あらすじ
水を描く新鋭・安堂維子里の最新作!「隕石落下によって出来た湖・二十日湖(はつかこ)が抱く、20年前の真実。」 湖にねむる“街”と“記憶”。隕石が落下した街に、20日間雨が降り注ぎ出来た湖・二十日湖(はつかこ)。そのほとりで移動カフェを営むあおこは、沈んだ街に住んでいたが、隕石落下前の記憶がない。記憶を探し求め、湖に潜るあおこと、彼女が出会う人々。ある物を捨てにきた女子高生、20年ぶりに戻ってきた警察官…。そして、隕石落下を疑う保険会社の調査員。あおこがすくいあげる彼らの想いと、その先にある幼い頃の自分―――。 心に優しくあたたかな波紋広がる静かに深い記憶の物語。
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Posted by ブクログ
この本棚には漫画は絶対入れないって思ってたんですけど、
あまりにも作品として好きなので例外として登録することにしました。
この方の漫画を他に読んだことないのですが、
とにかく水の描写、そして潜水表現が素敵すぎる。
私が海が好きなのは水の中で何も考えず揺蕩うのが好きだからなのですが(あと生き物が好きだからなのですが)、その恍惚とするような感覚を見事に表現していてすごいと思いました。
口でも説明するのが難しいあの感覚を見事に絵で再現してる。
私事ですがスキューバで1人海の中を何も考えずに浮かんでいたら、そんな私を水面でシュノーケルしてた母が見てたらしくて、後で「あなたも私のお腹の中であんな感じだったのかしら」って言われたんです。それを聞いて私もなるほど、って妙に納得してしまいました。分かりにくいかもしれないけど、水の中ってそんな不思議な感覚なんですよね。
そんな水の感覚、それも主観的な感覚ってなかなか表現しづらいんですけど、この漫画が絵と言葉でそれを鮮やかなイメージとして読者の感覚に訴えかけてくる。読み終わった後はしばらく余韻に浸りました。
この物語の舞台は海ではなく湖ですが、少女が湖の底に沈んでる古い町並みを素潜りで探索するっていうストーリーがとても幻想的でした。
水を表現した漫画という意味では「海獣の子供」もすごく感覚的な作品だと思うのでこちらも好きなのですが若干の鬱要素があると思うんです。
それに比べると「Silent blue」は世界観が綺麗。あと何か湖に潜る時の苔むすような水の懐かしい匂いが伝わってくるようでした。なんというか懐かしい気持ちにもなるんです。田舎があれば帰りたくなるような。
この作品も読むと水に飛び込みたくなります。