あらすじ
楯経介(たてけいすけ)には不思議な能力があった。眠りに就(つ)く前に絵を見ると、夢でその世界に入り込めるのだ。彫刻家、洲ノ木正吾(すのきしょうご)の作品世界に彷徨(さまよ)いこんだ楯を待っていたのは、奇怪な連続殺人事件だった! 猟銃で頭を撃たれた高名な画家、「開かずの間」に転がる首無し死体……。すべては夢なのか、それとも夢のような現実? 読者を迷宮世界に誘(いざな)う幻想ミステリーの傑作!
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Posted by ブクログ
『砂漠の薔薇』と一部登場人物はリンクしていますが、どちらを先に読んでも構わないでしょう。
相変わらずの奇怪な登場人物たちと幻想的な舞台でずぶずぶと引きずりこまれてしまいます。
夢の中での殺人ということで、いろいろと疑ってかかって読むと意外と真っ当な(?)ミステリで驚くかもしれません。
解決自体も細かな伏線を張ってあり巧いものの案外あっさりしています。
しかし、最後に明かされる夢の境界にはすっかり騙されてしまいました。
Posted by ブクログ
詩的な文章が心地よい、美と狂気の幻想ミステリ。
みずあめのようなねろねろ~っとした文体にのっけられ、現実と夢の世界を、気持ちよく行き来させられてしまう。
一方では、切ない余韻の残る恋愛ミステリでもある。
以下、ネタバレ。
すべてが「自分でまいた種」というのは、感情の逃げ場がなくて悲しいものだ。
「ピグマリオン」がハッピーエンドになれなかったとしたら、こんな感じかな。