あらすじ
東宮となるはずが、策略により世から忘れ去られようとしていた美しい宮は、忠誠を捧げてこの世のすべてを与えようとしてくれる涼やかな容姿の公達・尉惟に一途な恋慕を抱いていた。だが、独占しつくさんとする尉惟の恋着ゆえの行いに、自分が野心のために利用されているのではないかという暗い疑念がきざしてしまう。こんなにも恋しく切ない。なのに、その恋しい男が信じられない――。濃密な交わりで肌を重ねてもなお、狂おしい想いを持て余す宮は…。 【おことわり】電子書籍版には、紙版に収録されている口絵・挿絵は収録されていません。イラストは表紙のみの収録となります。ご了承ください。
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Posted by ブクログ
政敵の存在、親王で皇位継承権のある桂の宮(受)、左大臣家の嫡子で
ある尉惟(攻)、桂の宮と異母兄弟の溝や、姻戚関係との不和。
もう、本当に平安朝に存在する、身内のドロドロまっしぐら。
かわいさんの文章って普段はちょっと癖があって読みにくいな、と
苦手に思うことが多いのですが、今回は私には合ってました。
まさに平安朝語り口です。
喋り方もそうなんですが、言葉の選び方が平安的。
源氏物語や徒然草など、そのへんの古典文学を現代語訳した時の
ような文体で、始終語られます。なので、人によっては逆にとっつき
づらいかもしれないのですが、もの凄い雰囲気が出てます。