで知識だけは増えていく。

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2023年11月25日

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道に迷うのはあるけど。その時、地図で場所を確認する、頑張って来た道を戻る、沢に降りない。わかってはいるけどいざ実際、戻れるかと言われたら…その時に変なバイアスが働いて。このまま下れば温泉に着くはずとか全然違う場所を思って降りてしまうことがある。
やはり人間の力なんて自然に入ったら本当にちっぽけだし、過信しちゃいけないなと思う。
ハイキング気分で遭難した親子は助かって本当によかった。

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2022年06月03日

Posted by ブクログ

全員生還しているので安心して読めるが、凍傷で指を失った人の話は生還したからこそ、痛みや凍傷に至るまでの様子が克明で怖かった。
迷ったと気づいたら登り返す、沢に降りない。本を読むまでもなく知っていることだが、それを知りつつ降りてしまった人達の心境が、ああ自分も同じ状況になったら同じことをやってしまいそうだ、と思わせる。
ここに書かれている何件かの事故を読んでいて思うのは、やはり雪山でもなければ、怪我をしなければ生還できる可能性が高いなあ、と。
この本で本格的に死にそうになっている人は皆、下に下に下り沢にあたって無理に沢を降り、滑落した人だった。つまりは、体力がなくて厳しくても、結局は迷ったと気づいたらすぐ引き返すことが重要……と最初からわかっていたことを改めて思った。

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2021年03月08日

購入済み

道に迷い帰り道がわからなくなる、道迷い遭難
自力で下山された方も救助された方もいますが、どの方も警察に届けがでて捜索されてます。

最後に捜索費用について触れられています。
ヘリに乗らず、捜索されるだけで数百万…

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2021年02月20日

Posted by ブクログ

 山岳遭難でよく聞く、雪山での遭難などではなく、「道迷い遭難」が40%を示すそうだ。
 名前の通りちょっと道に迷い、そうしてそのまま遭難してしまう。
 この本は道迷い遭難に遭い、帰還した人たちから話を聞いたドキュメンタリーである。

 「家族に心配をかけると思って」「このまま頑張れば夕方までには帰れるんじゃないかと思って」というケースが多い。そして、沢を下る。遭難したときは峰に上れというが、不安なとき、安心できそうな道、帰れそうだからと下るケースは本当に多いのだろうなと思う。
 ダメなときはダメ、不安なら不安、引き返しても大丈夫な体力、余裕がないと山は危険なのだなぁと思った。
 この本を読んでよかったと思う機会にはあいたくない……。

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2018年10月10日

Posted by ブクログ

道迷い遭難をし、そして生還した人々のインタビュー集。

現在の登山環境とは かけ離れた状況も多い(スマートフォンのGPSアプリの有無など)が、人はどのように考え、遭難して行ってしまうのかは非常に参考になる。

焦り、そして現在位置の取り違えがどのような結果を生むかがよくわかるエピソードが多かった。

もちろん、紙地図とコンパスなどバックアップは必要だが、それでもスマートフォンで手軽にGPSを利用できる現代は非常によい時代だ。

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2018年07月29日

Posted by ブクログ

そこらへんのホラーよりもよっぽど恐ろしい本だ。
私も本格的な登山ではないが、トレイルランやスピードハイク等で近所の山に軽装で入ることが多いので、まったく他人事じゃない。
実際、「あ、これちょっと道間違えたな、まあ方角は大体分かってるしこのまま突っ切るか」等と軽く考え、薮漕ぎしたり滝を超えたりしながら強行突破したこともしばしばあり、反省しきりでもある。
山で道を間違えたら引き返す、というのは鉄則であり、この本で紹介されている遭難例もその鉄則に背いたが故、というのがほとんどだ。
決して山をナメたらいけない、という怖さを改めて心に刻むとともに、次に道を間違えたら必ず分岐まで来た道を戻ろうという決意を新たにした。
また、勝手知ったる山域や近所の低山でも気を緩めることなく、短時間で帰るつもりであっても、行動食、ライト、防寒具、雨具等を極力携帯することも重要だろう。
人はやはり獣にはなれない。

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2017年07月19日

Posted by ブクログ

道に迷い山中をさまよう道迷い遭難7件。
遭難とは言えないが世間を騒がせてしまった話や
思い込みから迷い続け そこから抜け出せなくなってしまう話など。これらを教訓に持ち物や山行への意識など見直したいと思う。あとがきで 救助にかかった金額がありゾッとしている。

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2016年03月05日

Posted by ブクログ

もうここまで降りてきちゃったし・・・このまま行けばどこかには出るだろう・・・このテープを辿って行けば・・・

谷には降りるな・引き返せ、という原則を知っていても、同じ状況になったら私も正しく行動できる自信はない。まして1人だとなおさら、正しい判断ができなくなってしまう自分が想像できる。

でもどうしてだろう、読めば読むほど、山に行きたくなる。

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2020年12月14日

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